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『海人と柊』~女装男子~  作者: なにわしぶ子
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29話~僕に任せて下さい~


 「これはトップシークレットな話なので、知らなくて当然です。あと、あの墳丘墓自体はいわゆるアンテナがあるぐらいで、大きな事は出来ないようです。」


「話が見えないな、じゃあなんでピラミッドなわけ?」


海人には意味が到底理解出来なかった。

一体この世界は、どれだけ秘密が溢れているというのだ。


「トラベル全盛期、何かあった時の為にと色々な時代時代、色々な場所に施設が置かれました。いわゆるエネルギーが切れても充電出来る様なスタンドの役割を担える場所。

そして概ねそれは遺跡や墓に置かれました。守られる場所なので目眩ましになり都合がいい。」


「確かにそうだよな」


「墳丘墓を使い未来とコンタクトは取れるかもですが、還る動力補充は無理そうです。残された手はこの時代での最大の避難ポイントであるピラミッドでエネルギーを貰う事なんですが、ただ、現在の状況でエジプトまで行くのは色々と困難です。」


「ピラミッド?」


「ピラミッドは最大のタイムトラベル施設なんです。ここに関しては箝口令が敷かれていて、僕も全てを知る事は出来ないんですが、まぁそんなピラミッドに近いシステムを、この近くに構築しようと思っています。」


「は?ピラミッドがなんか凄いのはわかったけどさ、それに一体何の意味があるわけ?」


「いわゆる、エネルギー増幅。そんな活性化させる事が出来るんです。」


「あぁ、確かピラミッドの中って腐敗が起きないんだよね。あの独特の形がそうさせるんだっけ?」


「いえ、それもあるかもですが石ですね。つまりは磁場。」


「磁場を作り、マシンをそこに置くと回復するって事?」


「僕達と爽さんのマシンはいわば傷を負ってるので、応急手当ては勿論出来るんですが、少し不安が残るのが正直な所です。ここは石橋を叩きながら確実にいこうと思っています。」


「ようは、その空間の中だと還る成功の確率があがるって事?」


「そうですね、そんな感じです。」


「なんかわかった気分にだけなっちゃってるけど、で?どうするの?」


「まずヒメコ様の墓を作ります。周りにはピラミッドみたいに石を敷き詰めて。」


「墓??」


「クニの皆で墓を作るんです。ピラミッドの磁場と同じものが出来る様な。そして、そこにヒメコ様を表向きに埋葬するんです。実際はマシンに。勿論、魏から呼び寄せた爽さんも一緒に。そしてそこからおふたりを元の世界へ還すんです。」


「そ、壮大だな。」


女王と海人は、Jの右手の上に浮かぶピラミッドのホログラムを見つめながら、まだ他人事の様な感覚でいた。


「僕に任せて下さい」


Jは、着々と計画を実行しはじめた。





 それからJは、まずずっと何年も小競り合いを続けている敵国との和睦を水面下で進め始めた。


本来、女王ではなく、この敵国のリーダーがクニを束ねる歴史となるはずだった。歴史が変わった事はもはや仕方がない。


ただ、また道を当初の道にさえ戻す事が出来れば

影響は減らせるとの考えからだった。


敵国のリーダーは和睦を最初はしぶっていたが、

女王が魏から金印や様々な称号を贈られたと聞くと態度を一変させ、条件を飲み、女王が不在になったあとは自分がクニをひとつに束ね、平和な(まつりごと)をすると約束してくれた。


次にJはハヒコを通じ、女王のムラから東に少し行った場所に女王の墓を、今から事前に作っておくとクニの民達に伝えた。

そこには豊富な石灰岩と花崗岩があったからだった。


日々の稲作労働もある中で、丘を作り石を積み上げる作業は困難を極め時間を要したが、民達は女王の為ならと、喜び勇んで労働に従事した。


そこの一切の監督をハヒコに委ね、Jは自分のマシンの修復を本格的にはじめた。ある程度の修復は出来た。墳丘墓のアンテナを使い、メイとの通信も出来るまでになった。


「あと足りないのは起爆剤かな。」


Jは復旧させた自分のマシンの通信システムを使って、その日メイと相談をしていた。


「そうね、送ってもらったデータを見る限り、起爆剤が少し心配かもしれない。」


通信システムが完全に復旧し、姿を映しだす事が可能となった画面の向こう側のメイが、真剣な面持ちでそう語りかけてきた。


「起爆剤だけは、消費期限があるものだしね。遭難女性をヒメコ様が自分のマシンに乗せて還した時は、日にちもそんなに経ってなくて、特に問題もなかったんだろうけど。


さすがに爽さんのマシンの起爆剤は、もう時間が経ちすぎて使い物にならない。このマシンの起爆剤も怪しくなってきているし。」


「爽のマシンは、短距離を飛行できるくらいまでは回復したわJ。爽の感覚は鈍ってない。私の話を聞いた通りにこなしてくれてるわ。だから、今建築中のお墓。その石のシステムのエネルギーの中で、マシンを稼働させればまず間違いなく元の世界へ還せるはずよ、起爆さえうまく出来れば。」


「うん、やはり起爆だよね。着火させる事が出来る代用の物がこの時代にあればいいけど。」


「また私も考えてみるわ。あまり考えこまないでJ。最後は貴方達にも還ってきてもらわないと困るわ。」


「有り難う、必ず海人さんと還るよ、必ず。」


「色々貴方の事だから、私が上から罰せられないかとか、色々あとの事まで考えていそうだけど、大丈夫だから安心して。未来が変わればきっと全ては何とかなるわ、私が何とかしてみせる。」


「やはり、スーパーウーマンだね。」


「え?よく聞こえなかった。今何て?」


「いやいいんだ、また連絡する。メイこそ休んで。」


そう言って、Jはメイとの通信を終えて

大きく背伸びをした。


「あとは爽さんかな……。」


Jは独り言を呟いて、色々思い巡らせた。


爽もやはり亡くなったという事にしなければ、色々と話は進まないだろう。


ハヒコ以外の人の目にふれない生活をしてきた女王と違い、爽は軍師の口聞きもあって、帝の側近の家の子となり、帝にとても気に入られ、軍師同様それなりの権力を手に入れてしまっていた。


いきなり亡くなったとかのシナリオは、きっと上手くいかないだろうし、余計おかしな歴史改変を構築するだけになるだろう。


Jが魏の国を発つ時、歴史のデータを軍師に見せたあと、本来の歴史の道に戻したい事は既に伝えてあった。


それを見て、自分は軍師だから良い策を考えてみましょうと言ってくれた。


マシンも短距離を飛行出来るまでは回復したし、一度これで魏まで行き、軍師殿の計画を聞いた方がいいかもしれないな。



Jは、休んでる暇はないとばかり、また支度をはじめた。



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