24話~魏の国~
「ヒメコさん!!Jが戻ったよ!」
海人は大きな声で、女王に声をかけた。
「J!!あぁ本当によく戻られた、さぁ、とりあえず早く火の傍に。」
女王は、Jの帰還をとても喜び、冷えきった体を温める様にと、色々世話をやきはじめた。
暖かな炎に手をかざしながら、Jは安堵の表情を浮かべた。
「ヒメコ様、ただいま戻りました。使者の団の方より一足先に帰らせて頂いたので、もう数日すれば、皆さん戻られるかと思います。
魏との同盟は無事滞りなく成功しました。
沢山の品々も預かってきています。楽しみにしていて下さいね。
そして、爽さんの話なんですが。」
そう言って、Jは女王に旅の報告を始めた。
◇
Jはムラから飛行具で飛び立って、数時間後には
海向こうの大陸に到着する事が出来た。
そこからは、ルートを先回りし、使者達を見つけた後、女王の命で来た旨を伝え合流に無事成功をした。
魏の帝が住む宮廷に着くと、皇帝と謁見をした。
帝は沢山の献上品をたいそう喜んで、友好国となってくれる事を約束してくれた。
とりあえず、第一の目的である友好関係を築けた事を見届けると、Jは早速爽の探索をはじめた。
改良した腕時計型の端末を使い、爽のチップ信号を拾えるかを、まずは試した。
チップはその人が命尽きるまで稼働を続け、信号を発信し続ける仕様になっている。
弥生時代に居たとしても、勿論、探索可能距離に限界はあるけれど、数百キロの範囲であらば、探知は可能なはずだった。
「どうか、反応します様に。」
Jはそう願いながら、操作を続けた。
すると、僅かながらの信号をキャッチした。
Jは、慌ててその地図上の場所を拡大した。
「そんな、まさか……」
キャッチした場所は、Jがまさに今滞在している
魏の宮廷の中だった。
「誤差動の可能性もある。慎重にいかないと。」
Jは、そう言いつつも、胸を踊らせた。
女王からの使者達は、魏の皇帝にとても丁重にもてなされ、暫くの間、色々歓迎したいからと滞在する事となっていた。
その期間中に、何か手がかりを見つけなければ、
そう思うも、宮廷内はとても広く、爽がどこにいるのか皆目見当もつかなかった。
「地道にいくしかないか。」
Jは見学を装って、慎重に信号を追う事にした。
すると、どうやら皇帝のいる場所の近くから反応が強くある事がわかった。
ただ、皇帝の部屋の周囲は警備も厳しく、なかなか簡単に突破は出来そうにない。
行き詰まったJが、部屋の周囲を諦めきれずにウロウロしていると、背後から突然声をかけられた。
Jは思わず体を強ばらせた。
「使者の方が、こんな所で何をされてるのです?」
振り返ると、ひとりの男性が立っていた。
顔に見覚えがあった。
帝に謁見した時に側近として同席していた人物の
ひとりだった筈。
これは、チャンスかもしれない。Jはにっこりと
微笑んだ。
「ただの、見学です。」
Jは、わざと魏の官僚の人達が使う言葉で返事をした。
「ほほう。そんな流暢に此方の言葉を話せる方が
使者の中におられたとは。
私は皇帝の側近で軍師をしてるシバイ。
良かったらそちらのクニのお話を聞かせてもらえませんか?
美味しいお茶もあるんですよ。」
そう言って、軍師だという男性は、Jを自分の部屋へと案内した。
これで探れるかもしれない
Jは、軍師の後を着いて行く事にした。




