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成長加速

精霊と妖精が現れ、そして去ったその夜に『 』を見た。



「ほーら〜 起きろ〜 憎っくき勇者〜 帰るとは言ったけどね、今日はもう現れないとは言ってないよね〜!」


声は明るくとも憎悪の篭った声が聞こえた。


僕は目を開く、すると何も無い真っ黒な空間に羽を生やした手の平サイズの小さな少女がいた。


「ノルニル様を崇めなさ〜い 私が勇者である君の時を進めてあげるんだから〜 実はこんな事やりたくないけど、だけどこのままだと邪神君が降臨するまでに成長が間に合わそうだから、未来に合わせる為に私が来てあげたわ〜 土下座して咽び泣きなさい平穏を破壊する異端分子」


髪は透明で黒い空間で髪が動く度に羽から漏れる光が反射し輝く、その瞳は深海の様に暗く幻想的なまでの深淵で吸い込まれそうなほど虚ろ、顔はあどけなさが残りながらも無表情、その肢体は作られた美の様に黄金比、正に見れば囚われて仕舞う神秘だった。


「おい、何さっきから私を視姦してんの! 気っ色悪い。私にそんな視線を向けていいのは邪神君だけ! 邪神君なんて私を見て時こう言ったのよ!『蘇生アイテムがある、空き瓶何処だっけ』よ! 鎧の中から目庇の中からあらゆる所から触手を伸ばして捕まえてられて、大魔法で何度も何度も吹き飛ばしたのに伸びてくる触手や邪神君の無機質で自分を失った人の目は私の恐怖の象徴! だけど、そんなあの子が笑った時の瞳は、私達全ての国民護るべき宝物! そんな邪神君を苦しめるモノは全て消えればいい、だから、邪神君に負けた時は時空の果てにでも捨ててあげる。」


口が裂けそうなくらい三日月の如く嗤うノルニル


「私達は、未来で邪神君に会う為に全てを捨ても護る、あんな未来にはさせない為に邪魔する全てを黙らせ、塵芥に変えてあげる」


その言葉を残し、ノルニルは消え僕の視界も歪む。


バキバキ、ゴキゴキと骨が砕け、再生を繰り返す。


時間を無理矢理進めるのでは無く、肉体の一部を急激に加速させ促進を促すがその負荷により折れては再生を繰り返す、その激痛は幾らで叫ぼうとも自分の声は聞こえない。


赤子から幼児に急激に成長させられていた。


年は五歳だろうか。


それにしても全身の骨が砕け、再生を繰り返したのに五歳までしか進んでいなかった。


『不満そうね〜 まっ、セイントちゃんには危害は加えない代わりだと思いなさい、そして、私達は理想郷を作りあげるんだから』


その言葉を最後に真っ黒な空間は崩壊し僕は現実世界で目を覚ました。


まだ周りは暗い、そして隣を見ると穏やかに眠るアメリアの寝顔。


「本当に夢から覚めたのか、本当に成長したみたいですね。」


僕は自分の身体をペタペタと触り確かめる


「ううーん、特に異常は無いですね、動かして痛いわけでも無い」


そして物は試しと肉体に魔力を巡らせて行く。


十、二十と魔力を込めてみたら、魔力伝道は意外にも早く前世より強靭かつ安定性もあった。


そして、両手、両足、指などに流す流動性もあり、これなら未来はもっと強くなれると確信したのだった。



日の出を迎えた頃にアメリアは寝ぼけながらも起きた。


その頃僕は筋肉トレーニングに勤しんでいた。


「くぁぁぁぁあ〜 ふみゅふみゅ、あれ〜アーティが居ません、居ません! アーティ!」


欠伸をし寝ぼけ目を擦りながら僕の存在を確認しようと隣を弄っていたが『それ』が無く一気に意識が覚醒したアメリアは辺りを見回し、アーティの存在を確認すると弛緩した。


そんな一部始終を横目で見ていた僕は酷い人間だと思う。


「ふぁぁぁ! アーティ!心配しましたよ〜 ってあれ?アーティ大きくなりましたね?」

コテンッと首を傾げ不思議そうに僕を見るアメリア


僕は筋トレを続けながら答える


「はい、アメリア、僕は、アーティ、カリバーン、ですよ、」


腕立て伏せをしながら途切れ途切れに答える。


「そ、そうですよね! はぁ〜安心しました〜 あ〜 泣きそうになりましたよぅ〜お胸に悪いです〜」


アメリアの目尻に涙が溜まり、間延びする程怖かったみたいで心苦しくなる。


「すみません、アメリア。 僕は邪神に負けない様に強くならねばいけないのです!」


両手をぐっと握り力強くアメリアに言う。


「ふふふ、アーティは頑張り屋さんですね〜」


ニコニコと笑顔になるアメリアだが、若干寂しそうな表情が印象的だった。



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