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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第二章 冒険者編
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第42話

お約束......?

お約束。


ラブコメならばヒロインとの衝撃的な出会い。

朝起こしてくれる幼馴染み。

ツンデレ金髪ツインテール、等々。

今のはテキトーに上げた例だったが、考えようと思ったらいくらでも思いつくのではないだろうか?


SF、推理、学園、色々とテーマはあるが、




それがファンタジーのものならば......






「んん!? おいお前らっ! コイツかなり髪を染めるのに力をいれてんぞっ!? ゲハハハハハハッ!! そこまでして迷い人ってのに憧れるのかねぇ!?」




先輩冒険者による絡みである。



その男は酒場のテーブルの一角に座っており、その周りを彼の仲間らしき男たちが......女の人もいるな? 多分三十路過ぎでビキニアーマーを着た女が1人だけその中に加わっていた。まぁ、そんなこんなでメンバー総勢5人。フルプレートの鎧の人やローブのフードを頭からかぶってる人が居るからよく分からん。



周りの冒険者──特に魔法使いの奴ら(きっと僕の魔力量が分かるのだろう)──が焦って止めようとしているが、彼らは酔っ払っているのか止まる気配がまるでない。


と言うか、魔法使いの人たち、顔面蒼白なんだけど大丈夫かな?




SSSランクの魔物の魔力量をも超える魔力を持つマスターが何を言っているんだろう?


そんなことを思った恭香だった。




(でもやっぱりっ! 僕の予感は的中していたっ!)


やはり冒険者ギルドに来る前の予感は的中していたのだ。この酔っぱらいは恐らくは『授業料』『手ほどき』『何でもあり』『死んでも責任取らない』とかそういう事を言って僕を脅してくるのだろう。


フッフッフッ、楽しみで仕方ないぜっ!



((あの人たち、可哀想に......))







その時、僕たちは気づいていなかった。



僕たちの思い通りになったことなんて、今までに1度も無かったことに。







「そこまでだッッ!!」






......は?





☆☆☆





そこにいたのは金髪の少年だった。

白銀の鎧を着けた、その姿はまさに『聖騎士』。

ギルド内の人たち──特に女性が──皆揃って嫌な顔をしたのは気のせいだっただろうか?



「お前達っ! 弱いものに向かって何をしているんだっ!」



※まだ何もされてません



「お前も何をしているっ! なぜこんな真似をしたっ!? そんなに髪を染めて迷い人の真似事がそんなに楽しいのかっ!?」


は? 何コイツ?

ここまで堂々と偽物呼ばわりとか、舐めてんの?


「おい、僕は偽物じゃ......」


「髪を黒く染めているだろう! それがお前が迷い人を騙っているという動かぬ証拠だっ!!」



「は? これが染めてるって......? お前は..」


「まだ言い訳する気かっ! おまえも男だろう! 嘘がバレたならはっきりと言えばいいだろっ!」



「......」



おい、コイツ潰していいか?



怒りの為か、少し漏れてしまった僕の魔力に当てられて、魔法使いが何人か失神したそうだが、この時の僕は気づいていなかった。



「いや、お前関係ないよな?」


「──ッッ!? 君は何を言っているんだっ!? 僕は君を助けようとしてるんだぞっ!?」


「あ? お前、何様だよ? 僕がそんなの頼んだか?」


「なっ!? 君は僕より弱いんだっ! ならばプライドなんて捨てて助けてもらうべきなんじゃないのかっ!?」



最早先程の冒険者など、視界には入っていなかった。


恭香も白夜も口を挟んでこない。


彼女達でも、僕のこんな姿初めて見たからだろう。




名前 アーマー・ペンドラゴン(18)

種族 人族 (ハイヒューマン)

Lv. 82

HP 2400

MP 380

STR 480

VIT 3000

DEX 600

INT 110

MND 3200

AGI 700

LUK 24


ユニーク

エクスカリバー(偽)


アクティブ

光魔法Lv.2

身体強化Lv.2


パッシブ

精神攻撃Lv.5

剣術Lv.3

馬術Lv.3

礼儀作法Lv.2

光属性耐性Lv.2


称号

勇者(笑) 正義の味方 Bランク冒険者 ストレスクリエイター






(......恭香、白夜。今回は絶対に止めるなよ?)


(......どうしたの?)


(あ、主様っ? 魔力漏れとるぞっ!?)






今回は僕も、ちょっとばかし面白くないな。





今にもこの屑を消し飛ばしてしまいたい。


そんな衝動が僕の身体を駆け巡る。



僕の理性が何とか抑えてはくれているのだが、





正直、ブチギレ寸前だった。





☆☆☆





ひとつ、昔話をしよう。



僕がまだ、大学でカウンセリングのアルバイトをしていた時のことだ。


僕は当時、1人の女生徒と相談室で話し合っていた。


彼女は心を病んでいた。

理由は彼女の幼馴染みにあるらしい。



彼女の幼馴染み(男)は、一言でいうと『超絶イケメン』だった。その上、正義感も強く、まさに女性の理想の人だった。



───だった(・・・)のだ。



女生徒たちが彼自身にアプローチを取るようになったのは、彼が大学に来てから一ヶ月も経っていなかったろうか?



女生徒のうち七割前後が彼に接触した。



そして、知ってしまった。



彼に話しかけた彼女たちは、声を揃えて言う。






「彼は狂っている」と。




人の話を聞かない、話したことを都合のいいように曲解する、自分が正しいと疑わない、一度決めた事は諦めない、そのためになら法すらも冒す。



そして何より、正義感が強すぎる。



そんな幼馴染み彼に、彼女は好かれているようだった。


確かに顔はいい。だが、顔だけだ。



彼はまさに、頭が沸いて(・・・)いた。

そうとしか表現出来なかった......



いや、もうひとつ、あるかな。



思考回路()に不具合を起こした精密機械(人間)




当時の僕は相談を受けた。



『彼を何とかして欲しい』と。



彼はどうやら、彼女に対してストーカー行為を続けているらしい。仮にも幼馴染みだ。警察に相談するのも躊躇われるのだろう。その上、相手が『これは正しいことだ』と思っているのだから、なお、タチが悪い。



その後、僕は彼に接触したが、まるで話を聞いてくれなかった。

何度も、何度も。何度も話しかけたが、彼は僕が相談を受けたこと自体、信じてくれやしなかった。






そしてその5日後、彼女は自殺した。



飛び降り自殺だったそうだ。



彼女の遺書には、こう書いてあったそうだ。


『もう、耐えられない』 と。




それ以降だろう。


僕が生まれて初めて、嫌いなタイプを自覚したのは。



ひとつ、人の話を聞かない奴。


ひとつ、何も出来ないくせに自信のある奴。


ひとつ、自分の間違いを認めない奴。


ひとつ、話を曲解する奴。


最後に、正義感が強い奴。



まぁ、程々ならばいいさ。

他にも明らかな障害者だったり、その障害者が僕の患者だったりしたら仕方ないとは思う。


だけど、コイツは違うだろう。



そう、コイツは正しく──僕が嫌いなタイプそのものだ。


流石にこんな過去あれば嫌にもなりますね。


次回、アーマー君の行く末はっ!?


※アーマー君の能力をほんの少し上方修正しました。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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