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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第六章 聖国編
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第281話

今回は神界組がメインです。

 僕は水井幸之助との一応の決着をつけた後、その足で聖都の中心部に存在するミラグリ大聖堂へと訪れていた。もはや街に人の気配はなく、たまに居たとしても恭しく頭を下げてくるばかりだった。


「僕的には『よくも私の主人を殺してくれたわね!?』とか言われて石とか投げられるかもと思ってたんだがな」

「えっと、そこまで出来る夫婦ならどっちかが通常の思考を持っているはずです。ならギンさんが来た時点で逃げてると思いますよ?」


 僕は隣を歩いているユイにそう言われ、そういうものかと少し唸った。

 というのもさしてこの国に興味のなかった僕は、正直、どれだけこの国の人々が宗教に汚染されているか知らないため、そこら辺の加減とか具合とかがよく分からないのだ。


「でもまぁ、万が一そんな事言われたら心折れちゃいそうだし良かったかもな」

「クハハッ、その場を難なく乗り切って後でめちゃくちゃ落ち込んでいる主殿の姿が目に浮かぶようだ!」


 何でだろう、僕も目に浮かんだよ。その自分の姿。

 そんなことを話している間にも僕らはミラグリ大聖堂、その巨大な門の前までたどり着いており──



「それじゃあ一丁、戦争の最短終結ランキングを更新してきますかね」



 僕はそう言って、新たなランキングに名を刻むべくその中へと足を踏み入れた。




 ☆☆☆




 それから時は十数分遡る。

 フェンリルへと姿を戻した暁穂へと乗った恭香たちは、ギンが丁度眠りについている頃に帝都まで到着していた。

 まぁ、そこまで早くついたのはもちろん暁穂がとんでもない速度で飛ばしまくったせいで、その結果ネイルが振り落とされかけたという事件もあったが、終わりよければすべてよし。彼女らは予定通り帝城を訪れていた。


「ねーえ? 私ってばなんでここ来たのかあんまり良く分からないんだけど、天界って普通は行けないよね?」

「わかりやすく言えば、こんなこともあろうかと全能神様が帝城の庭に天界行きの魔法陣を残しておいたみたいなんだよ」

「へぇー! さすがゼウスちゃん! あったまいー!」


 そう、今回ここまで来たのは帝国から全能神ゼウスと死神カネクラが天界へと帰還した際に残された魔法陣、それを使って神界へと行き、面倒な事が起こらないよう、聖国の主神である呪眼神ミラーグを、文字通り潰してくるためである。

 放っておいてもゼウスが潰すのであろうが、これについては恭香がどうしても譲らなかった。


(ギンに害をなすかもしれない神なんて、確実に、実際に見ている中で滅ぼしちゃう方がいいに決まってる)


 そう、恭香は基本的に全能神を信頼しているが、それが全幅のものかと聞かれれば首を横に振るだろう。

 彼女は神で、全知で全能だとしても、それ以前に一人の女性だ。失敗はあるし、思い通りにいかないことだってきっとある。

 なればこそ自分たちが行く意味はきっとあるのだろうし、後々の不安をなくすためにもその現場に居合わせるのは大切なことだ。


(それに⋯⋯私なら他の神様にも顔が利くしね)


 恭香はそんなことを思いながらも、獣王から話が伝えられていたのか帝城へと顔パスで入城し、その庭へと足を向ける。

 角を曲がり、さらにもう一つ角を曲がり、そしてその先に広がる草むらのその中にその魔法陣は存在する。

 恭香たちは一つ目の曲がり角を曲がり、そして次の角を曲がって──その先で、懐かしい神と遭遇した。



「やっほー! お迎えにあがったよん!」



 そこに居たのは、スーツに身を包んだ紫髪の神様であり。



「あーっ! ロキちゃんだー!!」

「はいはいロキさんで⋯⋯⋯⋯ってええええっ!? え、エロースさん!?」



 帝城の庭に、狡知神ロキの声が響いた。




 ☆☆☆




 狡知神ロキ。

 かつてメフィストに『実力を隠してる』とバラされてゼウスの怒りを買い、結果としてその呪眼神ミラーグと同じ牢獄へと投獄されていたその身ではあったが、つい先日その牢獄から出てきた彼女であった。

 そんなロキは、魔法陣に魔力を送りながらこんなことを呟いていた。


「確かに『エロース』って名前はネットにも出てたけどね? まさか本物のエロースさんが居るなんて思うわけないじゃん。ねぇ? 恭香ちゃん、暁穂ちゃん」

「⋯⋯なんで私たちに話振るんですか?」

「酷いっ!? 娘が反抗期だよ! お母さん泣いちゃいそう!」


 そう言ってぐすんぐすんとわざとらしい嘘泣きを始めるロキ。彼女はギン以上に詐術に秀でている狡知神であり、その実力は全知のゼウスからそのステータスを完全に偽装するほどである。ある意味こんなにわかりやすい演技を見れるのは珍しいだろう。

