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奇跡の鍼灸師と俺様お嬢様  作者: 美都さほ
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苦悩する天使達

 現在の下界、ナギのマンション。


「ソウマ、チョット聞いてよ~大変だったんだから⁉」


 ⦅ナギ様、おネエ口調になっています⦆

 

 レイナに追われ天使に攻撃されたナギは帰りつくなりソウマに電話した。当然留守電だったが暫くすると折り返し掛かって来た。


「それだけピンチだったの‼」

 ⦅はい。それで?⦆

 相変わらずのおネエ口調をスルーし先を促す。


「お嬢さんに掛けた僕の術が解けたかと思えば元に戻って安心したら天使が攻撃してきて訳が分からないよ⁉」

 

 ⦅なるほど…聞いているこっちが訳分かりません⦆


 大きな溜息が聞こえたが気にせず話を続ける。

「近くで見ていたよね?あの天使何者?何でお嬢さんと知り合いなの?」

 ⦅当人は通りすがりの見知らぬ者と言っていました⦆

「えっ?そうなの?でもその天使、お嬢さんを守っているように見えたよ?」

 やはりそうかと耳元で聞こえる。一抹の不安を感じたナギはゴクリと唾を飲み込みソウマの言葉を待つ。


 ⦅おそらく…あの天使はコノハ様の側近、大天使ミカの弟子トウヤだと思われます⦆


「えっ…?マジ…?」

 

