第78話
そろそろ俺TUEEEEしたいですね。
今回はラブコメ成分有りです
何故だか、僕の前には空が広がっていた。
いつの間にか天変地異でも起きた......いや、背中に地面の感触があるな......
ってことは.......僕が倒れてるのか......?
「ギンくん.........大丈夫?」
「え? あ、あぁ......」
心配そうにこちらを伺うゼウス。
よく分からないが、あまり心配をかけるのも良くないだろうと、立ち上がる僕。
.........少しずつ思い出してきたぞ?
僕はあの後、結局はゼウスと戦ってみることにしたんだ。
─────実は僕も最強を目指してるからね。せっかく異世界きて無双しないとか、有り得ないでしょ?
まぁ、無双はともかく、最強の座がどれほどのものなのか、知っておくにはいい機会であろう。
僕はそんな決意を固めて準備に取り掛かる。
輝夜と共有した、世界の構築。
執行モードでアダマスの大鎌、グレイプニルも召喚。
限界突破や魔導などのブーストを全て発動。
先制攻撃の約束も取り付けた。
よし! 5分は粘るぞっ!!
そんなことを決意して、自らの心を鼓舞しながらも、僕が放てるであろう最大の先制攻撃を放つ!
『それじゃあ行くぜっ! 月光ざ......ぐはぁっ!?』
完全に思い出した。
「え.........僕、もう負けたの?」
「.........弱すぎ」
僕VS最強の戦いは、語る間もなく終わったのだった。
────これが、最強か......
ガシャン
「.........は?」
僕の中の何かが、外れる音がした。
☆☆☆
「それじゃあ、僕はそろそろ帰るかねぇ......」
あの後、十数時間ぶっ通しでス○ブラをしたり、久しぶりにテレビを見たり、読書したり、二人でカレーを作って食べたりと、まるで、"ダメダメな同居生活"みたいなものを三日間続けた。
三日間である。
このゼウス家に来たのが丁度六日目の朝だから.........ここだけで三日間って凄いな。
───まぁ、向こうでは三十分しか経ってないのだが。
「うん.........少し、寂しくなるけど、......分かった」
「悪いな、ゼウス」
ゼウスはそう言うと、僕の下に魔法陣を完成させる。
............エウラスよりよっぽど速かったぞ?
少しビックリしていると、
「ねぇ、ギンくん.......私と居るの、つまらなかった?」
ゼウスが、少し不安そうな顔でそう聞いてきた。
全くもって愚問である。
「いや、すんげぇ楽しかったぞ? そもそも僕がどう思ってるかくらい知ってるだろ?」
そう、滅茶苦茶楽しかったのである。
なんて言うのかな、二人っきりのお泊まり会、みたいな感じかな? お泊まり会なんてした事ないけど、とにかく楽しかった。
それき、この世界に来てから"女性"というものに関わり続けていている僕だが、それでもやっぱり、息の合う女の子と一緒にいるのは心が踊るものがあるしね.........
って、あれ? ゼウス、顔が赤いぞ?
「私......ギンくんの考えは知っていても、感情までは知らないようにしてる.........だって......そうじゃないと......フェアじゃないでしょ?」
.........フェア?
えーっと.........そうだ! 確か、市場、博覧会、見本市、そんな意味の英語じゃなかったか? バーゲンフェアとか、よく聞くよな?
一体、ゼウスは何が言いた......
「......ねぇ、ギンくん?」
「......僕の脳内の台詞にまで被せてきたのはお前が初めてかもしれないぞ?」
恭香でもそんなこと無かったんじゃないか?
────まぁ、よく覚えてないけど。
「ふふっ、.........最後に、ちょっと、ギンくんにあげたいものがあって......ね?」
ゼウスは僕の台詞に対して楽しそうに、それでいて嬉しそうに笑うと、そんなことを言ってきた。
.........嫌な予感がする。
「まさか新たな武器とか、そんなこと言わ......」
ちゅっ
............へっ?
気付けば、彼女の唇が、僕の唇に重なっていた。
驚くほど柔らかな、彼女の唇の感触。
それは、啄むような、冗談のように軽いキスだったが、それでも、彼女の気持ちがひしひしと伝わってきた。
───そう、僕のファー.....スト.........キス........?
「はぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!?!?????」
い、いい、今のってっ! ぼ、僕のファーストキスなんですけどぉぉぁっっ!?
驚いてゼウスを見るが、彼女は真っ赤に染めた顔に満面の笑みを浮かべて、
「この気持ちは......恋だったみたい......?」
そんな、ゼウスの言葉を境に、僕の意識は暗転してゆくのだった。
☆☆☆
「.........どうすりゃいいってんだよ」
「がうぅ?」
気付けは僕は、宿屋のベッドの上に居た。
部屋の中にはベットが二つ。もう一つには先に帰ってきていたのであろうマックスが眠りについていた。
(なぁ、レオン......僕、どう反応すればいいのかな?)
少し真似っこで念話もどきみたいな事をしてみる。
もちろん返事はなく、がうぅ?と、レオンの疑問らしき声が響く。
(うむ、よく分からぬが、主殿は好き勝手に生きてゆくが良かろう。自分らはそれについて行くまでだ)
.........今喋ったか? こいつ。
あれっ? もしかして念話、成功しちゃった?
(き、聞こえてるか? レオン?)
(うむ、もちろんである。それにしても主殿はいつの間に念話を.........今転移してきたのと関係は......無さそうであるな。ならば、主殿もまた、天才だったのかもしれんな?)
......まじで成功しちゃったようです。
「いやいや、それにしても天才はないぜ? 何てったって、ぼくは恭香直々に"才能が無い"って言わせた男だぜ?」
話しながらも念話を続ける。
(うーむ.........主殿。一度、ステータスを確認することをオススメするぞ? 自分は何やら、主殿に変化が起きていると推測する)
......変化?
ガシャン
「.........また、この音だ」
あの日、ゼウスの実力を────僕の弱さを実感させられ、思い知らされ、自らに少なからず失望した、あの時。その時に聞こえた、あの音。
───まるで、鋼鉄のドアに取り付けられている無数の南京錠の鍵を、一つずつ開けていくかのような、この音。
実は、これが三回目である。
一回目は、ゼウスに敗北した時。
二回目は、ゼウスの神器『雷霆』を見せてもらった時。
そして、今回が三回目。
一回目で自信を粉々に砕かれ、
二回目でその砕かれた自信を雷に焼かれ、
三回目の今回で、何か、変化に気づかされた。
「........レオンの言う通りにした方が良さそうだな......『ステータス』!」
名前 ギン=クラッシュベル (19)
種族 吸血鬼族(真祖)
Lv. 799
HP 12300
MP 102560
STR 20600
VIT 20200
DEX 34900
INT 90400
MND 54400
AGI 40800
LUK 899
ユニーク
正義執行Lv.1
神器作成 (new)
スキル統合 (new)
真祖
マップ
影魔法Lv.4
魔導Lv.1
アイテムボックスLv.3
影の王Lv.3
経験値3倍
吸血
眷属化
限界突破Lv.1
疾風迅雷Lv.3 (共有)
深夜の処刑場(共有)
アクティブ
創造Lv.2
鑑定Lv.3
威圧Lv.2
テイムLv.5
念話Lv.1
演技Lv.1 (new)
パッシブ
小剣術Lv.4
刀術Lv.1
体術Lv.3
拳術Lv.2
蹴術Lv.2
並列思考Lv.3
魔力操作Lv.2
危険察知Lv.3
直感Lv.2
物理耐性Lv.1 (共有)
全属性耐性Lv.4
混乱耐性Lv.3
痛覚耐性Lv.4
毒耐性Lv.3
石化耐性Lv.3
出血耐性Lv.3
アクロバティックLv.2
称号
迷い人 Cランク冒険者『執行者』全能神の寵愛 (new) 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 狡知神の期待 (new) ロリコン (new) 白銀竜の主 獄夢の主 神獣の主 竜殺し 超越者 魔導の神髄 詐欺師
従魔
白銀竜プラチナドラゴン
ゴッドオブ・ナイトメア
ブラッドギア・ライオネル
.........えっ?
ステータスが......上がってる?
異世界に来てから6日────体感では9日目、僕は新たなステージへと繋がる扉の鍵を手にした。
その扉の先は、希望か。それとも絶望か。
────それは全知全能の神でさえ知らぬことであった。
扉の正体とは......?




