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一つの聖なる物語
『ザバンッッッ』
一歩遅れて脳に伝達される衝撃と痛み、そして音。
途端に耳を塞がれたように音が消えた。
水面は大きく波打ち、太陽の光がキラキラと、そしてギラギラと僕の目を痛めつけてくる。
しかし、不思議と苦に感じることはなかった
あぁ、綺麗だ!
碧く、美しい幻想的な風景が目の前に広がる。
本当にこれでいいのだろうか....
悶々と自問自答して2分ぐらいが経つだろうか...刹那
向こうから何か来る!?
あまりにいきなりだったので脳の処理が全然追いついていない。
視界に写ってほんの3秒程で僕の目の前に黒い人影が現れた。
その男性はニコリともせず、動きもせず、まるで石像のように動かなかった。
僕はこの顔を一生忘れることはないだろう。
無表情の中に何か寂しげな目をしているこの男の顔を...