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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
288/671

閑話 我ら二人、近場のダンジョンへ逝く!

今回はちょっとしたダンジョン探索です。

これは夏休み中のある日のことである。


僕は恭香より「近場にダンジョンができた」との報告を受け、そんなに近場でもなかったが、兎にも角にも危険度を確かめ、危なそうだったならば潰してくるように頼まれたのだった。


───だが、



「デートっ、デートっ! ふんふふふーんっ!」



何故かついてきた、エロース。


いやね、僕も途中まで気づかなかったんですよ。コイツ本気になったら空間把握にも超直感にも引っかからないし、何よりも気配が希薄すぎて素の気配察知能力にすら引っかからない。まさにチートだ。


ちなみにだが、この前決闘した時にエロースのステータスを聞いたのだが、



『えー? スキル多くてめんどくさいからちょっとだねけねー? あ、もちろん親友くんだから特別だよっ!』



と言って紙に書いてくれたステータスが、これである。





名前 エロース (13さいです♡)

種族 世界神

Lv. 999

HP error

MP error

STR error

VIT error

DEX error

INT error

MND error

AGI error

LUK 5


ユニーク

寵愛神Lv.5 ★

女神パワー(笑)Lv.5 ★

神弓顕現Lv.5 ★

魔力ノ矢Lv.5 ★

原始魔法Lv.5 ★

限界突破Lv.5 ★

その他もろもろ


アクティブ

浮遊Lv.10 ★

鑑定Lv.10 ★

威圧Lv.10 ★

その他もろもろ


パッシブ

並列思考Lv.10 ★

気配察知Lv.10 ★

魔力察知Lv.10 ★

危険察知Lv.10 ★

気配遮断Lv.10 ★

魔力遮断Lv.10 ★

魔力操作Lv.10 ★

存在耐性Lv.10 ★

その他もろもろ


称号

神族 限界に至りし者 最強の一角 愛されし者 弓を極めし者 ポンコツ 駄女───ってちょっと親友くん! この称号何!? 絶対親友く



(以下略)



この後延々と僕への文句が綴られているのだが、正直そこら辺は要らないのでうまい具合に破り捨てた。


───だがしかし、それを抜きにしても正直これはどう反応すればいいのだろうか?


年齢に関してはサバ読みすぎだし、運勢に関しては言わずもがな、正直に書いていて大変よろしい。浮遊ってスキルなのかよ、とか、限界に至りし者に"★"付きとか限界の限界までカンストしてるじゃん、とか色々あるが、僕はひとつ見逃せないユニークスキルがあることに気がついた。



───そう、【女神パワー(笑)】である。



これはアイギスの持つ聖槍ロンギヌスの能力、【闇キラー】以上にふざけた名前だが、僕はそのスキルについてエロースへと詳しく尋ね、さらに頭を抱えることとなった。



なにせ、エロース曰く、


「その変なスキルは天界でも包容力のある女神っぽい神様にだけ送られる最強のスキルなんだよっ! 特に私のはオンリーワンなスペシャルスキルだから、超回復魔法や超支援魔法、浄化も出来るし、なんか闇っぽいオーラも感知できるんだよっ! そして極めつけは、ラスボスっぽいオーラ(稀)に、なんと魔物に集られやすくなっちゃうんだよ! すごいでしょーっ!」




───どこが?



そう、本当に『どこが?』である。


後半に関しては何一つとして羨ましくないし、たまに怖い時あるなぁ、と思ってたらこのスキルの影響だったのかよ。それに魔物に集られやすくなるとかそりゃあカンストもするよ。どんなトラブルメーカーだ。それにきっとまだ他にも変な能力あるんだろうなぁ、女神パワー(笑)。



と、そんなことを考えながらも、僕はエロースに引き寄せられてくる魔物をバッタバッタとなぎ倒してゆく。


───といっても、僕は先程から殺気垂れ流しで歩いているため、そこらの魔物は大体姿を現すか現さないかくらいのところで立ち止まり、そのままUターンしてゆくのが多い。


そしてその殺気すらも感じられない低レベルなゴブリンやコボルトたちが次々と襲いかかってきているわけだ。まぁ、文字通り経験値にすらなり得ない雑魚である。



僕はそんな雑魚たちを倒しながらも、一人後ろでサボっているエロースを見て───その運勢値を見て、やはりこう思わずにはいられない。




───あぁ、どうか普通のダンジョンであってくれますように、と。




☆☆☆




迷宮と書いてダンジョンと読む。


このご時世、生まれてから一度も『迷宮(ダンジョン)』という名を聞いたこともない様な人は少ないだろうと思う。地球ならまだしもこの世界では言わずもがな、である。


事前に恭香から聞いた話によると、よくラノベなどであるように、神やそれに準ずる理外の生命体が『ダンジョンマスター』という生命体を選定し、ダンジョンの核となる『ダンジョンコア』とその生命を結びつける。