 衝撃的なソウマの言葉に青ざめる。

 ⦅私も数回すれ違っただけですから断言は出来ませんが…⦆

「ヤバくない?母上が絡んでいたとしたら僕どうなるよ?」

 ⦅神が指名手配なんて前代未聞ですからね、バレたら永久追放でしょうか?⦆

「だーかーらー冤罪だって言ってるだろう?」

 ⦅被害者は結婚をちらつかせ金品や身体を要求されたと言っています⦆

「僕一度もそんな事をした覚え無いよ⁉濡れ衣だよ‼酷いよ‼」

 ⦅無免許で施術し大金巻き上げたのは事実です。立派な犯罪者です⦆

「そんな事言わずに何とかしてよ~怖くてマンションから出られない」

 ⦅ご自分の顔に鍼刺してクリニック的な施術で整形したらどうです?⦆


「出来ないよそんなの⁉出来てもやらないけどね」


 ⦅チッ‼⦆

「うわっ⁉又舌打ち」

 ⦅分かりました。何とかしましょう…それまではウロウロしないで下さいね⦆

「ありがとうソウマ。頼りにしているよ」


 ⦅それから…その携帯電話は破棄して下さい。新しいものをこちらで用意します…刑事に電話とか馬鹿なのかこいつは‼⦆


「心の声は隠そうか…ソウマ君」


 携帯電話を切りポケットにしまうソウマ。

「ったく手のかかる王子だ!」

 詰所に戻ろうとしたところで声を掛けられる。

「白井!課長に報告する間、西園寺を見ていてくれないか?」

「了解です」

「じゃあ頼んだぞ‼」

 手を振り走って行く新垣。


「はあ~やれやれだぜ…」


 ◆◇◆◇◆


「西園寺が神野に遭遇し一時的に元に戻っただと?」


 報告を受けた三木が怪訝な顔をする。

「はい、いつもの西園寺みたいでした」

 新垣が答え中村とナツキが頷く。

「どうゆう事だ?術が解けかかっているとか?」

 顎に手をやり首を傾げる。

「西園寺の話では電話がかかってきて気付いたら神野を追い掛けていたそうです」

「誰からの電話だ?」

「非通知でしたが、おそらく神野なのではないかと…」

 三木の鋭い目が光る。

「なるほど…元に戻った訳ではなく神野に操られていたのか…自分は捕まらないと言うパフォーマンスでも見せたかったのか?」

「なめた野郎だ‼絶対逮捕してやる‼」

 中村が憤慨し拳を握り締める。


「ところで…西園寺はどうしている?」

「会議室で白井と待機中です」

 立ち上がりかけた新垣が答える。

「そうか…もう暫く待機した後、帰って休むよう伝えてくれ」

「それなら僕が送って行きます。朝まで護衛するのでご心配無く」

 ナツキが立ち上がる。

「ご心配だらけだよ‼俺も一緒について行く‼」

 中村も立ち上がる。

「又お前らは⁉」

「ああ…それなんだが、署長が西園寺の親御さんに連絡したみたいで、有能な執事がプライベートジェットでもうすぐ到着するらしい」


 ◆◇◆◇◆


 太平洋沿岸の機内。


「苦節数年やっとお嬢様のもとで調教…もとい教育して貰う日が来るのですね」

 天野はハンカチで涙を拭う。

「何度逃げ出そうかと思いましたが、必ずお嬢様と再会出来ると信じ今日まで耐えることが出来ました」

 ジェット機が着陸準備に入る。


「今行きますよお嬢様。最初の教育は往復ビンタ希望です‼」


 ◆◇◆◇◆


 天界、王の宮殿。


「悪魔を追いかけていただと?」


 下界の出来事を聞かされたミカが目を丸くする。

「はい。レイナ殿は刑事、犯罪者を捕縛する者。おそらくその悪魔、何かしらの悪事を働き人間に追われる事になったのでしょう」

「はぐれ悪魔がしそうな事だな」

 下唇に手をやり神妙な顔のミカ。


「そしてその悪魔は彼女に追われ反撃、結界が破壊され術を掛けられた…」


「なるほど…そう言う事だったのか」

「精神を縛られても尚、悪魔を追い掛ける正義感…心配です‼」

「ああ。何か良い手立てを考えなければならないな」

 中らずと雖も遠からずな結論を出したミカ達に近付く者がいた。


「ミカ様」


 不意に声を掛けられ振り向く。

「やあ!マサト。どうしたこんな時間に?勤務は朝からだろう」

 宮殿で護衛の仕事に就いているマサトが荷物を持って立っていた。


「実は暫く天界を離れ下界の任務に就くよう命じられました」


「そうか…急だな」

「それで、お願いがあるのですが…」

 言い出しにくそうにしているマサト。察したミカが言葉にする。


「行方不明の兄の事だろう?」


「はい。そうです‼」

 俯いた顔をパッとあげ肯定する。

「見つかったらちゃんと知らせるよ」

 マサトの肩を叩き安心しろと微笑む。

「ありがとうございます」

 深々と頭を下げるマサト。

「気を付けて励んで来い」

「はい。行ってまいります」

 踵を返し王宮へと駆け出す。


「下界で任務か…ここで兄の帰りを待ちたいだろうに…」

 しんみりと話すミカに相槌を打つトウヤ。


「はい。どこに行かれたんでしょうね?マヒロ様」


 ◆◇◆◇◆


 緑川警察署。


 ドタドタドタ…バーーーーン‼


「お嬢様‼ノックも無しに入りましたよ‼」

 勢いよくドアを開け入ってきた天野。


「…」


 詰所に居た面々がポカンと天野を見る。

「えっ?お嬢様は?」

「あなたが西園寺家執事の天野さんですか?」

 三木が立ち上がり問い掛ける。

「はい。お嬢様専用執事、天野です」

「西園寺は別室で待機中です。どうぞこちらへ」

 課長は天野を会議室へと促す。


「西園寺がどうゆう状態かはもう聞いておられますか?」


「お嬢様の状態?(お嬢様のお世話が出来ると聞いた途端妄想の世界に入って聞いてないな)いえ。詳しくは…」

「そうですか、なら見てもらった方が早いでしょう。この部屋に…天野さん⁉」

 この部屋と聞いた途端、バターンとドアを開ける。


「お嬢様‼お迎えにあがりました‼」

 天野は期待に満ちた顔をしてレイナを見る。


(往復ビンタ、カモーン‼)


「…」


「あれ?デジャヴ?」

 天界での悪夢が蘇る。

「ご苦労様です天野。私の為に来てくれて感謝します」

 ペコリと頭を下げるレイナ。

「お嬢様?これは新手の教育でしょうか…?」

 ゴクンと生唾を飲む。

「気が付かれましたか?」


「えっ…?」


 天野は固まった顔をギギギと三木に向ける。

「西園寺は今、鍼灸師によって悪意ある施術を施され誰にでも従順になってしまう状態なんです」


「誰にでも従順…?」


「はい。犯人は西園寺に接触を図っているようなので家に居る時は天野さんに西園寺の警護を頼みたい」

 話を続ける三木の声はもう天野には届いていなかった。


「何て事だ…」


 呆然とする天野。

「では、私はこれで」

 三木は一礼すると会議室を出て行った。


(私は又…主を失くしたのか…?)


 天野を優しく見つめ微笑むレイナ。

「そんな顔を私に見せないで下さい…お嬢様…」

「はい、天野。これでいいですか?」

 両手で顔を隠すレイナを見て震え出す天野。

「嘘だと言ってくれ…」

「?嘘だ?」


「ああああぁぁぁー」


 その場に崩れ落ちる天野だった。



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