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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第二章 冒険者編
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第60話

超ピンチ!?


慢心の先に待つものとは......?

残りの血と死神の加護のおかげで、何とか体力と魔力は回復し続けているが、最早、今までのような回復能力は見る影もなかった。



「......ちょっとまずいんじゃないか?」



今現在、僕は影の中に潜んでいた。


うん、困った時は影の中、ってね。




ちなみにアイツらのステータスは、



種族 バジリスク (849)

Lv. 488

HP 18600/20500

MP 2400/3100

STR 10700

VIT 4100

DEX 2100

INT 1600

MND 18000

AGI 13600

LUK 18


ユニーク

石化の魔眼

蛇王の鱗

致死毒保有


アクティブ

身体強化Lv.3

威圧Lv.3


パッシブ

気配察知Lv.4

危険察知Lv.4

気配遮断Lv.3

全属性耐性Lv.4

毒耐性Lv.5


称号

蛇の王






こんなのが現状だけでも十体近く居るのだ......




少し前の自分に、




『馬鹿、ほんと馬鹿。なに慢心してんの? 慢心していいのは最古の王様だけなんだぞ?』



とでも言ってやりたい。


───まぁ、あの人も最初の王様って訳じゃないのだが。





はぁ......、少し現状を把握しておこうか。



①バジリスクの群れは明らかに街へと向かっていた、というか今も向かっている。


②あの街にはバジリスクに対抗できるような人物が存在しない、まぁ、辛うじてベラミあたりだろうか?


③影の中から奇襲しようにも、バジリスクの気配察知能力が高すぎて逆に危険。


④早く帰らないとレオンが生まれてしまう。というか、今からじゃ間に合わない。


⑤白夜を呼ぶことも考えたが、やはり、コイツらが街にたどり着く方が早い。





........詰んでないか?




レオンの事は恭香とレイシアに任せて、白夜だけでも呼ぶか? いや、それだと遅すぎる......神様たちに助けを求める......いや、死神ちゃんは『助けない』と言ったんだ。これは僕の慢心......僕が自分で何とかしないと......



ふぅ、落ち着け......今まで試したことを確認しよう。


①雷龍召喚→ 魔法抵抗高すぎて効果薄い。

②ブリザード→ 蛇なのに効果薄い、きっと鱗のせい。

③流水風牙→ 一体は倒せたが隙が多過ぎて袋叩きに。

④影化→ 魔力消費激しすぎ、なるべく却下。

⑤ブラッドナイフ→ 鱗も貫けるが、リーチが短い。

⑥体術戦闘→ 拳が痛い。影蒼牙が必須、今は最善。



って感じだろうか?


体術と流水風牙以外効果ないとか馬鹿じゃないの?



そんなことを考えていると、どうやら傷が全快したようだ。ついでに魔力も全快していた。



「はぁ、仕方ないかな......」





結論から言おう。








まず、白夜を呼んだ。


───いきなり幼女に頼るとは、情けない限りだ。



僕は恭香としか念話使えないから、恭香経由で白夜に説明をしたのだ。



(なっ、なんじゃとっ!? す、すぐ行くのじゃっ!!)


(ちょっと、白夜ちゃん!? 方向分かるのっ!?)


(愛の力じゃっ!!)


(ちょっ!? 白夜ちゃーーん!!!)



そんな話し声、というか叫び声が向こうから聞こえた。


救援がたどり着くことを祈ろう。







だが、それだけでは間に合わない。


白夜が来る頃には街は全壊しているだろう。











だから、その間、僕が足止めをしよう。






────文字通り、身を挺して。





「ふっ、別に倒してしまってもいいのだろう?」




そんなことを言いながらも、僕は覚悟を決めるのだった。






☆☆☆





全くもって主人公らしくない。



どこに死亡フラグを建てて足止めに向かう主人公が居るのだろうか? いや、絶対いないね、うん。


───正直言ってかっこ悪いし。




そもそもこれは、少なからず僕の責任でもあるのだ。



──無理矢理にでも恭香か白夜を連れてきていれば、


──神の髪を数本でいいから持ってきていれば、


──さっさとブラッドメタルで武器を作っていれば、


──なにより、慢心なんて、しなければ。



そんなことを考えながらも、影の外に出ようとした時のことだった。






「あぁ、これはお前のせいだな」





そんな声が、後ろから聞こえた。






「......何故ここに? 死神ちゃん」




後ろには影の中に佇む死神ちゃんがいた。




って言うか、ここって影の中なんですけど? 神様でも入ってこれないらしいのに、何でここにいるんだ?


