表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
王国編Ⅱ
523/671

誰かの独白

とりあえず新章開幕!

初っ端ですが、いつに無く短いです。

 全てを守れると、そう思っていた。

 そう思って、傲慢にも進み続けた。

 ただひたすらに、走り続けた。


 ――結果、その場所へとたどり着いた。


 何がいけなかったのだろうか。

 一体、自分の何がいけなかったのか。

 そう聞かれれば、きっと自分自身が悪かった。

 そう答えるんじゃないかと思う。


 自分自身が悪かった。

 自分の傲慢さが。

 自分の強欲さが。

 全てを守りたいと。

 全てを手に入れたいと願い続け、その未来を掴むべく足掻き続けた。


 ――その意志こそが、何よりの醜悪そのもの。


 醜く、浅ましく、なによりも馬鹿馬鹿しい。

 鼻で笑うのも躊躇われるような、醜悪を体現するようなその意志が――その全てが、この上なく気味が悪く、愚かしい。


 自分が正しいだなんて思っていた。

 努力は必ず報われると思っていた。

 誰よりも努力すれば、その先には幸せな未来が待っているのだと思っていた。

 だからこそ、今自分はここにいる。


 きっと、これから自分は一人きりで生き続けるだろう。

 それは、かつて味わった地獄。

 誰にも頼れず、全てに疎まれ、全てを憎む。

 孤独という絶望に彩られた、終わることのない生き地獄。


 まぁ、それでもいい。

 そう思う自分がいた。

 もう十分に、幸せは貰ってきた。

 きっと一般人が一生かかっても手に入れられないほどの幸せを、楽しい時間を、自分は受けて、貰ってきた。


 だから、もういいんだ。

 例えかつての仲間達に、心の底から怨まれたって。

 かつての仲間達が泣き喚き、やめてくれと叫んだって。

 この決意を――この意思を、貫き通すことが出来る。


 ――愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。


 そんな言葉がある。

 歴史に学ぶ。それが賢者というならば、きっと自分もまた、愚者ということになるのだろう。

 自分は歴史になんて学ばない。

 歴史に学んでも、何も得ることなどありはしないのだから。

 だから俺は、過去から学ぶ。

 自分が失敗した、全てから学ぶ。

 愚かしくも走り続けてきたその足跡を振り返って――全てを学ぶ。


 もう、何も信じやしない。

 もう、全てを守るだなんて嘯かない。

 救えるもの、救えないもの。

 このちっぽけな手で拾えるもの。

 この小さな手じゃ拾い尽くせないもの。

 それら二つがある残酷な事実を受け止める。


 忘れていたんだ。

 何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない。

 それは子供でもわかる常識で、普遍的な真理。

 だから、自分もそれに習おうと思う。

 何かを得るために、何かを犠牲にする。

 小さな【一】を得るために。

 俺は他の全てを――斬り捨てる。


 そしてもう二度と。理想論だなんて、語りはしない。

 これより語るのは、近い将来に起こり得る、確かな未来のみ。


 俺は近い未来に、自らの手で滅ぼすであろう。


 この灰の世界を――たった一人で語り続ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