あなたが泣いているとき、きっとわたしも泣いている
R15、残酷な描写ありとさせていただいております。
田舎で少年が夢を叶えるチャンスを掴むそのとき
少女はビル街で希望に満ちた明日を確信している
畑のすみで子どもが、母に抱かれて世界を信じる種を育てるとき
老人は旅の途中、見知らぬ孤児から一輪の花をもらうだろう
わたしたちは繋がっているのだ
だからきっと、顔も知らない誰かと同じことを同じ瞬間に思いつく
奇跡のようなシンクロニシティ
ひとつの何かに繋がって、そこから引き出される、与えられるイメージ
タイミングを共有している
行動を共有している
気分を共有している
協力し合うのも自由なら助け合うのも自由で、関わらないのも自由
でも、確かに繋がっている
街の片隅、少女が道に迷って泣くとき
1人の部屋で少年は孤独にうずくまる
砂漠で水を求めて老人が倒れたとき
教室で子どもは水不足を解消する世界を思う
きっとわたしたちは繋がっている
何の役にも立たない気持ちと感情を抱えて
誰かと繋がって世界を構築している
あなたは見知らぬ誰かへ愛を送っているだろうか
見知らぬ誰かが平和であるよう、安全であるよう、心から祈って暮らしているだろうか
破壊された病院で赤ん坊が生まれた
最先端の施設を備える真新しい産院で赤ん坊が生まれた
生命の誕生に喜ぶ人々は皆同じ
爆撃に怯え、明日を信じられない若者は怒りに震えている
増税に苦しみ、薄給では生きられないと嘆く大人は絶望の中で死を思う
世界を壊したい衝動は皆同じ
苦しいか
悲しいか
不快で誰か殺したくてたまらないか
なぜ自分ばかりと憎しみが募るか
わたしたちはきっと繋がっている
あなたが誰かを殺したいとき、わたしも誰かを殺したい
あなたが救われたいと願うとき、わたしも誰かに救われたい
あなたが誰かを許すとき、きっとわたしも誰かを許している……
テレビの向こう、情報の向こうの画面に映ることのない誰か
生きているか存在するかも分からない誰か
その誰かが快適で豊かであることを祈ったことはあるか
心から、心から、祈ることしかできなくとも、
会うこともない、見知ることもない誰かが、喜びにあふれて幸福であるようにと
きっと今のわたしの苦しみや悲しみ、痛みは、誰かと共有しているものに違いないのだ
わたしは、誰かを許した事があるだろうか。
わたしは、わたし自身を心から愛した事があるだろうか。