っていうか心読まないでくれます?




「いやな、俺様も鬼じゃねぇからな? ちょーーーっとばかしヒントをくれてやろうと思ってな?」



「ふぅーん......」



「か、勘違いすんじゃねぇぞ!? お、俺様は将来お前を部下にしてぇから手助けしてるだけなんだからなっ!!」



顔を真っ赤にしてそう叫ぶ死神ちゃん。



......ツンデレって、実在するんだな。初めて見たよ。



「って、そんなこと言いに来たんじゃねぇんだ。俺様はお前に死なれたら色々面倒なんだよ。加護の消滅とか、輪廻サイクルの調整とか、部下の不足問題とか、マジでめんどい。だから俺様が有難いアドバイスをしてやろうと思ってな」



「.........まぁ、ありがとう」



流石に『なら手伝えよ』とは言えなかった。


今回は致し方なく(・・・・・)白夜に頼ってしまったが、これは本来僕が一人で解決するべき問題だ────僕の責任だ。ならば僕が一人でかたをつけなければ......



「はぁ......、てめぇはそこからしてもう間違ってん(・・・・・)だよ、馬鹿か? てめぇはよぉ?」



───ッッ!?


間違っている......だと?



「......何が言いたい?」


何とか言葉を絞り出す。



「お前は昔の俺様によぉーーく似てんだよ、戦い方がな? そういう意味での先輩(・・)からの助言だ。『使えるモノは何でも使え』『仲間に頼ることは悪じゃねぇ』『プライドなんて犬にでも食わせろ、勝つことが正義(・・)だ』以上。一般人さえ巻き込まねぇなら好きに戦えや、じゃあな」



昔の死神に......戦い方が似ている?


使えるモノ......仲間.........プライド......正義?




「意味が分からな......ってもう居ねぇし......」





もう、そこには死神ちゃんの姿はなく、




僕の疑問だけが残ったのだった。





☆☆☆





何かが引っかかるような感覚を得ながらも、僕は一度、その考えを頭の端に置いておくことにした。


「どうなるにしろ、今ここで足止めをしないといけないもんな......戦闘中に考え事をすることの方がよっぽどダメなことだろう」



まぁ、そんなことを考えながらも魔法を発動する。



「『流水風牙』ッッ!」


両手に持ったブラッドナイフが大太刀と化す。



影の中からタイミングを見計らう。


頭上には山道を進む、一番傷の深いバジリスク。まず倒すのはコイツにしよう。コイツを奇襲して倒し、後は逃げ回る。場合によっては攻撃しながらも街から遠ざける。



よし、これで行こう。


───コイツらから隠れて影に入ったのだ、まさか影の中に隠れているとはコイツらも思ってもいないに違いない。



頭上を注視する......。





「.........今だっ!!」



バジリスクの注意が疎かになった瞬間を見計らって影から飛び出す。



流水風牙の刀身がキラリと煌めく。




その大太刀はバジリスクの首に吸い込まれてゆき、






バジリスクの顔は驚愕に染まって








───いなかった。






───ッッ!?


