46話~人物相関図~
「そして、カレーが出来た頃に、此方に帰ってきたんですね。」
Jが笑顔で、海人に語りかけた。
「なんか、しぶ子って俺の前世、普通の人なんだよ。科学者でもないしさ、巫女とかでもない、普通の一般人。」
「そのようですね。」
「そんな日常に、俺みたいなのが侵食してさ。自分の事が悪にしか思えなくなってくる。」
「前世は同じ魂です。誰よりも海人さん、貴方の味方だと思います。後ろ向きな考えになりがちなのはきっと、お腹が空いてるのもあると思います。
思えば、ハヒコさんから貰った握り飯が最後の食事ですしね。」
そう言うと、Jは小さなサプリメントの入ったケースを海人に渡した。
「これは?」
「ホワイトさんからの支給品です。これ一粒で、一日のエネルギー、水すら補えるらしいです。」
海人はそれを一粒口に放り込むと、飲み込んだ。
すると、体が満腹感を感じ始めた。
『こんなサプリメントより、本当のカレーライスが食べたいか海人。』
気づくとそこに、ホワイトが立っていた。
「心を読んだの?まぁいいけど。相変わらず、神出鬼没なじいさんだな。」
すると、ホワイトは空間のスクリーンにしぶ子の映像を流しはじめた。
それは、しぶ子の日常生活のダイジェスト映像だった。
暫く黙って見ていた海人が、ホワイトにこう言った。
「しぶ子の人格はわかってきたけどさ、、これに何の意味があるの?俺の話をしたところでさ、それが柊を助ける事になるとは、到底思えないんだけど。」
すると、一緒に見ていたJが、スクリーンにどんどん近づいていったかと思うと
「映像を止めてください!!!」
と、急に大声で叫んだ。
直後、スクリーンの映像が静止画像になった。
「いきなり、どうしたんだよJ……。」
「待ってください……海人さんがあの扉をくぐってしぶ子さんに会いにいった日付は2019年10月13日でしたよね。
この映像の日付は、2019年9月6日。少し前の記録みたいです。
しぶ子さんが独り言を話してる風にみえますが、よく目をこらしてみてください、誰かと話をしています。」
海人は言われた通り、目をこらして一時停止した静止画像を
見つめた。だんだんとぼんやりとした姿が鮮明になっていった。
「ヒメコさんがいる、え?なんで?」
ホワイトは頷くと、映像の再生を再開した。
「爽さん!!!」
Jが、また大声をあげた。
次に流れ始めた映像の日付は、2019年9月15日。
しぶ子がとある遺跡を訪れ、爽と接触している
姿が映し出され、そこで映像が終わった。
「え?どういう事?なんでしぶ子は、俺より先に既にヒメコさん、爽さんの二人に会ってるんだよ。」
『それはきっと、ふたりがお前達を助けたいと、そう心から願ったから。』
ホワイトは、そう言うと人物相関図みたいな表を、空間に浮き上がらせ説明をはじめた。
『何故、難波しぶ子とコンタクトを取れと言ったかの説明をしておこう。
しぶ子が、海人の前世なのは前に話をした通り。そして、この者がJ、お前の前世。
次にこの者がメイ、この者がヒメコ、この者が爽の前世。そして最後、この者が柊の前世。
みんなこの時代に生き、しぶ子とは既に面識がある人物達だ。』
「そんな……。みんなの前世が、この時代でそれもとても近くに集結しているなんて。」
Jがその画像を頭に叩き込むべく、隅から隅まで見渡した。
『ヒメコと爽が、しぶ子に接触出来たのは、ヒメコと爽の前世がしぶ子の近くに存在していたから。縁の糸はパイプとなるもの。
関係者が集結しているこの時代を触ると、色々道が変化をするだろう。』
「なるほど。ヒメコさんと爽さんは僕達を今も尚、心配してくれてるんですね。だから、既にしぶ子さんに向けて色々メッセージを送ってくれていた。僕はもう少し踏ん張らないといけないな。」
Jの顔が、やる気に満ち溢れた顔つきに変わった。
すると、ずっと黙っていた海人がゆっくりと
歩き出したかと思うと、その相関図表の目の前に立った。
そして、ぽつりとこう言った。
「この人が、柊の前世なんだ。
この人の魂に、来世で俺と出会うんじゃないって刻みこめば、未来は変わるのかもしれないね。」




