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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第二章 冒険者編
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第66話

名前は何になるでしょう?

「ナイトメアの名前を決めよう!」


「「おぉぉ!!」」


『確かにタイミングが無かったもんね......』


「がうっ!」




僕たちはあの後、冒険者や騎士たちにお礼ということで蠍の甲殻の欠片を1枚ずつ配って回った───正直いらないし、全員に配ってもまだまだ余るし、何より迷惑かけたしね......白夜が。


「「「「き、キラースコルピオンッ!?」」」」


何だかんだ言って、アイツもAAAと同格の強さなのだ。配り始めた時の彼らの顔は、驚愕、感謝、困惑、呆れ、等々色々な感情が混ざった表情をしていた。


まぁ、ルーシィとかレイシアは


「「そんなのいつでも倒せる」わ♡」


とか言ってたけど。



あの二人はちょっと強すぎるんじゃないだろうか?


特にルーシィは、絶対に実力を偽ってるに違いない。

前に彼女が言っていた、


『ふふ、これでも私は色々できるのよ? 近接戦闘ならオーガ位までは素手でボコれるし、魔法を使えばAAランク位までなら勝てるかしら......?』


って言うのは、


『ふふ、これでも私は色々できるのよ? 近接戦闘ならレッド(・・・)オーガ位までは素手でボコれるし、魔法を使えばSランク(・・・・)位までなら勝てるかしら......?』


の間違いであろう。



───間違いなく昼間の僕より強いぞ? あの人。





まぁ、そんなこんなで今現在、僕たちは宿屋ダムダムの一室に集まって、ナイトメアの名前を決めようという話になっているわけなのだが。



「さて、誰が決めるよ?」


僕はレオンの鬣をもさもさとしながらも皆にそう聞く。


あぁ、癒されるわぁ......。



「我自身で決めるのは嫌だなっ! .....なんか寂しいし」


「おい、本音が漏れてるぞ? ......お前、もしかして友達いなかったの?」


「なぁっ!? そ、そんなことは無いぞっ!?」


「......妾も友達が居なかったから分かるのじゃ。お主も友達いなかったのじゃろう?」


「なっ.........ま、まさか、お前も......?」


「うむっ! 仲間じゃなっ!」


「お、おぉぉ! わ、我にも仲間が居たのかっ!?」


ガシッ、と握手する二人。


彼女たちの間に生まれた謎の団結力。







......僕も日本ではボッチだったのは言わないでおこう。



(.........私も天界ではボッチだったんだよね)




......いつからこのパーティは隣○部になったんだ?







......コホン、話しを戻そう。




因みに今までは、



僕の名前は恭香が。


恭香の名前は僕が。


白夜の名前は恭香が。


レオンの名前は白夜が。


という感じになっている。

順当に行けば僕か白夜なのだが......



『......なんか不安だし、皆で考えて、ナイトメアさん本人に選んでもらえばいいんじゃないかな?』


そう、非常に不安なのだ。



片や、ぱっと頭に浮かぶ名が『カムナッカ☆フラストレーション』であるところの僕。


片や、ナイトメアを最初に呼んだ時が『イタイ奴』、二度目が『金髪キン』だった白夜。



「僕たちのパーティって、ネーミングセンス無さすぎないか? 唯一あるのが恭香だけだし......」


「くっ......反論出来んのじゃっ......」


「クハハハハハハッッ! 我を忘れてもらっては困るなぁッ!? 我はネーミングセンス抜群なのだッ!!」


.........中二病が何言ってやがる。



「ふぅーん。それじゃあこのナイフに名前をつけるとしたら、お前はどんな名前にする?」


僕はブラッドナイフをナイトメアに見せて、奴の実力を測ることにした。漆黒の刀身に深紅の模様のが血管のように走ったこのナイフ。くっくっくっ、中二病にはたまらない品であろうッ!?



