序章
行き当たりばったりで、少し変に感じるところが出てくるかもしれませんが、楽しんで読んでいただけたらなと思います。よろしくお願いします。
ーー美しい。ーー
水中に沈められているにも関わらず、そんなことを思ってしまう。
アイツらにまたやられて、水中の岩に縄でくくりつけられて、水から上がれないようにされて。そうなってからどれ程の時間が経っただろうか。刻一刻と意識が遠のいていくのがわかる。
でも、そんな状態だからこそ、水中を泳ぐ魚の輝く鱗を、水の流れに身を委ねて揺蕩っている水草を、呑気に「美しい」なんて思ってしまうのかもしれない。
ーー僕は、このまま死んでしまうんだろうか。ーー
あぁ、そうなったらどれだけいいことか。
僕が死ねば、アイツらに会うこともないし、村の皆も僕を厄介払い出来て喜ぶはずだ。僕がいなくなることによって、僕の周りの人達は幸せになるんだ。
そう考えると、「死」がとても魅力的に思えた。いっそこのまま死んでしまいたい。そんな考えが頭をよぎる。
だが、それと同時に「あの子」の顔が浮かんだ。アイツらからいつも守ってくれた「あの子」。いつもニコニコと笑って、村の皆に信頼されている「あの子」。僕のたった一人の友達になってくれた「あの子」。
僕が死にたいと願っても、「あの子」はきっと僕を助けるのだろう。眩しいほどの笑顔で僕の名前を呼んで、手を引くのだろう。
すると、水面に影が落ちた。水のせいで歪んで、姿は見えないけれど、「あの子」だと思った。僕は結局、また「あの子」に助けられてしまうのか。そのことにホッとしている自分に嫌気がさす。死にたいと願っておきながら、死ぬのが怖くて仕方ない。アイツらにいいようにされて、「あの子」が助けに来てくれると信じて、じっと耐えるのだ。なんて情けなく、なんて卑怯なのか。あぁ、本当に、
ーー何をやってるんだろう。僕は。ーー
読んで下さり、ありがとうございました。
拙いながら、続きを書いていこうと思いますので、これからも読んで下さると嬉しいです。