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可愛い婚約者は、どこか変  作者: S屋51
幼少期

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17/90

リンドバウム公爵家問題・中

 さて、どう切り出したものかな。

 色々と考えていたんだけど、実際リアルテを前にするとどうにも言葉が出て来ない。

 言いにくいことってあるよね。でも言わないと。

「ねえ、リアルテ、君のお父上というか公爵家としては当初兄上、王太子殿下と縁づくことを想定していたようだけれど、君はなにか聞いてる?」

 リアルテは小首を傾げる。

 生まれたときには僕との婚約決まってたわけだから、それ以前の話なんて知るわけないよね。

「私は存じません」

「そっか、ならいいんだ。

 それで、最初のお茶会から暫く経つけど、どうかな。僕とのことでなにか不安や不満が出たりしていない?」

 前にこの婚姻に不満はないとは言ってた。

 ただ、実際に付き合ってみて考えが変わることもある。

 まあ、付き合うってほど付き合ってないけどね。

 だって毎日会うわけじゃないし、携帯ないからリアルタイムで連絡取れないしね。

 週に2回も会えれば良い方かな。

 僕は公務で忙しいし、他の婚約者とも時間取らないといけない。リアルテが婚約者筆頭でも、他の子たちを疎かにできないからね。

「私は、殿……レリクス様で良かったと、思っています」

 あれ、リアルテの顔、ちょっと赤くなった?

 そっか、良かったと思ってくれてるんだ。

 その評価がこの先も変わらないようにしないとね。

 でもさ、まだ殿下って言いそうになるよね。『様』も要らないと言ってるのに。

 無理はしなくていいけど、そのうち気楽に呼んで欲しいな。

「そう、なら良かった。僕もリアルテが婚約者で良かったと思ってるから」

 破談になったら悲しいよね。

 両思いで良かった良かった。

 さて、肝心の話をしないとね。

「リンドバウム公爵家では長女を冷遇していると噂を聞いたのだけれど、リアルテはなにか思い当たることはある?」

 それがカミラ嬢が教えてくれた話。

 リンドバウム公爵家には娘が2人。

 リアルテと後妻の娘。年齢は一年も違わないとか。

 つまり、リアルテは腹違いの姉妹と義母と一緒に生活しているわけだ。

 珍しい話じゃない。ちょっとした病気でも簡単に人が死ぬし、お産での死亡率も高い。お家の事情で離縁なんてこともある。

 だから腹違いの兄弟がいたり、義母や義父と暮らしているってのは、そう珍しくないんだよね。

 僕だって腹違いの兄弟姉妹いるわけだし。

 そして、これもままあることだけど。

 生さぬ仲の子を蔑ろにする義親というものがいる。

 貴族だと親が子供の面倒を直接親が見たりしないから、義理の子がいても互いに接しない、同じ家に住んでるだけ、そういう環境もよくある。

 それならまだ平和なんだけどね。

 リアルテは長女で王族へ嫁ぐことが決まっている。

 リアルテと血の繋がらない公爵夫人は面白くないだろうね。自分に娘がいるなら尚更。

「それは……」

 リアルテが言い淀んだのが答えみたいなものだよね。

 カミラ嬢から詳細報告来てるわけだし。

 本当に情けない話だよ。

 リアルテは何度か同じドレスを着て来た。

 王族である僕と会うのに、普通それはあり得ない。

 貴族家、それも公爵のように高い地位にある貴族の令嬢が人前に出るのに同じドレスを着るというのは家の威信の問題にもなる。

 我が家は貧しい、と宣伝しているようなものだよ。

 下級貴族や名ばかりで金のない家ならそういうこともあるけど、リンドバウム公爵家は違う。

 なのにリアルテが、いくら似合ってるからと言って僕と会うのに同じドレスを着て来たのは、そうするしかなかったからだろう。

 お茶会に出るのに差し支えのないドレスを何着も持ってないに違いない。

 リンドバウム公爵は僕の叔父に当たる人だ。

 けれど、僕は余り話したことがない。

 王弟として王宮で仕事をしてるのに、挨拶程度しかしたことがないのは不自然だ。しかも僕は娘の夫予定なんだから。

 父からもリンドバウム公爵の話は余り出たことがなかった。

 興味もないから調べもしなかったよ。今回のことで調べたけど。

 リンドバウム公爵と国王陛下は余り仲が良くない。

 陛下が即位するとき、最後まで王位を争ったのがリンドバウム公爵だったとか。

 長男が継承するのが慣わしなのに、リンドバウム公爵は自分が継ぐべきだと譲らなかったらしい。

 そら揉めるわ。

 結局、リンドバウム公爵の主張は通らなかった。

 それなりに有能な人だけど、原則を無視してまで玉座に据えるほどでもなく、貴族議会でも相手にされなかったとか。

 圧倒的に有能だったとか、現王が無能だったとかなら話は違ったかもね。

 言い方悪いけど、大差ないなら原則無視してまで変更する必要性がない。そんなことをすれば揉め事の元だ。

 だから当たり前にうちの父ちゃんが即位した。

 そんなことがあったから兄弟仲はよろしくない。

 そもそもね、僕は将来、今は絶えた公爵家を復興させることになってるけど、公爵になるならリンドバウム公爵家に婿入りするって手もあったわけだ。

 それをしなかったのは、まあ、パパンなりに考えあったんだろうね。

 リンドバウム公爵と歩み寄りはするけど、僕を次期リンドバウム公爵にはしない、と。

 そら、入り婿になれば義父の影響を強く受けちゃう。公爵位継いでも前公爵は尊重しないといけない。

 けど、別の公爵家の当主になれば爵位では並ぶ。

 この差はとても大きい。

 まあ、そんなゴタゴタは興味ないんだけどね。

 リンドバウム公爵がなにを企もうと、なにを目指そうと、僕には関係がない。

 けれどね、リアルテを冷遇していたというのは許せないよ。

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