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探求

作者: 漆原恭太郎

 それは初めての職場だった。

 商業高校に通っていた。卒業してから特にやりたいこともないので、とりあえず就職することにした。学校に来ていた求人情報の中から適当に選びやがて適当に選んだ会社の面接が行なわれた。


 面接官はお腹がものすごく出っ張り、頭は多少薄く、顔は脂ぎっていて、眼鏡をかけている中年のおっさんだった。おっさんはイラつく話し方だった、妙に鼻にかかったねっとりとした声。聞いているだけでムカムカしてきた、面接の時どんなことを聞かれたのか覚えていない。おっさんの話し方にイラついていたからだろう。本当に小さな町工場といった風情の会社だったので面接という感じではなく、採用されることは決まっている顔合わせみたいな感じ。とにかくここの会社で卒業したら働くことになった。


 無事高校を卒業して働き始めた。どんな仕事かと言えば船の部品を作る工場だったはずだ・・・短い期間しか働いていないので記憶があいまいだが。とにかく毎日訳の分からない鉄の板や、筒状の物なんかにネジ穴を作ったり形を整えたりしていた。終わってから鼻の穴や耳の中をほじくると指が真っ黒になった、なんとなく体にはよくなさそうだなと思ったりしていた。

 イラつく話し方をするおっさんは常に事務所にいて、会えばとんでもなくつまらない冗談を言ってきた。最初のうちは愛想笑いをしていたがだんだんそれも面倒になってきたので無視するようにした。その他の従業員も中年から初老にかけての男性ばかりだった。


 自分に仕事を教えてくれる工場長はいい人だったのだが、くぐもった声でごにょごにょしゃべるので何を言っているのか理解するのに苦労した。まあまあ体格はよく頭は禿げておらず、綺麗な白髪だった。工場内ではいつもタバコを吸っていた、フィルターぎりぎりの所まで吸っていた。あきらかに吸いすぎだった。

 ある日仕事をしていると工場長に

 「この棚をあっちに運んどいて」

 3回くらい聞きなおしてようやく聞き取れた。いつもぶっきらぼうなものいいだったが言葉に棘はなく嫌な感じはしなかった。言われた通り鉄製の棚を工場内にあるクレーンで棚を移動させた。クレーンと言っても天井からワイヤーが吊るされていてその先端にフックが付いており、それを手元の小さな機械で操作するものだった。棚を言われた位置に動かした時一人のおっさんが怒鳴ってきた、もちろん従業員のおっさんだ。

 「おい! そんな所におくんじゃねえよ!」

 言い方にカチンときたがそこはグッと堪えて

 「じゃあどこに移動させましょうか?」

 「そんなことはしらん! とにかくそこは邪魔だ!どけろ!」

 この一言で完全に頭にきた。棚はそこの場所に置いたまま、手元にあった工具をそのおっさんの足元に叩きつけてそのまま工場から出て行き、自分の車に乗り込んだ。おっさんが何か喚いていたが無視して家に帰った。


 そのまま仕事を辞めた。



書き始めて日が浅いので何かアドバイス等があればお願いします。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 親しみやすい内容のお話だと思いました。 [気になる点] 文法の部分... >とにかくここの会社で卒業したら働く事になった。 これを、いくつかの文章に書き換える事が出来ると思いますが..…
[一言] メッセージやテーマが最後に出てくるのではないかと思って読んでいましたが、普通に仕事を辞めたのでビックリしました! 読者の探求心を見事に、痛快なまでに裏切る作品ですね!
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