拒絶
だいじょうぶ
ありがとう
ごめんね
その人はいつも
明るくて
楽しそうで
何でもできるひとだった
だいじょうぶ
ありがとう
ごめんね
前向きで
穏やかで
気配りができて
憧れるほど素敵で
だいじょうぶ
ありがとう
ごめんね
優秀で
頼もしくて
自分はミスなんてしなくて
他人のミスはフォローして
だいじょうぶ
ありがとう
ごめんね
きっと根本的に
出来が違うのだと
天が二物も三物も与えたのだと
凡百とは比ぶべくもないのだと
だいじょうぶ
ありがとう
ごめんね
その言葉を鵜呑みにしてしまうほど
私はどうしようもなく愚かだった
だいじょうぶ
という拒絶があった
これ以上踏み込むなと
ありがとう
という拒絶があった
話はこれで終わりだと
そして
ごめんね
はきっと
拒絶に対する謝罪であったのだろう
私はどうしようもなく愚かで
私は何も気づかずに
私はただ憧れ
私は――
独り
愚かさの報いを受ける




