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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第一章 始まりの物語
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第27話

今回はギンVS白夜!!


果たして勝負の行方はっ!?

あの後しばらく白夜をからかった僕たちは、流石にそろそろ始めようか、という事で白夜との対戦を始めることにした。



『うっ、ぐすっ。酷いのじゃぁ...恥ずかしいのじゃぁ...』


「ドラゴンの姿でそんなこと言われてもなぁ...」


『ちょっと虐めすぎちゃったね。ごめんね白夜ちゃん、私は応援してるからねっ!』



そんな事を言いつつも大部屋の中央に向かっていく僕たち。



「よし、そろそろ始めようか、白夜も準備はいいか?」


『ふーん、じゃっ』



───何でもかんでも語尾に『じゃ』とか『のじゃ』を付ければいいというわけでは無いと思うんだが。



「はぁ......。いい加減機嫌を治してくれないか? これに付き合ってくれたら何でも言うこと聞いてやるからさ、出来ることなら」


『なぬっ!? 本当じゃろうなっ!? さぁやるぞっ!! 早く準備せんか! 主様っ!』



言わなきゃ良かったかも......。


そんな後悔ももう遅く、白夜は目を爛々と光らせてもいた。

ドラゴンの姿でそんな事されたら、普通の人なら失神してると思うんだけれど、それは言わないでおこう。



「一応訓練だから手加減しろよ?」


『手加減はするのじゃが、せめて5分はもってくれよ主様』


「くっ、生意気なっ!」



そんなこんなで僕たちの戦いが始まったのだった。




☆☆☆




開始と同時に白夜が僕に向かって爪をふるってきた。



(くっ! 手加減してこれかよっ!?)



目で捉えるのが精一杯のその攻撃は、僕の肩口から腹までを抉りとり、猛烈な痛みを伴って、僕の腹から赤黒い血と共に内臓が吹き出してくる。



(ぐはっ! 殺す気かよっ!?)



何とか間一髪で身体を後ろに引いたためこの程度で済んだが、そうでなければまた前回と同じ状況になっていただろう。

死神の加護が効いているのか、僕の傷はまるで逆再生のように塞がってゆき、いつの間にか飛び出した内臓も腹の中に収まっていた───吸血鬼って本当に便利ですね



『ほう? これは出会った時に放った攻撃よりも速いのじゃがな? 流石は主様じゃ。あの時の攻撃ではもう当たらんとは、成長したのぅ』



ま、まさかあの時より速いのを初っ端から放ってくるとは....。コイツは手加減って言葉を知っているのか? ......いや、多分、手加減してやっとこれなのだろう。どうやらレベル差以上に実力差が離れすぎているようだ。やっぱり一筋縄じゃ行かないな......。



「ははっ、流石に強いなっ! だけど今度はこっちから攻めさせてもらうぜっ! 『影分身』!!」



僕は大量の魔力を使い影分身を使う。その数およそ5000体。

流石にこの数は白夜も驚いたのか、目を丸くしている。



「 「 「「かーらーのーっ 『疾風迅雷』ッッ!!」」 」 」



5000体の僕が全員一斉に疾風迅雷を使用する。何気に初めて使ったかもな...これ。


ここで影分身についての補足説明をしておこう。


影分身。もしかしたら大蠍戦のスキル会得で気付いているかもしれないが、影分身が得た経験はそのまま僕に反映されるが、影分身が使用するMPも本体である僕から精算される。

簡単に言うと、スキル上げにはもってこいだが、MP消費がバカみたいに高い、という事だ。

───まぁ、ハイリスクハイリターンという奴か。



(流石にこれだけの数に疾風迅雷で魔力を流すと、もう1割も残って無いな...)



まぁ、超回復してるから数分もすれば全快するのだが。

こちらを窺っていた白夜は全員が一斉に疾風迅雷を使用したことによって更に驚愕していた。



『な、なんじゃとぉ!? 全員に疾風迅雷を使用とか、どれだけ魔力を使ったのじゃっ!? ....はぁ、主様には魔力量だけは絶対勝てんのじゃぁ......』



───そしてなんだか落ち込んでいた。


落ち込んでいるところ悪いが、少し油断し過ぎじゃないか?

