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僕らの家

 雛の家は、村の外れにある龍ヶ守(たつがもり)神社の神主や巫女を、代々受け継いで行っている家系だ。雛と雛の父親は、神社の境内にある家に住んでいる。雛の母親は、十年程前に亡くなった。村に居場所の無い僕も、一緒に住まわせてもらっている。

 龍ヶ守神社の歴史は古く、いつ、誰が、どうしてこの神社を建てたのかはもう分からなくなってしまったらしい。立派な社と、丸い水晶のような御神体もあるが、社は所々ボロボロになってしまっている。しかし、そこまで行くには長くて急な階段を上らなくてはならない。その階段を上りきり、大きくて色のあせた鳥居をくぐると、雛がグィーッと伸びをした。

「やっっっっと着いたぁー!毎回思うけど、何でこんなに階段多いのー!」

「こら。雛の先祖の人が建てたんだから、文句言わない。それに、雛はこれ位じゃ疲れないでしょ?」

「そうだけど………。流石に多すぎるよ………。」

 雛はブツブツと呟きながら境内を進んでいく。雛に着いていき、社の前を通った時、ふと社の奥の御神体が目に入った。僕が立ち止まると、雛も立ち止まって振り向いた。

「どうかした?」

「いや、ここの御神体って不思議だなーって思って。」

「不思議?どこら辺が?確かに珍しい色の水晶だとは思うけど。」

「それもそうなんだけど、何だろう。」

 ここの御神体の水晶は、赤と黒で半々に色付いている。僕にはそれが、水晶の中で何かと何かがせめぎ合っているように思えるのだ。これはただの水晶で、そんな事はありえない。そう自分に言い聞かせる。

「ううん。やっぱり何でもないや。早く行こう。」

「時雨がそう言うならいいけど……。」

 その後は普通の会話をしながら雛の家に向かった。神社の境内といっても、だいぶ広いので、鳥居をくぐってからもそこそこ歩かなければならない。そんな場所にある家が、立派でない訳もなく、僕の目の前には、村にある家数個分ほどの大きさの家があった。

「何度見ても雛の家って大きいよね。」

「大きくても結構年期入ってるし、ボロボロだよ。………それに広すぎて少し寂しい感じがするし。時雨が来てくれて良かったよ!さ!家入っちゃお!お父さーん!ただいまー!」

 家の扉を開けながら、雛は家の中に居るであろう父親に声をかけた。そして入り口に立ったままの僕に手を差し伸べる。

「時雨も早く!」

 少し照れ臭いがその手を取り、僕も言う。

「………ただいま!」

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