第77話
そろそろこの『吸血鬼さんと異世界教本』という名前も変更しようかと思っています。
多分ですけど数日以内には変わると思いますので、ご注意ください。
なぁ、異世界に来て改めて実感したんだが、
「よっしゃー! もうゼウス170%超えてんじゃねぇかッ!」
「ぬっ.........負けない!」
「クハハハハハハハハッ! 最早飛ぶ一歩手前ではないかッ!? ゼウスよっ、この勝負......」
「.........もらった」
「........ってはァァっ!? ぼ、僕まだ68%だったんだけどっ!?」
「ふふ.........ギンくんはガノンド○フ舐めてた」
「チィっ! 神様がそんな悪役使っていいのかよぉっ!」
スマ○ラって面白いよねっ!
「.........勝つのが正義......じゃないの?」
「何それ、すっげぇ暴論。もしそんなのが正義だったんだとしたら世界が破滅してるぞ?」
「.........ギンくんが言ってた」
「あーはいはい、もう分かりました、うん分かったよ。喧嘩売ってんだね? もう僕本気出すわ。行けっス○ークっ! 君に決めたッ!!」
「ス○ーク.........相手として不足はない」
「......拗ねても知らねぇぞ?」
今現在、僕たちはゼウス家の居間?にてス○ブラに勤しんでいた。もう、何だかんだで数時間はやりっぱなしかもしれない。
でも、それも致し方ないだろう。
「それにしてもこのゲーム、ステージ数が五百以上に、全作に登場したキャラ全員登場とか夢のゲームじゃねぇか。売ったら絶対売れるぞ?」
正に夢のゲームである。
皆は、こう思ったことは無いだろうか?
『あぁ、前作に登場してたス○ーク使ってたら勝ててたのに』
僕の場合はこれだった。
他にも、
カウンターがウザイ、ルカ○オ。
くるくる回って追いかけてくる、アイ○クライマー。
使い手によっては無類の強さを誇る、ウ○フ。
常に諸刃の剣、○ュカ。
自爆するゼニ○メ、ポ○モント○ーナー。
等々、例を挙げればきりがない。
だがっ! 今回ッ!!
奴らが全員帰ってきたのだッ!!
しかも超高性能のVR対応ときた。最早どこに文句をつければいいか分からないね、僕は。
もしこれが発売されるのだとしたら、僕は一万くらいはかけてもいいね。
え? もっと高くてもいいんじゃないかって?
いやいや、一万がギリギリだって。確かに一万以上するソフトとかもあるけど、そんなのを巷の中・高生に買えると思うか?
高校生はまだしも中学生には.........
そんなことを考えていたのだが、
「本体が無理.........これ、私が作った。.........ブラッドメタル使ってるし」
おっと?
どうやらゼウスは『自重』を知らないようです。
「......むぅ......それくらい知ってる」
ほっぺたを膨らませて睨んでくるゼウス。
いや、ね? 可愛いんだけどさ.........
「自重を知ってる人がゲーム機にブラッドメタル使ったり、僕みたいなひとりの人間に二つも神器渡しちゃったりしないよ? と言うかこんな世界構築しちゃってる時点でやばいでしょ」
実はこの家は一つの世界なのだと、ゼウスは言っていた。
『友達いないから.........自分だけの世界、作った』
との事らしい。
────創造神、アンタ、世界間移動なんてことを一人でやってたんだな.........見直したよ。
だがそれもゼウスから言わせれば、
『仮にも最年長の最高神なんだから当たり前』だそうだ。
......あのじいさん、結構すごい人なんだな───あぁ神か。
もう完全に感覚が麻痺してきた僕であった。
─────だが、
「.........それよりも、私.........神器なんて貸してない.........よ?」
「はっ? ......いやいやっ! ゼウスは僕に、アダマスの大鎌とグレイプニル、貸してくれ......」
やはり、神様は人外だ、と。
僕は、そんな当たり前のことを再確認させられるのだった。
「.........? あんな弱い武器、神器じゃないよ? .........それに、あれはもう、ギンくんの所有物。.........ふふっ、友達の.........証?」
「.........えっ?」
☆☆☆
アダマスの大鎌や、グレイプニルが............玩具?
あの二つは、その両方が輝夜をも簡単に仕留められる程の武器なのだ。少なくとも、魔剣や聖剣なんかとは比べ物にならない。
「.........魔剣グラムと.........聖剣エクスカリバーが、丁度同じくらい.........かな?」
だそうだ。
だが、それも力を完全に引き出して、の場合であろう。
「.........仮にも、私の持っていたもの。.........そこいらの聖剣には、負けない....よ?........完全に引き出して、半人前の使い手と............互角」
つまりは聖剣なんかと比べるのが烏滸がましいということだろう。聖剣ならぬ神剣ならば、もしかしたら。という可能性があるが、そんな者があるかも分からない。
とにかく、そんな馬鹿げた兵器を.........玩具だと......?
「.........? 疑わしいなら.........私と........決闘する?」
先程からルビがおかしなことになっている気がする。
だが、今はそれよりも話の内容について、だ。
「.........僕じゃ相手にならないだろ?」
「うん」
即答するゼウス。
それは圧倒的な自信だった。
前に宿屋決める際、恭香がこんなことを言っていた。
『私の主観でなら答えられるんだけどね』
ゼウス程ではないにしても、確実に『全知』と言ってもいいほどの情報を持っている恭香が、そう言ったのだ。
────それは勿論、ゼウスも例外ではない。
『友達がいない』ではなく、
『何を話せばいいか分からないから、作らない』
『無口キャラ』ではなく、
『確実な答えが無いものにはうまく答えられない』
そんな彼女が、即答できる。
つまりは、『知っている』ということ。
それこそ、白夜戦や、輝夜───ナイトメア・ロードとの戦い、そしてエルグリッドとの戦いのように、不意打ちや騙し討ち、そんな頭脳戦が通用しない程の差があることを。
その上、相手は全知全能の神、ゼウスだ。
───全知全能に不意打ちなど、通用するはずもない。
恐らくは輝夜のスキルを使ったとしても───いや、その前にはやられているか? まず確実に、勝機は無い。可能性の問題ではなく、確実に無いのだ───0%、不可能。まぁ、そういう事だ。
「.........なぁ、ゼウス」
「.........なぁに?」
ふと、そんな彼女が神々のなかで何番目に強いのか気になった。
「なぁ、ゼウス。お前は神様の中で何番目に強いんだ?」
そう、聞こうとした。
───だが、
「一番」
僕が聞く前には、彼女はそう、答えていた。
「私.........心読めるんだよ? ........いや、何を考えているのか、"知ってる"。.........だから、ギンくんの考えていることも......ぜんぶ知ってる」
そう言って、彼女はゲームのコントローラーを床に置くと、じいっと僕の瞳を見つめてくる。
「だから、.........私が頂上。.........最強は、私。........相手がポセイドンでも、ハデスでも、オーディンでも、ロキでも、エウラスでも、もちろん死神でも.........私に勝てる神......生物なんて存在しない」
彼女はそう、淡々と真実を述べる。
人と話すのが苦手な彼女。
───何を話していいか分からない、全知全能の神。
そんな、知らない事だらけだけど、なんでも知ってる彼女だからこそ、一つだけ。
それだけは絶対に覆らない、そう確信できること。
「私の強さは、絶対に劣らない」
まぁ、彼女は控えめに言っても『最強』だという事だ。
まさに最強! ゼウスちゃん!
※やろうと思えば惑星を1秒かからずに粉砕できます。超絶チートですね。