僕は咄嗟に影に潜り、代わりに疾風迅雷を使用していない影分身を1体出しておいた。油断していたせいか向こうも気づいて居ないみたいだ。



「少し僕を甘く見すぎなんじゃないか? 落ち込んでいるところ悪いが、僕も攻撃させてもらうぞっ!」



そう喋る僕(仮)。


うーん、なかなかMPも回復して来たし、そろそろ魔法のひとつくらい使えるかな? もちろん影分身全員で。

候補としては、邪竜戦で使った影縫い。攻撃系ならばオートマタ相手に使ったブリザードか、新しく覚えた雷魔法。


うん、ここは雷魔法だろう。まだ白夜は僕が雷魔法を使えること自体知らないし、白夜みたいに素早さが段違いの相手に対して、雷魔法は相性がいいのだ。



と、言うわけで。



「「「「『ライトニングボルト』ッ!」」」」



風魔法Lv.3で覚える雷魔法。

それの初級魔法である。


この魔法について語る前に、一つだけ。

光の速さと雷の速さはまるで違う、という事を話しておこうと思う。雷の速さは秒速150キロ(・・)メートルである。確かに光速と比べるとかなりお粗末なものだが、それでも音速が秒速340メートル前後だと考えると、生物が知覚するにはあまりにも速すぎる速度だと言うことが分かるだろう。


この魔法は掌に集めた魔力を雷へと変換し、その雷を相手へと開放する魔法である。それはまるで、掌から放たれる落雷、とでも言えばいいのだろうか? ただ一つ、確実に言える事は。



───白夜であろうと、落雷は避けられないという事だ。



呪文を唱えた直後、白夜も不味いと思ったのだろう。避けることは諦めて本気で僕の分身を消しにかかったようだが、そんな事をしても時すでに遅し。


僕の分身たちの掌から放たれた落雷、その数5001発は全て白夜に命中したのだった。




☆☆☆




『やったか!?』



などとフラグを建てる僕ではなく。


恐らく...いや、確実に白夜は無傷だろう。もしかしたら辛うじて麻痺をしているかもしれないが、恐らく外的損傷は全くと言っていい程無いと思う。それでも魔法による余波によって土煙が舞い上がっている今こそがチャンスに他ならないだろう。


お忘れかも知れないが僕の本来の戦い方は暗殺だ。

そう言った覚えは無いが、ステータスやスキルを見る限りはあまりにも暗殺に特化し過ぎているため、僕自身もそうじゃないのかと思い始めている。



(実際には暗殺なんて、ゴブリン相手にしか試してないんだけどね....果たして白夜に通じるかどうか...)



僕は5001体全員に影の王のスキルを使用させ、マップを発動させる。ちなみに僕の本体は土煙によって出来た影を伝って白夜の影の中に入りこんでいる。うん。準備は万端だ。


本体もどきと僕自身にも疾風迅雷をかけて、僕たちは土煙の中をマップを頼りに動き出す。5000体もの分身が動いているにも関わらず足音は勿論のこと、息遣い、装備の擦れる音、それどころか魔力の残滓でさえも全く感じない様子は、誰がどう見ても『異様』としか言いようがなかった。それは本体の腰についている恭香自身も例外ではなく、



『マスターって、暗殺だけに専念したら国も滅ぼせるんじゃないかな?』



とさえ、言わしめる程であった。

うん、何だかこの戦法を使ったら大抵の敵なら倒せる気がする。相性さえ良ければSランクでさえ何とかなってしまうだろう。多分だけど。


およそ5000体の分身は白夜を囲むかのように円を描きながら着々と白夜に接近しており、そろそろ白夜の数メートル手前まで来るか、という所だった。



『うぬ? 何だか違和感を感じるのう.....まさかっ!?』



流石に気配察知Lv.4の白夜だろう。

極限まで気配を薄めた僕の分身に気づいてしまったようである。



「うわぁ、この距離で気づくかよ。出来れば攻撃まで持って行きたかったんだけどな...」


『いや、数メートル手前まで近づければ充分でしょ?』



攻撃まで持っていければ良かったが、確かに5000体がここまで近づければ充分合格点をあげられるだろう。


僕が分身たちへと攻撃を与えるように命令すると同時に先頭の集団が白夜へと向かって攻撃を開始する。その間に後衛3000体で影縫いを発動し、白夜の動きを制限する。何だか詰将棋をしている感じがするな。



『くっ! 小癪な真似をっ!』



流石はSSランクの最上位である白夜だ。最早手加減しているのかどうかも分からないが、それでも先頭の僕たちを一気に薙ぎ払ってゆく。まぁ、それでも360度全てをカバー出来るわけでもないんだけどね。



『ぐはっ! くそっ! 何なんじゃそのナイフはッ!? 妾の鱗を簡単に貫通しおるぞっ!?』



え、ブラッドナイフってそんなに凄いものなのか? 確かに説明文には伝説がどうとかこうとか書いていた気がするが...



