表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第一章 始まりの物語
39/671

第36話

ダンジョン編完結!

結局あの後、死神はしばらくの間泣き続けた。


今までずっと悩んでいたんだろう。

悩んで、考えて、ずっと僕に対してどう謝ればいいかを考えていたんだろう。


そんな悩みがやっと解決したのだ。

彼女も1人の女の子なんだ、そりゃ泣きもするだろう。



まぁ、そんなこんなで泣き止んだのだが。



「おーい、死神ちゃん?」


「......」


正気に戻った瞬間恥ずかしさのあまり隠れてしまいました。



なんだか黒い膜みたいな球の魔法?の中に入り込んで出てこない。これは一体どうしたものか。どうする?無理やり破るか?


『いや、一応これでも上級神だよ?』

ビクビクッ

『マスターや白夜ちゃんじゃ破れないよ』


「あぁ、そうか。そういや神様だったよな」

ビクビクッ!!


「これが......神様のぅ...」

ビクビクビクッッ!!!


さっきから黒い球が震えてうるさい。

ほんとにどうすりゃいいんだ? これ......。



☆☆☆



1時間後、やっと死神ちゃんが出てきました。



「ふ、ふんっ、お、俺様もそこまで器が小さい奴じゃねぇからなっ。し、仕方ねぇから出てきてやったぜ」


出てきての第一声がこれである。

きっと、あの魔法の中で一生懸命考えたのだろう。

......なんだかこの人()残念な人に見えてきた。



「さすが死神様っ! 器が大きいッ!」


『そうですねっ、最強です最強っ!』


「そうなのじゃ! 最強なのじゃっ!」


テキトーな事を言ってご機嫌を取る僕たち。

だが、僕たちが言いたい事は一つだった。


((( はやく褒美貰えないかな......? )))


全くもって酷いヤツらである。


前回のシリアスムードはどこへ行ったのか。

もしこの中に常識人が居れば疑問に思ったはずだが、残念ながら、この中には常識人は居なかった。




「く、くっくっくっ! そう言えば褒美を与えるのを忘れていたなっ! 今回は特別にお前たちにこの二つから選ばせてやろうっ!」



そんなことを言って死神が出してきたのは2つの大袋だった。両方とも成人男性がひとり入れる程の大き......まさか生モノとか言うんじゃないだろうな?


よくよく観察すると、片方の袋が、ピクッ、ピクッ、と蠢いている。よし、決めた、こっちじゃない方にしよう。


「この中には幾つかアイテムが入っていてな? しかも運がよければ従魔まで入ってるのだっ! さぁっ! お前はどっちを「こっちです」......ほ、本当にいいのか...?」


いや、なんだかもう片方の袋は危ない予感がする。

僕の危険察知が今までに無いくらい反応してるのがその証拠だろう。うん、絶対選んじゃだめだ。ちなみに恭香も白夜も反論は無かった。


「ほ、本当にこっちでいいのかっ!? お、俺様はお前たちにできるだけいい方を取ってもらいたいんだ! だからもう一度聞くぞ? 本当にクラーケンじゃなくてもい「いや、いいよ。こっちで」......分かった」



もう片方にはクラーケンの子供が入っているそうです。


『SSランク最上位じゃないですか.......』


「あれはまずいのじゃ...」


それは『選んじゃまずい』か『味が不味い』のか聞かなかった僕は英断であっただろう。



「仕方ねぇなぁ、どうしてもって言うなら両方...「早くしろ」......ぐすっ」




そんなこんなで僕たちは景品を貰ったのだった!




☆☆☆




まぁ、そんなこんなで景品を開封しようと思ったのだが。


「まて、お前ら。それはここで開けるんじゃねぇ」


いつになく真剣な死神の声によって止められた。



「...なんで?」


「いや、ここじゃ......何でもない。とにかく開けるなっ! これは俺様からの命令だぞっ!」


なにやら嫌な予感がする...。でも、まぁ、クラーケンの子供が入っているよりかは随分とマシだろう。でないと死神もあそこまで『変えなくてもいいのか?』と聞いては来ないだろう。



「まぁ、いいけどさ。それよりも死神、幾つかお前に聞きたいことあるんだけど、いいか?」


「ん? 俺様はここに来るにあたって他の仕事を全て部下に押し付けてきたからな! 全然大丈夫だぜっ!」


大丈夫じゃないだろう、それ。



まぁ、聞くんだけど。


『部下の人には御愁傷様としか言えませんね』


「...それで、だ。まず最初に、僕の傷が深かったからこっちに連れてきたって言ってたけど、別に真祖にしなくても傷くらい治せたんじゃないか?」


そう、この質問だ。傷が深すぎて治せない、なんて有り得ないだろう。なにせ相手は神様なのだ、人間の傷くらい簡単に......


「回復させたかったのは山々だったが火事に巻き込まれていている所をお前の親友たちに見られてしまっていたんだ。そんな中、眠ってた奴が火事に巻き込まれたくせに無傷で現れたりなんてした日には、お前、確実に実験体にされるぞ?」


......ご最もです。



「それにあの時のお前は虫の息でな、しかもその場に居たのは、闘神、破壊神、邪神、竜神、それにこの俺様だ。......1人でも回復魔法使える奴がいるように見えるか?」


どんなメンバーだよっ!?

お前は地球を滅ぼす予定でもあったのか!?