「うーむ......少し待たれよ?」


考え込むナイトメア。



「それじゃ、その間に僕たちもコイツの名前考えとくか」


「うむ! 分かったのじゃっ!」


「がうっ!!」


『......真面目に考えてね?』


ふっ、僕だって人の名前くらい真面目に考えるさ。


───まぁ、真面目に考えてあれ(・・)なのだけれど。



ナイトメア......ねぇ?

僕はナイフをじっと見つめるナイトメアを見やる。



......あれ? そういやこのナイフの能力って.....


「なぁ、恭香、このナイフって僕の成長に合わせて成長するんだったよな?」


『......まぁ、そうだね』


肯定する恭香。

やっぱり鑑定した時にそんな記述、あったよな?


「.........何が成長してるんだ?」


『.........切れ味とか?』



.........あれ? 恭香も分からないの?


『いや、そのナイフって使用者によって成長の仕方が変わるらしいんだよね。しかも、それを作った神祖の吸血鬼も鍛治師も神格得てたから、作ってすぐに神様になっちゃったんだよ。そしたらそのナイフはそのまま行方不明になってね......、結局はマスターが最初の使用者ってことになるんだよ」


......これを作っておいて放棄とか、馬鹿じゃないの?


「まぁ、マスターのアイテムボックスに入ってたって事は死神様か創造神様が持ってたみたいだけど。まぁ、恐らくは後者だろうね......』


「な、なるほど......あれ? その鍛治師って......」


『現上級神の鍛冶神様だよ?』



えっ、鍛冶神が作ったナイフだったのか......。


それなら成長しないって方がおかしいのだろう。きっと目に見えない変化が起きてるに違いない。



『まぁ、神祖の吸血鬼の方もマスターと...』


「決めたのだッッ!!」


恭香が何かを言おうとしていたようだが、ナイトメアがそれに被せて大声を上げた。



「ふーん、それで? どんな名前になったんだ? ちょうど僕の方もお前の名前が決まったところだが」


僕も恭香と話しながら、並列思考を使って名前を考えていたのだ。


『ちょうど私も決まったよ?』


「妾もなのじゃっ!」


「がうがうっ!!」




どうやら全員決まったようだ。


......レオンも考えたみたいだけど、言葉わからないんですけど......恭香だったら翻訳とか出来ないかな?



(できるよ?)



無駄にハイスペック!!


もう、『理の教本』から『お役立ち大図鑑』にでも改名すればいいんじゃないだろうか? ぶ厚いし。




そんな失礼なことを考えていると、笑いながらナイトメアが立ち上がった。


「クハハハハハハッッ! それでは我から行こうかッ!」



バサッッ!!


そんな効果音を響かせてローブを脱いだOL姿のナイトメアが、どっかの狂気のマッドサイエンティストみたいなポーズを取る。



「このナイフの名はッ!『残血の処刑者(ジャック・ザリッパー)』だっ!!」



ち、中二病だ!


『通販なんて使ったことのない中学二年生が、勇気を出して通販を使って買った短剣に向かってテンション上がりまくって付けた名前』


みたいな雰囲気をビンビン感じるぞっ!?



「クハハハハハハッッ!! 我の力を思い知ったかッ!?」


『.........人とか物の名前に関しては酷いけれど、技名とかに関しては光るものを持っているね』



確かに......なんか今の名前を使って技とか考えちゃおうかな? 残血だから、ブラッドナイフが血を吸う暇のないくらいの早業.........とか?



『......先にナイトメアさんの名前決めちゃわない?』


おっと、ついつい忘れていた。


僕の中二病の心を揺すぶるようないい名前だったから、つい。



「そんじゃ、ナイトメアのネーミングセンスも分かったことだし.........恭香は最後だとして、誰から行く?」


『......さらっと私を最後にしたね』


仕方ないだろう。僕たちは前座なのだから。



そう、白夜とレオンに問いかけると、白夜は立ち上がってこう言った。



「カカッ、主様よ。妾のことを舐めすぎじゃないのかのぅ? これでも妾は昔、友達にあだ名をつけるとしたら何がいいかな、という空想にハマっていたことがあるのじゃぞ?」


......ただの寂しいやつじゃねぇか。



「というわけで妾から行くのじゃっ! カカッ! 妾の力を見るが良いッ! こやつの名前はっ『闇子』ちゃんなのじゃっ!」



なぁっ!?





