美少年
「ほぉ、ここが噂の壬生浪士組か」
近頃できた、壬生浪士組。誠、と言う字を旗に掲げ、大きな道場が中にある。
「大きいですね」
「だのぉ」
左近は目をキラキラ輝かせている。
「入って」
土方が言うので、俺達は中へ足を踏み入れた。
パシィッ
竹刀が道場のドアのところまで飛んできた。俺は入ると同時に竹刀を拾った。
「次!」
大きな声が道場に響いた。
「はい!よろしくお願いします!」
道場の真ん中にいる2人が頭を下げ、試合を始める。それにしても、茶髪の美少年……あいつの剣筋が異常にすごい。この場なら、1番くらいなのか?それにあの美少年、子供を弄ぶかの如く相手をしている……興味深い。あいつと……戦ってみたい。
パシィッ
また剣が吹っ飛んだ。飛ばしたのはやはり茶髪の美少年。
「次!」
美少年が声をあげる。
「総司、ちょいとそこらでやめとき」
土方が言うと、美少年は竹刀を下におろした。
「なんですか土方さん。それに、隣の方々は?」
「新しい浪士組の隊員だ」
土方は、俺の背中をポンポン叩く。多分、自己紹介をしろ、と言うことだろう。
「赤壱魅那兎だ、よろしく」
「左近です。よろしくお願いします」
まったく、本当に左近は礼儀がいい。だからといって、俺は絶対にマネしないが。
「赤壱魅那兎……きいたことあるよ。人は斬ってないみたいだけど、かなりお金を盗んだそうじゃないか」
この美少年……絶対俺のこと馬鹿にしているだろ。
「生活のためだ」
俺がそういうと、美少年はぷぷっと笑い、だったら働いた方がいいよ、と口にする。
「私は沖田総司。よろしくね」
すると沖田は俺に竹刀を投げ渡した。
「ほれ、1勝負しよう」
次の瞬間、沖田が急に迫ってきた。
「はやいね」
俺がそう言うと、沖田は笑う。
「君も、この一撃を防ぐなんてすごいと思うよ」
沖田はけけっと笑っている。俺を遊んでいるみたいだな。さっきのやつみたいに。
「まぁ、私には到底適わないと思いますけど」
それにこいつ、笑ってやがる。