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10.ダンジョン探索、ピエロマウス

ある程度食料が溜まったところで、先に急ぐことにした。今日の目的地までもう少しある。

皆が出発の準備をしている間、小夜子はさきほど出てきた画面を出すイメージを浮かべた。するとすぐに地図が描かれた画面が出来た。頭の中で消すイメージを浮かべれば消えるし、出そうと思ったら出る。どうやら一応画面は小夜子の意思で動いてくれることが分かった。そのことにホッとする。

というのも、小夜子は物語でいう『ステータスオープン』とか、口に出すのが正直恥ずかしかったのだ。

この際だからと地図以外に何が映るのかと問うが、地図以外には何も映らなかった。いや、正確には地図に先ほど収穫した山菜たちが載っている。イノシシが居た場所も。

アイルーロスポリス全体の地図をイメージすればすぐに出てくる。そこには先ほどの山菜たちは載っていない。だけどこの場所辺りをタップするように触れてみれば、そこが拡大されて先ほどの内容が見えた。iPadみたいで便利だ。

小夜子が住んでいる集落辺りに触れれば、やはり昨日収穫した野菜や魚などが載っていた。

調べて分かったことがメモのように記憶されるのか?

一度も見たことのないショーユの実はどこかと、検索をかけるように画面に触れるが、残念ながらそれは出なかった。


じゃあ、茸。

「あ、出た」

「じゃあ、胡椒」

「これも出るんだ」

独り言のように呟く小夜子にルチアーノから声が掛かった。

「出発していいか」

「あ、ごめんね。行ってください」

何度か検証するように試し行くことでわかったことは、小夜子が知ったものは地図に乗るということだ。

昨日捕まえた、アユや川エビなどは載ったけれど、その他の魚は出てこないという具合だ。

これは小夜子が沢山のことを見て聞いて知ることが、大事だということだ。

――となれば、時間が許す限り、いろんな場所へ行き、知らなければならないということだ。

ポーションのお陰で小夜子は先ほどと違って酔わない。揺れる荷馬車の中で、画面を見ていると猪がいるという徴がポンと出た。

マジックバッグにはまだまだ入る。みんなの食料の為、獲ってきてもらおう。


「護衛の皆さん、20m先に肉(猪)いるけど、どうします?」

「行ってきていいですか?」

「どうぞ!」

4人いるうち2人が話し合いの結果行くことにしたようで、張り切って行った。

猫なのに、速い。ハンターのように駆ける姿は、まるでチーターだ。

小夜子が知っているイノシシの2倍はある体を物ともせず、一人が持っていた槍で足を差し、足止めをするとすかさず、一人がすぐに首に一刺し。

ずっぽりと槍が刺さり、10秒ぐらいもがいたらそのままイノシシは絶滅した。


先ほどよりは耐性が付いたのか、目を背けるぐらいで吐くほどではない。これが日常になるのだから少しずつ慣れようと、小夜子は小さくこぶしを握った。

また小夜子に見せに来るかと身構えたが、小夜子に見せることなく、素早くアイテムバッグに仕舞ってくれた。中々気が利いている。もしかしたら時間が勿体ないと思っただけかもしれないけど、今の小夜子には有難い。


そのまま何事もなく目的の洞窟に到着した。

この洞窟に来た目的は、ダンジョン探索だ。ここ最近はダンジョンの力も落ちてきていたらしく、大した発掘も発見もなかったようだ。小夜子が来たことでどんなふうに変わったか、今日は確認だ。


「あまり強い気配は感じられない。だからといって油断はするな」

「「はい!勿論です!」」

小夜子には結界が張られるマジックアイテムが発動されていた。守護者として国に結界が張られた今、この国で小夜子を害することが出来るのは、現時点ではいない。だが、ダンジョン内だけは別の理で出来ているらしく、怪我をすることもあるという。だからこその、マジックアイテムだそうだ。


こういう時魔法が使えたら、明かりを出したり、怪我を治したり出来るのだろうか。危ない行為をしたいわけでも、望んでいるわけでもないけど、やっぱり魔法という言葉には憧れがある。

小さい頃はアニメで魔女っ娘が魔法を使ってたからね。変身は流石にしたくないけど、襲ってくるやつをやっつける。それは、爽快感だと思う。

「小夜子、ぼんやりしてたら危ないから」

洞窟内の石で躓きそうだった小夜子をルチアーノが腕で抱きとめた。

これが元の年齢の体だったら、胸キュンの場面ではなかろうか。

だが、残念なことにお子ちゃまな身体故、ルチアーノの片腕に小夜子はお腹から抱えられて、体ごとぶらんふらん。私は酒樽か!


「ルチアーノ様、それは…ちょっと」

ルディですら分かっているというのに、この大猫は本当に…。

頭を掻きながらルチアーノに降ろされたので、小夜子はルディの後ろをしっかりと足元を確認しながら歩いた。

本当に何がいけないのか分かっていないのか、わざとなのか分からないが、ルチアーノは大丈夫なのだろうか。嫁さん、見つかるのだろうか。

でも今は、それはいい。

このダンジョンで何が出るのかが楽しみだ。


「ちなみに、以前は何が出てたの?」

「昔は今皆が持っているような、マジックバッグやアイテムも多く出たと聞いてます。ただ最近は、鉄とか丈夫な木材とか…生活には欠かせないものなのですが」

「釘が出るならともかく、鉄だけでても、困るよね?」

「その通りです。製鉄出来る技術も設備もありませんので」


答えたのは、4人の中で一番年長の兵士マーク。近衛兵をしていた人物で、礼儀正しくて物知り。以前を知っている者の言葉は実感がこもっており、重い。


入って3mもすれば、それらしい反応があった。

「魔物、警戒」

何かが走ってくる小さい音が洞窟内を響いた。

小さく光る目が…多数。その様子に小夜子の体が少し竦んだのを感じたが、思ったよりも恐怖はない。

ランプの光源があたる5m先に、30㎝ぐらいの大きなネズミが、歯を向いて走ってきているのが目に入った。

「噛みつかれるなよ。こいつに噛みつかれると…」

小夜子の喉が鳴る。

――ひたすら笑うことになる」

「笑う?!」

思ってもみなかった言葉に小夜子は叫ぶ。その声に反応してネズミは走ってくるが、マジックアイテムの結界にはじき返されている。

弾き返されたネズミの名前が画面に出た。

ピエロマウス。笑いたくもないのに、笑わせる。道化師ものになる

なるほど。それは、嫌かも。

倒されたピエロマウスは10匹。倒された場所に残されたモノは、魔石と帽子。

ピエロ帽…被って歌舞くと髪の毛が生えてくる。防御力up

ダジャレ?!


書いていることは、ありなのか、シャレなのか、良く分からないけれど、このマジックアイテムは、意外に需要…あると思う。

ジッとこちらを見ている視線を感じた。

マークさん?

猫毛って年齢と共に、薄くなるのかな?

そんな疑問を小夜子は持ちつつも、猫でも人間でもストレスで禿げることはある。マークを見ても毛を気にすることはないように思うけれど、実は栄養が足りなくて、実は隠れ禿げが?

デリケートな問題だから、突っ込まないでおこう。

小夜子は手に持っている帽子をマークの方に差し出した。


「要りますか?」

「是非!!」

需要、かなりあり。

ならば。

「じゃんじゃん行ってみよう!」


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