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20.ボーレイの救助

刻々と急激に状況が変化して行くことに戸惑いながらも、ルチアーノはボーレイに向かう。

衰退していくときも急激だった為に、主要都市ビーブリッグ以外は対策が間に合わなかった。

だからこそ、他国に攻め入られる隙を与えてしまったし、8割の国民を眠りにつかせることになってしまった。王族として打ちひしがれている時間もなく、残った国民と力を合わせて集落を纏めてきたが、限界があった。

自分が守護者としての力があればと、どれだけ悔やんでも継承されなかった事実は変わらない。腹を括って守護者でありながら、自分の伴侶を探しに地球に送りされたのだが、そこで一目惚れした伴侶(予定)の力は、規格外だった。

まさに…規格外。

まさか毎日レベルが上がるとか未曾有の出来事ばかりで、ルチアーノも未だ半信半疑。事実を目で確認せねばと気を引き締めている。

他国もこの国に守護者が現れたことは、その国の生命樹からのお告げもあり知ってはいるが、ルチアーノと同じく守護者の力だと理解できていないからこその、今の行動だろう予測する。自分が手に入れていたモノが、零れていくことが許せないのだ。

道中、魔物が居た痕跡はあるのに、姿かたちもなく、しかも空気が澄んでいる。ただ5年も人が通っていないために、街道として整備されていた石畳の場所以外は、君が悪いほど雑草が茂っていた。


「草に足を取られるなよ」

「分かっています。それにしても…視界が遮られるほどの草。危ないですね」

「ああ、魔物は出ないと言っても、動物は出るからな」


そう、魔物が居なくなった代わりに、巨大化した動物が増えていた。魔物が動物に浄化されたのか、狩るものが居なくなり、巨大化したのか。原因はこれから調べることにして、まずは急ぐとしよう。


ルチアーノ達はボーレイまで通常三日はかかるところを、寝る間を惜しんでかけた結果、ボーレイには2日で到達した。

「マジか」

ボーレイを最後に見た時よりも、はるかに城壁が立派になっているし、街というよりも完全に第二の都市といっても過言でない門構えになっている。持ってきた食料など、足しにもならないのではないかと心配になるほどだ。


「ルチアーノ様!!」

門番がルチアーノに気づき、声を上げ駆け寄ってきた。

「ここはどんな状況だ」

「はい。ただ今、捜索隊を出す準備をしています」

「そうか。多少の食料はある。その捜索隊に混ざろう」

「捜索隊は、スターリング様が指揮をとっておられます」

「そうか、スターリングがいるのか。案内をしてくれ」

「はい!」

アイルーロスポリス最強の騎士、スターリング

この国が危機に陥った時、ここボーレイの防衛のために自ら志願し任務に就いた。無事であって欲しいと願っていた者の一人だ。


すぐに門が開けられ、飛び込むようにして領主館があるところに駆けていった。

その前には体力自慢の男どもが30人ほど集まっている。


「ルチアーノ様!よくぞ御無事で!!」

「スターリングも、よく踏ん張ってくれた」

「いえ、わたくしが不甲斐ない為に、民衆が…」

「いや、これは王族の怠慢だ。苦労を掛けた」

「頭をお上げください!それよりもルチアーノ様、目覚めた者たちから行方が分からないという訴えがあり、捜索隊を出すところなのです」

「ああ、分かっている。ここからあまり離れていない場所だ。すぐに行くぞ」

「場所がお分かりなのですか?」

「ああ、守護者から、大体の場所を聞いている」

「その役を是非にわたしに。ルチアーノ様は、是非守護者様のことをこの街の者へ伝えて頂きたく思います」


二人の会話に入り込んだのが、この街で領主代理をしているブレッドだ。

「王よ、そしてスターリングも。何故お二人が捜索隊に?それらは部下に任せて、この街の治安を維持するための話し合いが早急に必須だということを、ご理解いただけますか?」

「そうだったな」

「その通りです」


ルチアーノはどうやら猫にいる時間が思いの外長かった為、色々とこの世界での自分の身分や感覚が、かなり鈍っていたようだ。

ルチアーノは改めて意識を切り替え、王族としての責務に取り組むことになった。

「では、救助に向かうための物を渡すので、それで頼む」

「有難く頂きます」

ブレッドがうやうやしくマジックバッグを受け取り、素早く中身を確認すると、捜索隊の隊長に預けた。


「では、この街の現状なのですが………。」

ブレッドからの報告が始まった。


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