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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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47話~邪馬台国二代目台与~


「今日は、その服で行くんですか?」


Jは着替え中の海人に語りかけた。


海人は、ホワイトが用意してくれたルームで身綺麗にしてから、同じく用意された衣類品の中から、スカートをチョイスし身に纏いはじめていた。


「しぶ子ってさ、俺の事女装男子って呼ぶんだもん。

今はその方が混乱させないかなって。あと、いずれ弥生時代の下りを話す時に、トヨの姿を先に見せておく方がいいかなって。」


「確かに。その方が懸命ですね。あと、ホワイトさんの働きかけもあるのか、かなり色々察しはじめてるみたいです。海人さんが来世なのは、夢を見たらしく、理解はされてるみたいです。」


「でも、いつもまず否定するんだ。最初必ず見なかった事にしようとする。」


海人は虚ろな目で、呟いた。


「理解したいけど理解したくない。無理もありません。いわゆる心の防御反応だと僕は思います。」


Jは、理解を示す言葉を返した。


「色々あれから俺も調べてみたんだ、しぶ子は科学者でも巫女でもない。小さい頃からその能力を否定されて生きてきたから、その部分は隠して生きてるみたい。」


「この時代では無理もありません。デメリットの方が多すぎますからね。

でも、ちゃんと本質はわかってる方だと思います。僕も調べた限り、本能で動く時は動かれています。

やはり、一番大事なのは生命同士の……。」


「コミュニケーション!」


Jの続きの言葉に被せる様に、海人が一緒に言うと、ふたりは顔を見合わせ笑った。


「まずは、しぶ子に俺自身を知ってもらう事だよね。距離を縮めてくる。」


海人は新しい巻き髪のウィッグをつけ、大きな鏡の前で

真っ赤な口紅を小指で、自分の下唇にひいた。


「鏡って、思えば凄い発明だよね。じゃあ行ってくる。」

  

海人はJにそう告げると、また扉をくぐった。






「あぁ……女装男子がまたいる……。」


海人に気づいたしぶ子は、あからさまに嫌なオーラを放ち始めた。


「今日はしぶ子とゆっくり話をしたくて来ちゃった♪」


海人は、笑顔で話しかけた。


しぶ子の方も、少し前に目の前に現れていたヒメコや爽から、ぼんやりと話を聞いていたり、夢でこの女装男子が自分のどうやら来世らしいメッセージは受け取っていた事もあって、暫く考え込んだあと


「わかった、聞かせて?」


と、ソファに座ると猫を膝に乗せ、海人の話を聞く姿勢をみせた。


「有り難う♪ところで古墳の本は読んでくれた?」


「一応わね、でも私には難しすぎて、頭から煙が出そうになった。とりあえず古墳が滅茶苦茶多いのだけは分かったかな。」


海人はしぶ子の反応を見ながら、何処から話そうか悩んだ。

とりあえずコミュニケーションだったな、海人はしぶ子の話をまずは聞く事にした。


「不思議な力に気づいたのはいつだったの?」


「4歳の頃、空に龍が飛んでたのを視たのがはじめてだった。」


「ふーん、その話は普段したりするの?」


「そんな事しない。普通は信じないし何の得にもならないし、気持ち悪いって思われるだけだし。だから正直、今女装男子と話してるのも妄想だったらいいのにって思ってる。」


「じゃあ何で話を今してくれてるの?」


「……………。」


「しぶ子ちゃん?」


「だって、女装男子は何か今困ってるんでしょう?

今まで私の所に来た幽霊とか、みんな困っていたから。でも、先に言っとくけど、私は話を聞く事しか出来ない。私に過度な期待をされても困るの。」


海人はソファに一緒に腰かけて、自分の顎を右手で触りながら暫く考え込んだ。


「わかった、とりあえず話を聞いてよ。

頭柔らかくして、否定しないで聞いてくれない?

それだけでまずは構わないからさ。」


海人が真剣な眼差しでしぶ子を見つめると、しぶ子は、静かに頷いた。


大きな深呼吸をしたあと、海人は自分はしぶ子の転生した存在だという事と、最近まで弥生時代で奔走していた事等を語った。


「女装男子は私の来世?じゃあ未来人って事?

でも、最近まで弥生時代にいた?

