3.side リア -Ⅱ-
短い休憩を終え、早速森の中に入るとーーー
「グルルァアア!!」
「キュウゥゥゥ......」
動物の悲鳴のようなものと獣の咆哮がどこからか聞こえた。
その音を辿り、草むらに入ると....
「グルゥッ、グルルルゥ」
そこには、鹿だったものと、
その肉を一心不乱に貪っている、ビッグボアがいた。
その近くの草むらに、ビッグボアに見つからないよう、
慎重に移動する。
「うわぁ.....やっぱり血は見慣れないなぁ....」
「うん...私も...」
「よし、どうする?」
「えぇーっと、それじゃあ、私が大剣で気を引くから、
隙が出来たら、ルナが急所を矢で射ってくれるかな?」
「おっけー!任せて!」
「よしっ!じゃあ行くよ!」
ミナが背中の大剣を抜き、
ビッグボアから少し離れた場所に、勢いよく飛び出す。
「おーい!こっちだよー!ビッグボアー!」
食事中に、いきなり大声をかけられたビッグボアは、
一瞬、驚き、とても巨大な身体を硬直させた。
しかし、すぐに状況を理解したビッグボアは、
ミナに対し、突進し始めた。
「うわっ!ほいっ!よいしょ!」
ミナは、そんなビッグボアの突進を、
持ち前の身体能力を生かし、何度も躱したあとーーー
「ルナっ!お願いっ!!!」
「了解!!!」
スパンッ!!
ルナの放った矢は、見事ビッグボアの眉間に突き刺さり、
先程まで動いていた巨体を、肉の塊へと変えた。
「やったっ!!」
「ナイスルナ!」「ナイス!」「おぉ!!」
「よしっ!それじゃ、討伐部位の牙を剥ぎ取ろっか!」
20分ほど掛け、牙を剥ぎ取ると、
リア達は少し休憩をとることにした。
「ふぅー、剥ぎ取るのやっぱり疲れるねぇー」「だねー」
「傷つけちゃうと大変だもんねー」「ねー」
「この調子で2頭目も狩ろっか!」「おー!」「おー!」
= = = = = = = = = = = = = = =
「あれ?みんな?」
1頭目のビッグボアを討伐して、かなり時間が経ち、
夕陽が落ちてきた頃、2頭目を探すのに夢中になるあまり、
私、リアはいつの間にか仲間たちと逸れてしまっていた。
「どこいったんだろ....」
それにしてもこの森、すっごく暗いなぁ.....
うぅー、怖いよぉー.......
と、その時ーーー
ガサっ、ガサガサっ。
背後の草むらから、
何かが近づいて来るような音が鳴った。
その音を聞いてしまったリアはーーー
「きゃあぁぁぁ!!!」
驚きのあまり声を上げ、
森の奥深くへと走り出してしまった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
「はぁっ、あれ、はぁ、ここ、ふぅー、どこなんだろ?」
やっと落ち着きを取り戻したリアの、
目の前に広がっていた景色はーーー
「うわぁ......なにここ....綺麗.....」
青白い月の光を浴び、
キラキラと輝いている真っ白な花が咲き誇った、
広大な花畑だった。
「ん?なんだろうあれ?」
リアの目線の先にあったのは、
金色に光る巨大な柱のようなもの。
あれが何なのか気になり、
リアはすぐさま柱に駆け寄った。
「あれ?中に人が入ってる?」
リアが言ったように、巨大な金色の柱の中には、
藍色のキレイな髪をした、
油断すると思わず見惚れてしまいそうになるほど、
とても顔立ちの整った青年がいた。
「うわぁ....綺麗な人......」
そう言ってリアが金色の柱に触れた瞬間ーーー
ピキっ、パリパリっ、バキっ。
柱に亀裂がはいり、
中からたくさんの光が溢れてきた。
「うわっ!眩しっ!」
思わず目を塞ぎ、
やっと光が収まった後、目を開けてみるとーーー
「えぇーっと.....君は.....誰?」
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