23話~Jの帰還~
それから1ヶ月の時が流れた。
使者の団もJも、未だに帰ってきてはいなかった。
海人は、空をいつも見上げるようになった。
心配ではあったけれど、きっとJなら何とかしてくれるはず、そう信じ続けた。
そんなある日、ハヒコがいつもの様に、女王にお告げを聞きにきた。今日は、明日以降の空模様の相談だった。
海人もハヒコと一緒に、女王のする事を見る事にした。
女王は瓶に水を注ぎこむと、そこをゆっくりと覗きこんだ。
「2つ夜がきたら、嵐がくる。少し備えなさい。」
ハヒコは一礼すると、慌ててお告げを伝えにムラへと走っていった。
「へぇ、そんなのかわかるの?どうやってんの?それ。」
海人は不思議な顔で、女王に尋ねた。
「水が鏡になるのだよ。それを見ると私の目が教えてくれる。」
海人は自分は出来るか試してみた。
どうやら、それは目のチップのおまけ的な効果らしく、海人には天気を予測出来る事は出来なかった。
「ちぇっ、出来ると思ったんだけどなあ」
そう不服がる海人を、女王は微笑みながら見ていた。
すると、水瓶の水面が太陽の光で、キラキラと反射をした。
「うわ眩しい!本当に水面って鏡みたいだな。鏡面反射か……そっか……鏡の代わりに水を使えば?これ、いつか何かに応用出来るかも。」
海人は何かを閃いたのか、その場で一心不乱に記録をはじめた。
◇
2回夜がきた後、予告通り嵐がムラを襲った。
事前にムラ中で備えていたので、特に大きな被害はなかった。
そして、また女王は絶対的な存在になっていった。
「天気予報ひとつでこんな風になっちゃうんだから、そりゃヒメコさんは身動き取れなくなっちゃうよな。」
海人は、そんな独り言を呟きながら、
嵐が過ぎて、雲ひとつない空を見上げていた。
J早く帰ってきてくれよな………。
そう、心に思っていると山の向こうに光る点を見つけた。
海人は、外へと飛び出した。
だんだん近づいてくるそれは、飛行具に乗ったJだった。
「J!!」
海人は両手で手を振りながら、駆け寄っていった。
飛行具に乗ったJは、颯爽とムラの中の目だたない場所へ着地をすると、
「ただいま帰りました!海人さん!」
と、笑顔で言った。
髭が伸びて、風貌が変わったJは、少し貫禄が増した感じがした。
「まずはヒメコ様に、早くヒメコ様に報告をしないと。」
Jは飛行具をとりあえず、収納スペースに格納し終えると、女王の住居へと駆けていってしまった。
海人は、Jの慌ただしさに面くらいながらも、自分も慌ててあとを追いかけた。