『あぁ、ブラッドナイフはね。大昔に存在した伝説の鍛治師と神祖の吸血鬼の合作なんだよ。刀身には伝説の金属ヒヒイロカネと高級金属ミスリルを使用してあって、その神祖の血液を大量に結合させてあるから硬度、魔力順応度共に最高峰なのさっ!』



...予想以上にヤバイ代物だった。

聞かなかったことにしよう。うん。



まぁ、そんなブラッドナイフで攻撃を加えている為、ブラッドナイフの能力によって白夜の血液を僕の本体に供給、吸血のスキルによってHPとMPが超回復する。影分身って装備までほぼ完全にコピーするからやっぱりチートだよね......。



『ぬがぁぁぁぁっ!! もう面倒くさいのじゃっ!』



白夜もいい感じで温まってきた様なので、僕は新たな戦法(イタズラ)をすることにした。


ニヤニヤと笑っている僕の心を読んでいたのか、

『さ、流石に酷いんじゃない?』

と、恭香も忠告してくるが、思いついてしまったものは仕方がない。運が良ければ白夜に勝てるかもしれないのだから。


僕は新たに影分身を発動させ、新たに1体の分身が出来上がった。この分身にすこーしだけ工夫を加えてやれば白夜なんてイチコロだよ、うん。


僕はその分身に少しだけ工夫をしてから、その分身を影の中から白夜の眼前へと姿をさらけ出すように命令を与えた。



その時の僕の顔は、オートマタの髪を全損させた時のものによく似ていた、と恭香は後に語ったという。




☆☆☆




その分身には影の王を使用させていないので、白夜も急に現れた気配の持ち主に驚いて思わずそれを凝視した。




───凝視してしまった。




「やぁ、白夜。元気かい?」



そう、僕の分身が優しく声をかけるが白夜は彼を見たまま固まっており、返事はなかった。因みに白夜にはその分身に集中してもらいたいので他の分身は全て消しておいた。




『はっ!?』



やっと白夜が動き出したのは数分後の事であった。この間に白夜の首に『流水風牙』を使えば確実に倒せていたのだが、僕はそんな無粋な真似はしなかった。だってこの後の展開が楽しみなんですもの。



「おや? やっと気づいたのかい? 白夜?」



その分身は先程の位置から全く動いておらず、白夜の事をじっと見つめていた。のだが。



『なぁぁぁぁっ!?!? にゃ、にゃニをしておるのだ主様はぁぁぁッッ!! な、なんて姿じゃっ! わ、妾っ、そんな姿を見せられたら......くぅぅぅっっっ!!』



全身を赤く染めた白夜に思いっきり怒鳴られる。


それもそうだろう。



───なってったって今の僕の分身は際どい海パンしか履いてないのだからっ!! さぁ、面白くなってきたぞっ!



「...白夜はこんな姿の僕は嫌いかい?」



哀しそうな声を出す僕の分身。

こんな甘ったるい声なんて出せるのか、と驚愕する僕自身であった。



『い、いやっ、そ、そんな事はないのじゃが...』


「本当かいっ!? 白夜っ、僕も君のこと愛してるよっ!」



───この分身は頭が沸いているのだろうか?


そんな心にもないことを言いながらも白夜に突進していく僕の分身。その股間のもっこりだけが揺れていた。



『ぬがぁぁぁぁッッ!! そ、そんなものを見せ付けながらこっちへ来るなぁぁぁぁッッ!!』



そんな白夜の叫びも虚しく僕の分身は翼を使って空を飛び、白夜の顔面に抱きついたのだった。そうなれば勿論僕の息子も押し付ける事になるわけで。


ボンッ、と白夜の真っ赤な顔から湯気が吹き出したし、その身体を脱力させてゆく。




「ふっ、呆気なかったな」




白夜が倒れる姿を背景にそんな事を呟く僕であった。




彼の策略はSSランクすらも翻弄するッ!


とか言ってみましたけど。

これって、単なる変態ですよね。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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