今までに聞いたことのないような警鐘が頭の中に鳴り響く



「ぐはぁっっ!?」



咄嗟に右腕でガードした瞬間に訪れた衝撃。


僕の身体はそのまま水平に飛んでゆき、その勢いのまま木を何本もへし折っていった。


そのまま水平に飛んでゆき、僕の身体が最後に打ち付けられたのは、大きめの広場のような所だった。



「ぐぶっ....尻尾.....? ......まさかっ!? き、危険察知が...影そのものに働いて......」



危険察知Lv.4


恭香が居れば分かっていたのであろう、その能力の範囲は、自らに襲いかかるであろう、未来すらも予測する。


その事に気づいた時にはもう手遅れだった。



「ぐっ、か、片腕......どこ行きやがった......血も出てないし....」


何とか立ち上がるも、今のダメージで膝が笑っている。


右腕は今の衝撃で無くなっており、既に血は止まっている。


───完全に尽きたようだ。



ガサゴソと、蛇が近付いてくる音が聞こえる。




「死亡フラグ建てんじゃなかったぜ......」




白夜が向こうを出て、ブーストかけてもここまでは二十分程度。時空間魔法を使って距離を短縮したとして来たとしても......







───この危機に駆けつけることは不可能であった。





☆☆☆





僕は広場の中央に立っていた。



広場を囲むように、バジリスクが十頭。

それぞれがじわじわと距離を詰めてくる。


およそ、その距離、二十メートル。




ふぅ......落ち着け......落ち着け......。


焦ってはいけない......死ぬ確率が上がるだけだ。


理論的に、効率的に、能率的に考えろ......




恐怖と焦りが支配していた頭が急激に冷えていく。




確かに今の状況は最悪だ。


白夜と初めて会った時以上かもしれない。


だが、僕はまだ生きている......なら、なにか出来ることがあるんじゃないか?



ふと、死神ちゃんの言葉が蘇る



『お前は昔の俺様によぉーーく似てんだよ、戦い方がな? その意味での先輩(・・)からの助言だ』



戦い方......似ている? ......先輩?


僕の戦い方とはなんだ? 何の先輩だ?


なにかが引っかかる......


なんだ? 何が引っかかっている.....?




バジリスク達との距離が、十五メートルを切った。




『僕の本来の戦い方は暗殺だ』



───ッッ!?


それは、前に僕が言った言葉だった。



先程、死神ちゃんは影の中に現れた。


影の中なんて、神でも侵入は不可能だ。


ならば死神ちゃんも『影魔法』の使い手......




つまり、影魔法の先輩、としての忠告?




頭の中に散らばったピースが少しずつ嵌ってゆく。




『使えるモノは何でも使え』



使える......モノ?



アイテムの事か?


アイテムボックスの中のものと言えば......



キラースコルピオンの甲殻。


邪竜の鱗、翼膜。


魔導銃(劣)。


ブラッドメタル。


死神のオーブ。


魔石。



この六種類に加えて、身に付けているブラッドナイフと




────換装の指輪.....?




新たなピースが嵌ってゆく。




換装の指輪。



何か、何か忘れている気がする。


何か、この状況をひっくり返せるような......





『仲間に頼ることは悪じゃねぇ』




ふと、先程の死神ちゃんの言葉が頭に浮かぶ。



仲間......? 恭香と、白夜のことか?


白夜はもう既に頼っている......ならば恭香か....?






『......恭香? 忘れない様に覚えといてね?』


『記録スキルで記録しとくねー』





───ッッ!?


い、今のはいつの記憶だ!?





更なるピースが嵌る。




『使えるモノは何でも使え』



『仲間を頼ることは悪じゃねぇ』



『換装の指輪』



『死神』



『武器』



『記録スキル』



『影魔法』



『影の中』



脳がフル回転し、正解を探る.........






─────そして、





『プライドなんて犬にでも食わせろ、勝つことが正義(・・)だ』




全てのピースが、嵌った。





「勝つことが正義.....、考え方が乱暴すぎるでしょ」









だけど、まぁ、嫌いじゃない考え方だ。












頭の中に、いつかの選択肢が聞こえた。











ぴろりん! テイムしますか? yes/no










もちろん答えなんて決まってるさ。



勝つ為になら、プライドなんて捨ててやる。










「yesだ! とっとと出てこい、ナイトメア・ロード!」





呼んだ名は、最強にして、最悪にして、最高の悪夢。






さぁ、始めようか!





「正義執行だ!」


次回、満を持して奴が登場!?


お楽しみにっ!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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