5.グレイシア大森林
真っ白な花畑を抜け、森の中に入る。
「うわぁ、これは確かに不気味だね....」
ーーーバサッ
「.....ひっ!.....なんだぁ.......鳥かぁ.....」
リアは僕の背後に隠れながら、ゆっくりとついて来ている。
「落ち着いてリアさん、大丈夫ですよ」
「は...はぃ....」
リアを宥めながら歩いているとーーー
「.....何か...あっちの方から音がしませんか...?」
そう言ってリアが、指をさした方向に耳を澄ます。
「....チャ....グチ.....グ....ャ.....」
よく聞いてみると、
何かが獲物を咀嚼しているような音が聞こえてきた。
「...グ...ャ.....グチャ.....」
「な.....なんでしょうか...ね.....?
ビ...ビッグボアは...夜行性じゃないはずなんですが......」
「うーん.....なんだろうね...?獣か何かかな...?
ちょっと見に行ってみようか...」
「えぇ....見に行くんですかぁ.....」
「うん....行くよ」
音のした方向へ近づき、覗いてみるとーーー
獅子の頭、蛇の尻尾、ヤギの胴体を持った、
巨大な化け物がいた。
「...ひっ!...あ...あれって...キメラじゃないですか....」
「....この辺りにはよく出没するの...?」
「い...いえ...見たこともありません....」
と、リアは少し怯えた様子で話す。
「...なにか...あったのかな....」
ーーーパキッ
「あ...あぁ....」
リアが小さな枝を踏んでしまい、
その音に気づいたキメラが、首をリアの方向へと向ける。
「...ひっ!...」
「グガァ...グ....グゴアァアアアァ!!!!!!!」
目の前の化け物と目が合い、
腰を抜かしてしまったリアに気づいたキメラは、
咆哮をあげ、リアに巨体を向け、襲いかかった。
「っ!!!危ないっ!!!!」
「きゃああぁぁああぁ!!!!」
「グゴアァアアアアァァアーーー」
ーーーグチャッ!!!
「あ....あれ....?死んで....ない.....?」
状況を確認するため、リアが目を開けるとーーー
「ーーーっとと、大丈夫?怪我はない?」
頭だけが無くなり、肉塊となったキメラと、
血だらけになった青年だけがいた。
「......っ!はい...!だ...大丈夫です!
え...えっと...その...何故キメラの頭が...」
「あ...あぁ、それはね...
僕が思いっきりキメラの頭に殴りを入れたらこうなっちゃったんだよね...」
「へ...へぇ...そ...そうなんですか....」
その言葉にリアは思わず引きつった笑いを浮かべてしまう。
「と...とにかく、助けてくれてありがとうございます!」
「うん、どういたしまして」
「と...とりあえずこの森から出ませんか?」
「そうだね、早く出ようか」
そう言って2人は、また歩き出した。
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