 まぁ、この大陸には彼女をして『化け物』と呼ぶ最強の詐欺師(エルザ)がいるのだが、それはともかくとして。


「それじゃあ準備完了だよ! 皆、準備はいい?」


 先程までの嘘泣きはどこへ行ったのか、ロキはそう言ってぴょんと既に全員が乗っている魔法陣の上に乗り込み、返事も聞かずに両方の手のひらをぱちんと合わせ、合掌する。

 そして──


「『転移』神界へ!」


 瞬間、魔法陣が眩い光を発し、理の教本である恭香を含めた全員がそのあまりの眩しさに目を瞑る。

 それは通常の光ならば有り得ないことで、恭香が眩しいと感じている以上、それは通常のそれではないことを示していた。

 そしてその光は数秒後にはピタリと止み、彼ら彼女らは、その瞬間に本能が感じ取った、その膨大すぎる魔力量に思わず身体を震わせ、瞼を開いた。


 そこに広がるは、辺り一面に広がる花畑。

 空気中には下界とは比べ物にならないほどの魔力が漂っており、その空間には、どこか神聖な空気が漂っていた。

 恭香と暁穂、エロースはこの場所こそが故郷であるから驚きはしなかったが、他の面々の驚きにはかなり大きいものがあった。


「こ、ここは⋯⋯凄いであるな」

「す、凄いですぅ⋯⋯」

「凄いな⋯⋯おい」

「⋯⋯さっきから凄いしか言ってませんよ?」

「ちょっとアイギスさん! 今そういうこと言⋯⋯」

「はっはー! 凄い以外言う要素ないですな!」

「すごいのだー!」

「ふむ、ヴァルハラ感が凄いな⋯⋯」


 ──のだが、それらの驚きが大して驚いていないように思えちゃうのが彼らクオリティである。

 もはや漫才しているかのようにしか思えない。そしてネイルが思った以上に苦労していて可哀想である。

 すると、そんな一行に背後から声がかかった。


「ちょっとロキ! アンタなんで神格すら持ってないやつを神界に招待してるのよ!? 燃やすわよ!?」


 その声に隠しきれない嫌悪感を顕にしたロキは、嫌々ながら背後を振り返った。

 そこに居たのは、太陽のようなオレンジ色の髪に金色の瞳をした少女であり、彼女はその目をギラギラとさせて仁王立ちしていた。

 ロキは一つため息をつくと、呆れたように口を開く。


「私、あなたになんにも伝えてなかったんだけど? なんでこんな所で待ち構えているのさ、アポロン(・・・・)

「まっ、待ち構えてなんてないわよ! 燃やすわよ!?」

「前から思ってたんだけど、そのアポロンの『燃やすわよ』って決め台詞、正直ダサいと思うよ?」

「な、なんですって!?」


 ロキの言葉にガビーンと言った効果音が良く似合う表情を浮かべ、肩を思いっきり落とすアポロン。

 ──彼女の名は、太陽神アポロン。

 全世界の太陽を司る神であり、その実力は未だ低いものの、その潜在能力は最高神の中でもトップクラスと言われる、言わば眠れる獅子である。

 まぁ、その理由は『働くなんて面倒だわ! 私は私に生きるのよ!』などと言って全くレベルが上がってないからなのだが、それはともかく。


「ん、アポロン⋯⋯、ダサい」

「私も同感だな。貴様のセンスはもう少しど⋯⋯」

「ハッハッハ! 我が筋肉を見よ!」

「これ、オーディン。ハデスに最後までセリ⋯⋯」

「ハッハッハ! エウラスよ! 我が筋肉を見よ!」

「「⋯⋯⋯⋯」」


 瞬間、アポロンの背後の空間が割れ、その狭間から四人の最高神が姿を現す。


 金髪オッドアイのゴスロリ──全能神ゼウス。

 黒いローブに身を包んだ白髪赤目の男性──冥府神ハデス。

 左目の眼帯と二の腕の半ばから失われたその右腕が印象的な青髪ロングの男性──風神オーディン。

 そして、仙人のような老人──創造神エウラス。


 それは、序列にして、一位、三位、四位、五位、六位、八位の最高神がこの場に揃っているということに他ならず、恭香でさえもその現実に思わず背を冷や汗が伝った。


「あら? 何だか物凄い面々ね? どこ行くの? 噂に聞くたこ焼きパーティってやつかしら?」


 そして、そんなことを言い出すアポロン。

 補足だが、アポロンの運勢値は『3』である。

 それはエロースのそれをも上回る神々最高の運勢値の低さであり、その上彼女はエロースと同じくらいポンコツである。もう運勢値とポンコツさ比例の法則が成り立ちつつあるほどだ。


 そんな中、ゼウスは珍しくニッコリと微笑む。

 本来ならば珍しいその笑みは、何故か背筋が凍るほどおそろしく、その二つの瞳は驚く程に笑っていなかった。

 そうして彼女は、こう告げる。



「これから、ちょっと一匹のゴミを、潰しに行くの」



 その言葉に、思わず「私、また(・・)なにかしたっけ?」と思ってしまったアポロンであった。




 ☆☆☆




 その後、ゼウスは皆へと説明を始めた。


「これからここに、呪眼神ミラーグを、召喚する。で、ここにいる最高神と、ギンくんの仲間達で⋯⋯討伐する」


 と言っても説明はそれだけで完了し、ゼウスは自らを中心に半径数キロの結界を張った。

 それは、全能神が割と力を入れて作った結界。それは大悪魔であっても破るのは骨が折れる代物であり、間違っても中級神ごときに破れるものではない。

 そんな場所に、最高神と世界神の居る状況呼ばれる呪眼神に思わず哀れみを覚えるが、それらはすべて自業自得である。



「それじゃ、召喚する⋯⋯よ?」



 そうして皆の前方十数メートルの所に、大きめな魔法陣が展開された。


次回! 〇〇ブチギレ!

とうとう彼女の実力が明らかに!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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