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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
和の国編
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影―041 新たな目的地

新章開幕!

今回は『和の国編』です!

 ガタゴトと。

 最早隠す気も失せたため、僕は件の黒馬車――月光丸一号を藍月に引かせていた。

 場所はエルメス王国の王都から、少し帝国へと寄ったあたりの場所だ。

 前方へと視線を向けても見えるのは、地平線の彼方まで続いている若草色の草原と、所々に見える魔物の姿のみ。

 けれどもその魔物達、果てはたまに出てくる盗賊たちも、この馬車――及び藍月の姿を見て逃走していく。

 つまりは。


「ひゃっほう!やったぞお前ら、今日の晩飯は蛇の唐揚げだ!」

『いやぁぁぁぁぁぁ!?たすっ、助けてネイル!この男マジで私を唐揚げにする気よ!』


 ――ものすごく暇なのだ。

 僕は手に握ったメデューサをブンブンと振り回しながらも、呆れた視線を向けてくるネイルへと視線を向けた。


「そう言えば、エルザとはもう大丈夫なのか?」

「はい、お互い疲れ果てるまで話し合いましたからっ」


 すると、ネイルは少し嬉しそうにそう言った。

 あの晩、彼女から不穏なことを言われた僕は、嫌な予感がしたこともあってすぐに森国を去ることにした。

 だからこその言葉ではあったが、ネイルとしては十分に満足していたらしい。

 それに――


『娘を、よろしくお願いします』


 そんな、エルザの言葉が頭を過ぎる。

 あの国を去る直前、僕の下を訪れたエルザは僕へとそう頭を下げた。


『言われなくとも』


 僕はそう返した。

 すると彼女はふふっと笑みを浮かべると、そのまま『それでは』と言って去っていったのだ。

 僕としてはもう少し一緒にいてやっても……と思ったが、どうやら彼女たちはまた違った結論に至ったらしい。


 閑話休題。


 僕は「そっか」と呟くと、その視線を自分の手の中へと向けた。

 するとそこには、バタバタと暴れ狂っている緑色の蛇の姿があり、僕の手に噛み付こうにも魔力回路のせいで皮膚を牙が貫通出来ないようだった。

 そんな蛇を見て、僕は。


「んで、何でこいつ生きているの?」

『わ、わかったわ!教えるからとりあえず離しなさい!』


 僕は仕方なくその手を開くと、この前と同じようにメデューサはネイルのそばまで避難してゆく。

 彼女はネイルの肩まで登ると、やっと安心したように息を吐き、戦慄きながら僕へと視線を向ける。


『この男……精神世界ではあんなにもカッコよかったのに……』

「この女……精神世界ではあんなにも強かったのに……」

 

