8.茸、タケノコ、森探索
小夜子は守護者としてもあるが、この世界の成り立ちを知りたいと思った。この世界はとても歪だ。食べる物に困っていたかと思えば、当然のようにマジックアイテムがある。この守護者のレベルというものが、本当に理解できない。
ルチアーノがいうには、元々この国にあった物はランクが下がっただけで、無くなったのではない。だから当然のようにマジックアイテムはあるが、他国よりも劣化したものだという。
じゃあ、家は?と聞けば、家も当然のようにマジックアイテムであり、初期化されているだけだという。
なるほど。
だから家の中が基本マジックアイテムなのか。
だったら早くこれもレベルアップして欲しい。
そう切に願うものは、小夜子が今乗っている荷馬車だ。
元は立派なゴーレム馬が引き、空間魔法で馬車の中は広く快適な空間だったらしいが、今や牛がのしのしと引いている荷馬車に乗っている為、売られて行く子牛のような気分で乗っている。
小夜子の脳内にはあの歌が流れているぐらい、テンションは下げ下げだ。
お尻は痛いし、頭が揺られすぎてクラクラして気持ち悪い。別のことを考えていないと、朝ごはんをリバースしてしまいそうだ。
外を見る余裕はなく、小夜子は今日の目的地まで必死に我慢した。
「大丈夫か?」
これが大丈夫に見えるとも?
そう小夜子は反論したいが、口に出す元気冴えない。
「小夜子様は揺れに弱いんで?」
御者をしている成人したばかりの男、ルディが小夜子に問う。
声で「たぶん」と答えらず、手を上げてそうだという意を表した。
「だったら…」
ルディはすぐに荷馬車を止め、ポーチから怪しげな色をした瓶の入れ物を小夜子に出しだした。
小夜子が「なにこれ?」と聞く前に、この瓶に入った液体の説明をされた。
「これはポーション。乗り物酔いやめまいなどに効くポーション、です」
敬語を使うことに慣れていないのか、語尾を『です』で締めたルディの顔を少し紅い。やらかした…とでも思っているのかもしれない。荷馬車が停まったことで、少しだけ頭が回るようになった。守護者レベル2で獲得した、身体異常耐性が仕事をしてくれているのかもしれない。
味や効き目はどうなのか、とても気になるところだが、好意で出されたものを飲まないという選択肢が、守護者小夜子にはない。
「ありがとう」と素直に礼を言って、一気にぐびっと飲んだ。
薬は苦くてあと口が気になるという先入観がある元で飲んだからだろうか。意外に飲みやすく、子供の風邪薬のシロップのような味だ。
「お?」
飲んですぐに頭がスッキリ!気分もスッキリ!ナニコレ!!
「ルディ、これ凄いね!」
「え、もう効果出たんすか、あ、出たんですか?」
必死に言い直しているのが可愛い。猫の赤面が分かるなんて不思議だけど、イイ!
「うん。いい感じだよ。そしてなんか頭も冴えた感じ。あの木の根っこに生えている茸、食べられるから取っておこうよ」
「ポーション茸!」
「ああ、本当だ。この間まで毒キノコばかりだったというのに」
小夜子の食べられる茸発言で、荷馬車の周りで護衛をしていた大人たちもざわつく。
そのことに小夜子は驚きながら、本当にこの国は消滅の危機だったのだということを認識した。
うん。沢山食べる物、資源になるものを発掘して行こう。美味しいもの食べると、みんな元気になるし!
「マジックバックに入るんだし、採っておこうよ」
目的地は後1時間先の洞窟前だったのだが、そこにあるとは限らないし、食べられるものは採っておきたい。
それに、色んな種類の茸が見える。ワクワクするじゃない?茸、料理に入れたら、絶対に美味しい。
みんなで競うように茸を採取する。
地球であれば生えている茸を採り過ぎてしまうと、来年生えてこなくなるということが起こりえるが、この世界はやっぱ不思議だ。木の根元にあったキノコを採れば、木の枝のあたりに同じ茸がまた生えてくる。それを繰り返して木の一番上まで来たら、それを取らずに残しておく。そうすれば上から胞子が落ちてきて、時間が経てばまた生えてくるのだそうだ。
面白い。
ただ残念なことに、小夜子は木登りが出来ない。一番下にある茸だけを採取だ。残りはルディが全部採ってくれた。
他にもないかと鑑定をしていけば、ツノみたいに地面から生えてくるモノを見つけた。
タケノコだ。
竹がないのに、タケノコ?
この世界の正式名称は木ノコらしいが、守護者小夜子がタケノコと思った時点で、どうやらタケノコになったらしい。もう一度鑑定をすればタケノコになっていた。
小夜子は、突っ込むことを止めた。
季節感も良く分からないし、理とか考えて答えが出るわけがない。食料が見つかったことをラッキーだと思って、今はとにかく食料集めしよう。
さあ、次。
読んで頂きありがとうございました。