思わぬその名前に絶句する僕たち。



数秒経って、何とか言葉を絞り出した。




「『「....ま、まぁ? 感性は人それぞれだし....」』」


「が、がう......」



「どっ、どういう意味じゃぁっっ!?」


「いや、正直ダサい。僕が言うのもなんだけど」


「くうぅぅぅっ!! 馬鹿にしおってぇっ! あ、主様の方こそどうなのじゃっ!? そっちこそダサいのではないのかのぅ?」



ふん、お前こそ僕の事を舐めすぎだなっ!



「僕を誰だと思っている? 成長率だけが自慢のギンさんだぞ? ならば僕のネーミングセンスが成長していないわけが無かろうがァっ!! フッハハハハハハッッ!!」


「なぁっ、な、なんじゃとぉっ!?」


『そんな大声でいうことじゃないと思うけど』



全くの同感です。



「くっくっくっ、僕のネーミングセンスを見るのだっ! 僕の考えたナイトメアの名前はっ!『メアリー』だっ!」



「「『お、おぉぉ! ダサくない!』」」



「クハハハハハハッッ!僕のネーミングセンスを見くびっていたようだなぁっ!」


みんなの反応に思わず笑い方が中二病になってしまう僕。




しかし、




『ダサくないけど、まぁ、良くもないよね』


「クハハッ、どうせナイトメアから取った安易なネーミングであろうっ!? クハハハハハハッッ!!」



くっ、バレたかっ!



「ま、まぁ白夜より良かった分、良しとしようか」


「ぬ、ぬぐぅぅぅぅ! く、悔しいのじゃっ!」


くっくっくっ、ざまぁみろ。




「それじゃあ次はレオンだな、恭香、翻訳よろしくぅ」


『分かったよ』



さて、レオン君はどんな喋り方をするのか......。


これでいきなり『おいテメェ、俺っちの鬣に触れんじゃねぇ』とか言われた日にはレオン君をテイム解除するかもしれない。



───どっかの誰かと口調が被ってるし......




まぁ、そんなわけで恭香が訳し始めたのだが。





「がぅっ? がうがう.....がうっ! がうう?」



『えっ......「そこの姐さんの名前であるか? 自分は『暗黒丸』などが良いと思うだが......どうであろうか?」だって.........』








「おい恭香。さすがにふざけて訳してないか? ちょっと今の冗談は恭香でも許せないかもしれないよ?」



『い、いや、ホントにこんな喋り方なんだって!』


「.........この子ってば本気で『暗黒丸』とか言っちゃってるわけ?」


『.........うん』




「「「...............」」」







「それじゃ、恭香。決めちゃっていいよ?」



僕は無かったことにすることにした。



僕が今枕にしているこの子がまさか『暗黒丸』とか、ちょっと信じたくないし.......ちょっと哀しそうな顔をしているのは気のせいだろうか?



『って言うか、いつの間に私ので決定してたの?』



うーん......さっきかな?



『はぁ......まぁ、いいけどさ、私のだって大した名前じゃないからね?』


「いやいや、僕のやつよりはマシでしょ?」


『うーん......まぁね?』



くっ、何かそう言われると悔しいなっ!



『はぁ......それじゃあ私の考えたナイトメアさんの名前を発表するね?』









まぁ、そんなこんなでナイトメアの名前は決定した。








『輝く夜、と書いて『輝夜(かぐや)』なんてのはどう?』










今日、この時をもって僕たちのパーティの物語が動き出す。





『執行者』ギン=クラッシュベル


『理の教本』恭香


『神童』白夜


『神獣』レオン


『滅亡の使徒』輝夜




僕らが、この世界で何を為すのか、






────その答えは未だ誰も知らぬことであった。

昔話、かぐや姫から名前を頂きました。



次回からは2話続けて勇者サイドです。


......偽物の方じゃないですよ?


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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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