 変なことを言ってきたので、同じような感じで返してやると、彼女は悔しげに声を漏らした。


『し、仕方ないじゃない!蛇は不死の象徴――つまりは完全に死ぬ事は無いのだけれど……、でも、生き返るのにはかなりのエネルギーを使うのよ!』


 その言葉に、僕は呆れたように頭を押さえた。


「お前さぁ……そんなことになるなら『殺してみなさい!』とか言わなきゃよかったろ。さっさとネイルを解放してたらこんなことに放ってなかったんだぞ」

『で、でもっ!あなた見るからに弱そ――』


 瞬間、僕はメデューサを握りしめると。


「おい!暁穂はどこだ!?料理の時間だぞ!」

『いやぁぁぁぁぁぁ!?』


 そんなことをしながらも、僕の日常は過ぎてゆく。




 ☆☆☆




 僕達は今、一体どこへと向かっているのか。

 それについて説明するには、少し時間を遡る必要がある。

 それは、エルフ共へと制裁を加えた翌日のこと。


「執行者の偽物……?」


 僕は、恭香から告げられた言葉に、思わずそんな声を漏らした。


「うん。和の国、って知ってるでしょ?」

「……あぁ、スメラギさんの」


 その言葉にムッとした表情を浮かべる恭香ではあったが、けれどもそう思うのも仕方ないだろう。

 アスモデウス&フカシ&修行回、というコンビネーションにより完全放置されていた彼女。そんな彼女が王族として君臨する国こそが和の国なのだ。

 それと、その国にはもう一人面倒臭そうな転生者(敗残兵)が居たような気もしないでもないが、そこら辺は気にしないでいこうかと思う。

 という訳で。


「おいエロース、三年前お前に告ってきたやつのいる国の話だぞ?参加しなくてもいいのか?」

「……へ?誰それ、親友くんのこと?」

「は?僕がお前に告るわけないだろ」


 僕は襲いかかってきたエロースに関節技をキメながらも、話をしたそうにしている恭香へと視線を向けた。


「んで、その和の国どうしたんだ――よっ!」

「痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!ちょ、ギブっ!ギブだよ親友くん!」


 バンバンと僕の体を叩いてくるエロースを解放すると、それと同時に恭香が怒ったようにこんなことを言い出した。


「どうしたんだ、じゃないよ!ギンの偽物だよ!もうこれは執行するしかないでしょ!前回の章じゃ一回も決め台詞言ってないんだよ!?」

「おい!ちょっと何言ってんだお前!?」


 思いっきりグレーゾーンじゃねぇか。

 僕はそんなことを言いながらもため息を吐くと、その恭香の見ている新聞へと視線を向けた。

 そこには大きくデカデカと『執行者ギン=クラッシュベル、和の国にご入国!』と書いており、その偽物とやらの顔写真が大きく載せられていた。

 のだが――


「これまた、惚れ惚れする詐欺だな」

「いや、詐欺に惚れ惚れしないでよ」


 恭香の言葉を無視した僕は、ふむと顎に手を当てた。


「現状をいえば、僕が復活したことは港国から大陸中へと発信され、今やかなり有名になっちゃってる。けれどもあのクソ共は地味に礼儀正しく、人のことを勝手に写真を撮ってばら撒くようなことはしなかったし、そうしようとするヤツには『羨ましい!』とか言って制裁してた。つまりは大陸中には『髪切って背が伸びた!あと腕生えた!』という情報しか伝わってないわけだ」


 だからこそ、比較的簡単に真似できた。


「ある程度実力があって背が高く、それでいて赤と銀のオッドアイなら簡単に僕のことを真似できる。後は髪を黒く染めて似たようなローブをまとい、右腕に包帯を巻いて、んで最後に髪を短く切れば――ご覧の通り」


 そう言って僕は、近くで興味ありげに聞いていた暁穂とエロースへとその新聞を見せつけた。

 そこには現在の僕とはかけ離れた――それでいて情報通りの男がカメラへと向けて手を振っており、それを見た二人はこう呟いた。


「「うわ、イケメン……」」

「なんだよなぁ……っておい!なんでお前ら、そこに真っ先に目がいくんだよ!?」


 僕は思わずそう叫んだ。

 すると二人は困ったように顔を見合わせると。


「いや、確かに装備とかも全然違うけど……」

「一番違うの、顔面偏差値ですよね……?」


 ごふっ。

 その言葉を聞いた僕の口からそんな音とともに鮮血が吹き出し、気がついた時には床へと倒れ込んでいた。


「ギンっ!?」


 恭香が焦ったように駆け寄ってくる。

 それを見て『ふふっ』と乾いた笑みを浮かべた僕は。


「もう、僕はダメみたいだ……。偽物に顔で負けるとか……屈、辱……ガクッ」

「ぎ、ギーーーーーンッ!!」



 と、そんな茶番劇を繰り広げ――そして時系列は現在へと巻き戻る。



「簡単に言えば、全然仲間見つからないから、とりあえず面白そうだし偽物見学してこようぜー、って感じだな」

「個人的には抹殺する気満々なんだけどねぇ……」


 そんなことを言いながら、恭香が奥の方からのそっと出てきた。

 どうやら寝起きのようで、眠そうに目を擦ってはいるが、まずはその寝癖をどうにかした方がいいと思います。

 焦って洗面台の方へと走っていく恭香を眺めながらも、僕はふぅとため息をついた。

 思い出すは、彼女――スメラギさんが僕へと告げたあの言葉。


「自分が勝ったら、結婚しろ……ねぇ?」


 生憎と今はまだ僕も落ち着いていない。

 精神的にではなく、情勢的に。

 だからこそまだ誰とも結婚する気は無いし、もちろん手を出す気も毛頭ない。


「とりあえず、アイツをぶん殴って止めるまでは、落ち着けそうにないんだよな……」


 思い出すは、僕の串攻撃で涙目になってたあの女。

 まさか串でダメージがはいるとはおもわなかったが、それはつまり僕を前にして力を全く出していないということ。

 ――攻撃してきても、いつでも反撃出来るという自信の表れ。

 全くとんでもない化け物が敵に回ったもので、僕はポリポリと後頭部をかいた。

 ふと、あの男の言葉が頭を過ぎる。



 ――お前は、最強には至れない。



 あの男は、確たる自信を持ってそう告げた。

 その言葉からは、全くと言っていいほどに嘘は感じられず、実際に僕が最強へと至れない未来を知っているのだろうと、そんなことを思った。

 だが――


(未来なんぞ知るか。アイツがどんな未来の僕を見てきたのかは知らないが、そんな筋書き通りになってたまるかってんだ)


 生憎と、僕は今の今まで、誰かの筋書き通りに動いてやったことなんて一度もない。

 ならば、今回もその筋書きをぶち壊して、新たに紡ぎ出してやろう。

 それに何より――


「……いや、やめとくか」

「……? どうしたの親友くん?」


 僕のその呟きにエロースが反応したが、僕は首を横に振って笑みを浮かべた。


「いや、何でもないよエロース」


 僕は視線を前へと向ける。

 向こうの方には、やっと王国と和の国との国境線上に位置する関所が見え始めており、向こうもこちらに気がついたのか人がゾロゾロ出てくる様子が目に映る。

 それを見て僕は――


「破天荒な姫様が来たらやだなーって、そんなことを思ってただけだよ」


 そんなことを、呟いた。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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