「何とか天界に連れて帰ろうと思ったんだがな、邪神の奴がそれまで持つような状態じゃない、って言ってきてよ。仕方ないから魂だけそのままにお前さんの肉体、つまりは器だけを吸血鬼のもんに取り換えたってわけだ。なんか色々とすまねぇな...」


「うん、まぁ、事情があったんなら仕方ないよ。ん? という事はなんだ? 僕は向こうでは死んだ扱いになってるのか?」


「すまねぇ。死体は発見されてないが、それでもお前がいる所を複数に見られちまったんだ。今の地球では、お前は死んだことになってるぜ」


ん?そう言えばさっきも言っていたな...

親友......? 僕に親友なんていたか...?


「おい、お前の言う"親友たち"ってのは誰のことを言ってるんだ? 僕はこう見えても、向こうの世界では友達がいないことで有名だったんだぞ?」


『そんな事を自慢されても...』


確かに。何を自慢してるんだ、僕は。

なんだか目から汗が出てきやがったぜ......。


「いやいや、少なくとも1人は居ただろう? お前の親友だよ、親友。...本当に分からねぇのか?」


「わからん」


確かに僕にも片手で数えるくらいは友達がいたけれど......あれっ、おかしいなっ、目から汗が止まらないよ......。


『マスター......こっちではずっと一緒に居ますからねっ!』


「よう分からんが妾もじゃぞっ!」


「お、お前らっ......!!」


幼女たちに慰められてどうするんだ、って感じだけど、やっぱり友達がいないと寂しいよねっ!


「話がズレて来てんぞ......と言うかお前、ホントに分からないのな......。はぁ、俺が言ってるお前の親友ってのはな......」



死神は僕に呆れながらもその名を言った





トンデモ爆弾発言と共に





「確か、桜町 穂花とか言ったか? ついさっきこの世界に召喚された勇者の1人だよ」




......は?




☆☆☆



色々あったが、僕たちは死神に聞く事はあらかた聞き終わった。まぁ、幾つかびっくりするような事はあったのだけれど......。まぁ、例のクソ神はいまだ幽閉中とか、そんなことだよ、聞いた内容としては。


「え? お前ら、もう行くのか?」


なんだかちょっぴり寂しそうな死神ちゃん。


「いや、お前もそろそろ部下のこと考えてやれよ」


今頃はきっとお前の悪口タラタラだぞ?


そんな事を言うと、


「あ? 何? あいつらって俺様の陰口言ってんの? よし、ちょっくら現行犯で逮捕してくるわ。そこの転移陣に乗ったら地上出られるからな? アデュー」


そんな感じで死神は消えてった。



「部下の人達......僕は陰口なんて言ってないって信じてるよ?」



数分後、天界には数十人の叫び声が響いたというが、僕は知る由もないことなのだった。



『はぁ......。それよりもマスター? 勇者たちの事はどうするの? 友達がいるんでしょ?』


「うーむ、妾は会わなくていいと思うぞ?」


「ん? 白夜、嫉妬か?」


「ち、違うのじゃっ!」


『分かり易いですねぇ』


全くもって同感です。

それにしても、勇者...ねぇ.........。


死神曰く、勇者を召喚したのはミラージュ聖国との事だった。ミラージュ聖国と言えば、吸血鬼等の亜人族を迫害してる面倒な国っていうイメージがあるんだよなぁ......。きっと、『勇者様たちっ、どうか悪しき魔王を打ち倒してくださいっ!』とか言って騙すつもりだろう。どうやら僕の大学のメンバーが召喚されたみたいだけど.........御愁傷様です。



「まぁ、しばらくは放置でいいんじゃね? ミラージュ聖国面倒くさそうだし」


『そうだね、今のマスターなら冒険者とかになったらすぐに名前も知れ渡ると思うし、向こうでも"銀"って呼ばれてたんでしょ? 会いたくなったら向こうから来ると思うし、何よりミラージュ聖国面倒くさそうだし』


「そう言えば妾を瀕死に追いやった奴もミラージュ聖国の奴じゃったぞ? 防具に国旗が書いておったわ。面倒くさそうじゃのう......」


全員一致で僕たちは放置することに決定したのだった。




☆☆☆



「それじゃ、僕たちもそろそろダンジョン出るとしますかねぇ?」


『前にも言った通り、このダンジョンの真上は、人族で貴族や王族が構成されている多種族共生国家"エルメス王国"となってるね』


「うーむ、エルメス王国かのぉ。またまた平和な国に出たもんじゃのう。しばらくはレベルが上がらなさそうじゃわい...」


まぁ、いいんじゃないか?


この2日間、僕たちはかなり充実した時間を過ごしたんだ。ついこの前までは戦ったこともなかった一般人の僕がここまで強くなったんだ。しばらくは休んでもいいんじゃないか?


僕はそんな事を言ってみる。



『ふふ、まぁ、しばらくは』


「のんびり過ごすのじゃっ!」


どうやら2人も異論は無いようだ。





僕は、こっちに来てからのことを思い浮かべた。



最初の1人の時間を思い出す。


教本との無駄としか言えないような雑談を思い出す。


白銀のドラゴンとの邂逅を思い出す。


ダンジョンの道のりを思い出す。


ナイトメア・ロードとの戦いを思い出す。


そして、現在に至るこの2日間の冒険を思い出す。



僕は、これからも冒険をするだろう。


この教本と、このドラゴンと一緒に。


出発地点はエルメス王国。


生憎と、僕たちは不老だ。時間なら余るほどある。


強くなろう。のんびりしよう。恋もしよう。


なにより、冒険をしよう。



そんな事を考えながらも、


僕たちは未知の世界へと旅立ったのだった。
















『...何カッコつけてるのさ、転移陣に乗っただけじゃん』

最後まで締まらない彼らでした。


※まだ終りません



この後は閑話を幾つか挟めてから冒険者編スタートするつもりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