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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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66話~眠ってる間は最強説~



風が渦を作ったかと思うと、柊としぶ子を一瞬でその空間に巻き上げた。


風で作られたトンネルの中に、ふたりはいた。


柊はしぶ子に向かって、両手を伸ばした。

風を受けた柊の黒い髪と洋服の裾がたなびいた。


しぶ子も必死で右手を伸ばした。


「早く!!!柊!!!」


手と手が触れそうになると、荒ぶる風が柊の身体を容赦ない強い風で引き離した。


柊の身体はくるくると、まるでメリーゴーランドの様に宙を舞った。


「なんなのよ!止みなさいよ!この風!!!」


しぶ子は苛立ちながらも、右手を更に伸ばした。


柊は、回転する渦の流れに翻弄されながらも

顔をしかめながら、しぶ子へ手を伸ばし続けた。


さながら、風に乗って空を飛ぶ渡り鳥のように。



何か方法が、方法があるはず……

何か突破口があるはず……

考えなくちゃ……考えなくちゃ……


しぶ子は、ゆっくりと壮大なヴィジョンの世界の中で、周囲を見渡した。


待って……この空間はそもそも何なのだろう?


手を伸ばす柊は、風の流れに翻弄されつつも

手を伸ばし、前進しているかの様だった。


そっか……そういう事か……


年末に目の前にひろがったトンネル。

結局、掴めなかったあのトンネル。


こここそが、そのトンネルの内部なのかも?

物語の中で、ワームホールとか色々確か出てきたはず。

難しい話は私にはわからないけど、今なんでこんな現象がいきなり繰り広げられちゃってるんだって、正直別目線では思っちゃってる自分がいるけれど



トンネルを抜けたら、目が眩む様な

まぶしい光が待っている。

それだけは、無知な私でもわかってる。



しぶ子は、手を伸ばす柊の手の指先が自分の指先に触れるとわざと手を引っ込めた。



柊は少し驚いた顔をしたけれど、またすぐにしぶ子に手を伸ばした。風が柊の長い黒髪をさらに巻き上げた。



「私の手を掴むまで、諦めないで柊!!そのまま進んで!!!!」



柊は唇を噛み締めて頷くと、風のトンネルを全身を使って両手を伸ばしさらに泳ぎはじめた。









2020年1月29日



しぶ子さんは今日もいつも通り朝目覚めると

猫にご飯をあげた後、自分の朝食をとった。


26日からしぶ子さんのトータルの睡眠時間がとても増えた。

それ以外は特に変わった様子はみられない。


今日は朝食後、すぐにまた眠ってしまった。


やはり体調が悪いのかもしれないと、様子をみていたがすぐ起きたかと思うと、次は洗濯をはじめた。ただの二度寝だったのかもしれない。


洗濯が終わり、干す為に洗濯機の扉をしぶ子さんが開けた。洗濯物をかごに移していると、突然その場で電池が切れたかの様に倒れた。

さすがに心配になるも、10分後、何事もなかったかの様に起き上がると洗濯の続きをはじめた。


洗濯物を干し終わり、カゴを抱えると、しぶ子さんはまたその場に崩れ落ちる様に倒れ、眠ってしまった。

さすがに、これは様子がおかしい。


ホワイトさんに報告をしようか悩んでいると

また、しぶ子さんは起き上がり今度は掃除をはじめた。


普通に掃除を進めていたが、モップを両手に持ったまま、ガクンといきなり正座し、ソファに頭を乗せてまた眠ってしまった。

やはりホワイトさんに報告する事にしよう。



~J~




Jは入力を終えると、立ち上がった。


ホワイトさんに報告して欲しいと頼まれたものの、どうやって呼べばいいんだろう?そう考えた途中の段階で、既にホワイトは目の前に立っていた。


「さすがですね。」


『しぶ子の様子は?』


Jは早速、記録データを見せながら、数日しぶ子がよく眠るという事。今日は特にひどく、朝起きてから頻繁に意識を失う様に眠ったり目覚めたりを繰り返している事を伝えた。


「あぁ……ほら、また。」


Jがスクリーンを見上げた。


目覚めたあと数歩歩いたかと思うと、今度は床に倒れて、そのまま眠ってしまったしぶ子が映し出されていた。


「僕、さすがに今から行ってきます。」


Jがそう言うと、ホワイトが制止した。


『このままでいい。彼女は今戦っている。』


「戦っている?」


『不可能を可能にする為に。だから、このまま寝かせておいてやってほしい。』


そうホワイトは優しく微笑むと、立ち去った。


「でも、あんな床で寝てしまって、風邪をひいてしまわないか心配してしまうな。」


Jがそう心配しながら、スクリーンに目を戻すと、しぶ子の室内に白猫が入ってきた。


白猫は、床の上でうつぶせになって眠るしぶ子の背中に軽やかに乗ると、身体を丸くし一緒に眠りはじめた。





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