するとテンプレの通りにマスターの生命≒ダンジョンコアとなり、マスターが死んだところでどうなる訳でもないが、ダンジョンコアが破壊されればマスターも死に至るのだとか。客観的に見れば詐欺にも近い一方通行が出来上がるわけだ。


だがしかし、マスターはそれだけの代償───否、リスクを伴うことによって多大なリターンを得ることとなる。


例えをあげるならば、


DP(ダンジョンポイント)という謎の物質(?)を使用してダンジョンを作り替えたり、または新たに作り出したりすることができる。

②DPを使用することによってダンジョンを守護する魔物を創造することが出来る(ガチャによる創造も有り)。

③マスターとなることで知性を主としたステータスが上昇し、迷宮が保有する魔力が増えることによって更にステータスが上昇する。


などが挙げられ、恭香曰く最近出来たダンジョンだ、という訳でこんなにも気軽に来れているわけだが、もしもこれが数百、数千と年月を重ねれば、それこそ歴戦の勇者たちが攻略するに値する、めんどくさーいダンジョンになってしまうのだ。


───まぁ、それによってこちらにもデメリットがある場合もあるし、個人的にはこのダンジョンの主ともうまい具合に話を付けて終わりたいのだが。



という思惑を抱きながらもやって来たダンジョン。


見た目は完全に山の中腹に空いた洞窟であり、中に入った感じもまんまただの洞窟である───まぁ、かつて僕が転移した死神ちゃんのダンジョンもただの洞窟だったから違和感はないのだが。


僕はペタペタと興味深そうにダンジョンの壁を触っているエロースを傍目に、とりあえずダンジョンマスターへと問いかけてみることにした。



「おーい、聞こえてたら返事が欲しいんだがダンジョンマスター。僕の名前はギン、敵対する気はな───」



ズドォォォォンッッ!!



「───あれ?」



僕はすぐ後ろで聞こえた破壊音に思わず呼びかけをやめて振り返ると、何故か拳を振り切った姿勢のエロースと、本来は壊れないことで有名なダンジョンの壁が崩れてゆく様子が視界に入った。



「おおおっ! すごいよっ、すごいよ親友くん! いまけっこうな力で殴ったのにこれだけしか壊れてないんだよっ! このダンジョンって凄───」



スバァァンッ! と、僕は思いっきりエロースの頭へと平手打ちを食らわせた───もちろん容赦など無い。



「痛いっ!? ちょっといきなり何するの親友くんっ! ......はっ、もしかしてそういうプレイ───」


「うるさいこのバカ! せっかく友好的に進めようとした途端に何いきなり相手の住居破壊してんだよ!?」


「えっ? だって硬そうだったから」


「子供かお前は!?」



僕はいきなりシナリオをぶっ壊しにかかってきたエロースへとそう叫ぶと、ゴホンと咳をして、気持ちを切り替えて再びダンジョンマスターへと呼びかけた。




───かったのだが、




《ビビビッ! ビビビッ! 警告! 警告! 侵入者!》




瞬間、どこからかそんな声が大音量で響き渡り、僕とエロースはあまりにも予想外な事態に思わず身をすくめた。


そして僕は悟る───あぁ、やっちまったな、と。


警告音は十数秒後には止まり、向こう側はこちらが帰るつもりがないのを察したのか、唐突に道の向こうから様々な気配が感じられ始めた。


僕はあまりにも多いその気配に件のスキルを思い出し、チラリとその元凶を見やってため息を吐く。




「ほんっとうに頼むから......、もう余計なことしないでくれ、な?」


「わかったよ! 親友くんっ!」




何故だろう、即答だったのにまるで信じられない僕がいた。




☆☆☆




その後あちこちをうろちょろし始めたエロースをなんとか宥めながらも、空間把握を最大まで広げた上で、最短距離を進んでいるのだが───



「ダンジョンのトラップ......ねぇ? 空間把握でも察知できないってどんな高性能だよ───っと」



そう、最短距離を進んでいるのにも関わらず未だに一回層なのは、何故か空間把握でも察知できない高性能な罠があるからで、正直言うと、罠解除について詳しいシーフでも雇ってくるべきだったと後悔している。



───それに、なにより。




「おったーからっ! おったーからっ! お宝さんは〜、どーこです───」




ガコンッ!