え?まさか、そんな格好で??」


「うん最初に会った、あの白いドレス姿でいたかな。」


「え?弥生時代だよ?邪馬台国とかの?卑弥呼(ヒミコ)とか台与(トヨ)とか空白の150年とか、未だに謎に包まれた時代の弥生時代に、そんな洋服の女装男子がいたとか、ないない!あり得ない!そんなの頭おかしい。」


「空白の150年???」


しぶ子は、近くにあった自分のタブレットを操作すると、ページを開いて海人に見せた。


そのページには、弥生時代には邪馬台国と言う国があり、卑弥呼(ヒミコ)という女王が鬼道を使って治めていた事、邪馬台国の場所が未だにわからない事。

卑弥呼の後継者は、台与という女性だった事。

そしてその後の詳細な記録が全く残っておらず

空白の150年として、謎に包まれている事が記載されていた。


「有り難う、額田さん。ぼんやり最強だな。」


海人はページを見ながら、小さな声でそう呟いたあと、大きく息を吐いた。


「頭おかしいって思うよ。でも、弥生時代にこんな格好でいたのは事実なんだ。信じなくて全然いいからさ、とりあえず否定だけはしないで?そうしないと話が進まないんだ。」


「だって、弥生時代に洋服だよ??おまけに女装って、そんなの今までの私の経験に無いし理解したくない。

あぁ本当に頭痛くなってきた、お願いだから目の前から早く消えて!私は普通に生きたいだけなのに、なんでいつも私の日常の邪魔ばかりしてくるのよ!!」


しぶ子は両手で耳を塞ぐと、固く目を瞑り頭を横に振って自分の気持ちをぶちまけた。


それを聞いた海人は立ち上がると、ソファに座っているしぶ子の前にしゃがみこんだ。

そして、しぶ子の両手を掴み、ゆっくりと耳から離すと自分の両手で固く握りしめた。


しぶ子は閉じていた目を開けると、正面にある、海人の目を、泣きそうになりながら見つめ返した。


「あぁ、あんたホントにかったるいなぁ。

何でいつもいつもそんな否定しちゃうんだよ。

だからいつまでたっても、変わらねぇんだよ。


そんな事あるはずない?よく振り返って考えてみろよ。あんたの人生のほぼ、ありえないのオンパレードじゃねぇか。


何、今さら怖じけづいてんだよ。

その腐りきった両目こじあけてちゃんとみろよ!!」


しぶ子は耐えきれず、視線を右下に落とした。


すると海人は、今度は両手でしぶ子の両肩を掴み

激しく揺さぶりながら、こう言った。


「いいからちゃんとみるんだ!今、あんたがくたばったらおしまいなんだよ!それぐらい理解できてるだろ!?


じゃあ、あんたが今まで向き合ってきた視えない存在、妄想か?妄想でいいのか?じゃああんたは今まで何と戦ってきたんだよ!何を守ってきたんだよ!何のために生かされてきたんだよ!


ちゃんと胸に手をあてて、考えろ!


俺は弥生時代にいたし、このままでいたんだわ。もう、しかたねーんだわ。わかってもらえねーのわかっててこっちも言ってるんだわ。こっちも正直つれーんだわ。


だからさー、あんたはせめて信じようよ?

あんたは俺で、俺はあんたなんだからさぁ。」


すると、黙っていたしぶ子が反論した。


「ほらそれよ!そんな口調の人間が弥生時代に

いるわけない!」


「あーまたそれだよ。だーかーらー弥生時代に、なんでこんな格好の?とか、こんな口調の?とか、なんで、男なのに女なのとか?もう、固定観念捨てよ?ね?捨てちゃお?


アニメとか小説とかなら受け入れるじゃん。なんで、それは受け入れる事できて、今!この目の前の今!!それを否定しちゃうかなぁ。


小さい頃、浦島太郎好きだったんじゃねーの?竜宮城いってみたーいなんて、思ってた口でしょ?


だからもういいじゃん。そんなノリでとりあえず進もうよ。1630円分の取引きはちゃんとするからさ。」


海人は、しぶ子から手を離すと立ち上がり、さっきしぶ子から見せられた端末を操作しはじめ、台与(とよ)の説明が書かれたページを開くと、しぶ子に手渡した。


しぶ子は、そのページに目を通し始めた。


「ね?おっけー?じゃあいいでちゅかー?

ねぇねぇ、ちゃんと聞いてくださいね

しぶ子ちゃーん!?言うよ?いい?


お・れ・は・TOYO♪」



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