6/21
インディアナ州の青いペンション
太郎さんが仕事の都合でインディアナ洲のとある廃墟を視察したことがある。
なかなか年期の入った青いペンキのペンションで、森の奥深くに突如現われるその人工物の異物感がとても印象的だった。
足を踏み込むと、軋む床板。ひんやり冷たい内部。
木製のテーブルやアンティークっぽいランプなど家具はそのまま置かれていて、埃を被っているのを除けば今の今まで誰かが生活しているようだった。
と、太郎さん、その中のある一室で突然足が止まる。
それは、二階の端にある広めの寝室であった。
中には大きなベッドと小さな本棚、それと壁際に古い化粧台が置いてある。
そして、誰も居ないはずのその部屋の片隅に、ひっそりと一人の女性が立っていた。
「Ghost・・・・・・」
太郎さんの呟きに、真っ白なワンピースを着た女性が顔を上げる。
・・・・・・関係ないが、太郎さんはこの世で一番はじめにゾンビになってしまう。