70話~爆発~
しぶ子は、節分の朝を知らせるアラームの音に起こされた。
海人がいないって事は、今は現実の方なのか。
しぶ子はアラームを止めると再び目を瞑った。
すると、桜の花びらが舞う景色がひろがった。
少し、目を瞑らないようにしよう。
私はこの今を、まずは生きなければいけない。
しぶ子は起き上がると、目覚めの珈琲のお湯を作る為にケトルに水を入れると、スイッチを押した。
それはそうと、今年の恵方はどっちだっけ?
恵方巻も買いにいかないとな。あと、魔除けの柊も。それに普通に仕事もあるし今日は忙しいや。
でもその前に。
しぶ子は、記憶を頼りに69話を書き終えると、小説投稿サイトに投稿をした。
もう13万文字なのか。
なんかここまで書き続けるなんて、正直、数ヵ月前の自分では想像出来なかった。
ずっと、ここまで書いてきた理由。
色々を諦めても、書く事に時間を注いできた理由。
それは、シンプルに女装男子がいつも必死で、ずっと柊の為に頑張っていたからだった。
一言で言うと、情が移ったから。
その経過の中で、タイムトラベルとか、妄想にもほどがあるこの時間や空間の物語に、固定観念はぶち壊されてきた。
その度に、色々と自分なりに試行錯誤をしてきたつもりだった。
「ホワイトいないの?」
しぶ子は宙に向かって問いかけた。
返事は無かった。
よくよく考えたらおかしいよね。
メイは私の為に、上層部のホワイトは奔走しているから、最近見かけないとか言ってたけど。
そんな人が、そもそも遭難していたJと海人を保護して?
古墳の光の渦にぶちこんで?
色々な物を与えて不自由ない状態にして?
21世紀の前世の元へ行ってこいとか?
物語を書くように言えとか?
それでありながら、海人の樹木化はほったらかし?
Jが呼ぶ前に現れたかと思ったら、今度はいくら呼んでも現れない。
いやいや、そうだよ。
よく考えたらさ、突っ込みどころ満載どころか
突っ込みどころしかなかったわ。
上層部なら?
こんな状態、実は一瞬で片付けられるんじゃないの?
ホワイトなら?
そんなの一瞬で片付けられるんでしょ?
片付けられるはずだよね。
だってずっと傍にいたんだから。
私の傍にずっと、守護としていたんだから。
私もあなたをずっと一番近くで見てきたんだから。
私が誰よりもあなたにいつも、ずっと試されてきたんだから。
つまりは、来世がないような道を作ったのが、ホワイトなんでしょ?
柊を目覚めさせない未来を作ったのはホワイトなんでしょ?
海人を、つまりは私の魂を試したんでしょ?
どうするか?諦めるのか?諦めないのか?
諦めなかった海人を、次はわざと遭難させたのもホワイト。それからどんな行動をするか?
挙げ句の果てには、私に繋げて、古墳に行く様に誘導して。
私が一喜一憂する度に フォローする振りもしたりして。
でも、いつもいつも、実際私の心を痛め付けてきたのがホワイトなんでしょ?
痛め付けられる度に、私がどうするのか。
どんな行動を、どんな想いで成し遂げていくのか。
あの真っ暗な世界で聞こえてきた声の主
あれも、ホワイトなんだよね?
そうやっていつも試した。
そう、試してきたのよ。
ずっと、いない振りをして今も実はいるんだよね?
『感情の海原を決して波立たせてはいけない、判断が鈍る。』
って、ずっとホワイトに叱られて叱られて生きてきたのに。
私を教育してきたのは私の守護のホワイトなのに、いつもいつも、最後にそう仕向けてくるのは守護じゃない!
「いいから!答えてよ!!!」
しぶ子の悲鳴に近い言葉が、部屋中に反響した。
すると、どこからか声が降ってきた。
『そんな愚痴は、未来への鍵を開けてから言えばいい。話はそれからだ。』