瞬間、エロースの足元のタイルが音を立てて沈み込み、わざわざ狙ったかのように、両方の壁から僕の首元へと大鎌が迫ってきた。


───まぁ、その罠自体は僕には効かないので、余裕を持って少ししゃがみこみ、その凶刃を躱す。


僕は少し経って壁へとその刃が戻っていくのを確認した後、もう何度目かも知らないが呆れ混じりに背後を振り返った。



「なぁ、もっかい聞くけど、意図的に僕の命のみを狙うトラップを発動してるわけじゃないんだよな? さっきから僕しか被害被ってないんだけど」



その言葉に固まっていたエロースは心外だとばかりに憤慨し、頬をふくらませてそっぽを向いた。



「ち、違うもんっ! 私だって頑張ってるんだからそんな事言わないでよねっ! 親友くんのいじわるっ!」



いや、頑張っているのは分かってるんだ。


そう、エロースはいつも頑張ってくれている。何をするにも一生懸命で、何とかして僕の役に立とうとしてくれている。


恐らくは今日だってダンジョン攻略を手伝ってくれようとして付いてきたのだろうし、下心こそあるものの行動理念としては『役に立ちたい』の一言に尽きるだろう。



───まぁ、それらが全て裏目に出ているからこそ僕も素直に喜べないのだがな。



僕はぷんすかとそっぽを向きながらもチラチラとこちらを窺っているエロースを見て「ふっ」と吹き出すと、僕らのパーティで唯一運のない女神さまへとこう告げた。




「悪い、いつも頑張ってくれてありがとな」




少し恥ずかしかったため、僕はそれだけ言うと踵を返してダンジョンの奥へと進み始めた。



その後、機嫌が良さげなエロースの鼻歌が聞こえ始めたはいいが、エロースのテンションと比例するかの如く、罠の発動回数はうなぎのぼりに上がっていった。




☆☆☆




その後も罠の発動回数は増えて行ったが、着実に、確実に僕らは奥へ奥へと進んでいた。


───のだが、



【注意、右の道に進むべからず。罠多数設置済です】



目の前にはそんな文字が書かれた看板が設置されている、見事なまでのT字路があった。


なんだか深読みすればするほど面倒くさそうな看板だな、と思わず眉を顰めた僕ではあったが、両方の道に視線をやった途端、自分でも眉のシワが一層深くなったのを自覚した。


まず右の道。


これに関しては『本当に罠なんてあるのか?』と思うほど普通の道であった。超直感でもなんの危険度も感じられない、まぁ、当たりの道である。



───が、その反対側の左の道。



一目見た感想を言っていいのだとすれば、"気味が悪い"であろうか?


地面はプクプクと泡の吹き出す紫色の沼と化しており、壁からは人のものであろう腕が何本も生えており、所々に不気味な溝がある。まるで落ちきっている瞼のようだ。


加えて奥の方からは「きひっ、きひひっ」と笑い声が聞こえ、なんだかさらに遠いところでは叫び声や悲鳴も聞こえてくるようだ。


そして極めつけは、ビックリするほど警報を鳴らす超直感先輩だ。正直この道はヤバイ。今までのダンジョンとは比べ物にならないほど危険度が高い───否、高すぎる(・・・・)



流石にこれは行く道は確定だろう。余程の馬鹿(・・・・・)でない限りは誰もが右の道を選───



「親切な看板だねー? それじゃ、左の道に進もっか!」



瞬間、その道に進もうとしているエロースを羽交い締めにした。



「ちょ、ちょっと待てエロース! どこからどう考えてもこれは罠だろうが! 裏の裏をかいて普通に右の道が罠を仕掛けられていると考えたのかもしれないが、さすがにこれは一目瞭然だぞ!?」



すると「へっ?」と間抜けな声を出したエロースはピタリと固まり、そしてしばらくしてから震える声で語り出した。



「い、いやぁー、まいっちゃったねー? 私もね? もうそれはそれは裏の裏の裏の裏の裏の裏とか読んでみたんだけど、さ、さっすが親友くんっ! わ、私のさらに裏をかくとは見事なりっ!」



『裏の裏の裏の裏の裏の裏』は普通に正解である右の道なのだが、まぁ、そこら辺は触れてやらない方が彼女のためだろう。せいぜい心の中で『何も考えてなかったな、コイツ』と呆れてやればいいさ。



僕は何とか納得してくれたエロースを見て冷や汗を拭いながらも、迷いなく右の道へと足を踏み入れた。



エロース、安定のポンコツさでした。

※補足説明ですが、最終進化の状態でスキルレベルを最上限まで育てると★が付きます。

次回! ギンの真骨頂とエロースの本気!?

ダンジョン最下層で待ち受ける敵とは果たして!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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