27話~繋がった声の主~
Jは袖で隠していた腕時計型端末を露にして、何かを端末に向かって語りはじめた。
その直後、マシンが微かに振動をはじめた。
「良かった。本元は生きてますね。なんとかなると思います。」
そう言うと、Jは次にマシンの中へと入っていった。
その直後、その場所からマシンがいきなり忽然と消えてしまった。
「な、なんと!」
軍師は驚いて、マシンがあった場所へと駆け寄った。
すると、何かにぶつかったかの如く跳ね飛ばされ、尻餅をついた。
「大丈夫ですか!?」
すると、まるで空中から飛び出してきた様にJが現れた。
「怪我はないですか?いきなり色々をしてしまって混乱させてしまいましたね、申し訳なかったのです。」
Jは軍師に駆け寄り、抱き起こすと軍師はそれはいいから、からくりを教えて欲しいと聞いてきた。
「はい、本来、僕や爽さんみたいにミライから来た者は軍師殿みたいな今を生きる方と接触してはいけない決まりなのです。
なので、マシンには姿を消せる機能、なんと言えばわかりやすいかな……。」
「大丈夫です。ソウソウにもかなり驚かされてきました。ある程度は理解できているつもりです。いわば、術なのでしょう?」
「この場合は技“術“ですが、確かに術ではありますね。マシンが消えた様に見えるだけで、実際マシンはここに存在しています。とりあえず、水の中に隠さなくてもこれでもう大丈夫ですよ。」
Jはにっこりと微笑んで、今度は鯉を両手で抱えマシンの中へと入っていき、消えてしまった。
その動きを何往復かし、鯉がいなくなるとJは爽と軍師をマシンの中に案内をした。
爽と軍師が中へ入っていくと、既に内装のアクアリウムの槽の中で、鯉が自由に泳ぎはじめていた。
「この短時間でここまで復旧するなんて、凄い。」
そう呟きながら、爽は久しぶりに入ったマシン内部を、どこか懐かしむ様に見回しつつも、憂いの表情も浮かべた。
「僕はそろそろ女王の元に戻らなければいけません。そこで、爽さんにマシンの修復をお願いしたいのです。」
「私が?私の腕ではとても無理です。」
「大丈夫です。こちらの端末にだいたいの流れを入力しておきました。手順を踏んで頂ければ可能なのですが、少し時間が必要なのです。爽さんやっていただけませんか?」
「わ、わかりました。破損していたのにこれも修復されている……いつの間に……。」
爽はマシン内部の、Jによって修復された端末に触れ、入力されたデータに目を通しはじめた。
すると、雑音に混じりながら
人の声のような音声が、マシン内に響きはじめた。
「…………ザザザザ………SOU……聞こえますか?」
あらゆる展開についていけない軍師が
声の正体を探すべく、あちこちを見渡した。
「まさか、私の時代からコンタクト信号が?」
無断で過去にきた爽は、罪悪感もあって少し身をこわばらせた。
Jはいきなりの信号着信に、更に周波数をあわせはじめた。
マシンは幸い、自分達が乗ってきたマシンと比べると損傷はましだった。このマシンの方が恐らく、復旧は容易いだろう。
まずは、自分達の世界への干渉確認も含めて、コンタクトは取れていた方がいい。
正直、こちらからコンタクトを送る前に、信号が着信するのは想定外だったけれど、Jはとりあえずその届いてきた声をクリアにする事に専念した。
ザザザザという雑音の中に埋もれた声は、何度も同じフレーズを繰り返していた。
「こちらSOU!こちらSOU!」
爽はスイッチを押して、大声をはりあげた。
Jは色々入力する手を休める事なく、展開を静かに待った。
完全に未知の世界の展開に飲まれた状態の軍師は呆然と目の前で繰り広げられる景色をただただ見つめていた。
「待って下さい。この信号主、爽さんの時代じゃないですね。」
Jが入力する手をピタリと止めて、顔を上げた。
すると、ザザザザ……ザザザザ……と雑音の音が
だんだん小さくなっていき
明瞭で力強い女性の声が聞こえてきた。
「SOUの生存を確認。はじめましてSOU、私はあなたの時代からまた少し先の時代でこの件を任されてるメイ・フォー、宜しくね。」




