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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第248話

夏休み明けです!

久しぶりにあの人物が登場します! 実は全く予定にありませんでしたが。

その翌日。


朝早く───それこそ日が昇ってすぐの時間帯。


僕とオリビアたち学園組。

それに合コン漬けの夏休みを送ったらしい死神ちゃんとグレイスは、それぞれ自動車モードのレオンへと乗り込んだ。


外には恭香や白夜、輝夜など、クランのみんなが揃っており、何故なマックスとレオン以外の全員が全員、僕の部屋の外の壁に耳をくっつけた状態で寝落ちしていたため、恭香以外の目の下には薄らとクマができている───何をしていたのかはあえて聞かないでおこう。



「にしても恭香、本当に大丈夫か?」



僕は運転席から外に立っている恭香を見下ろしそう聞いた。何が、とは言わずとも伝わるだろう。



「そうだね。充分昨日のうちにチャージしてもらったし、次の冬休みくらいまでは頑張れるかな」



恭香も詳しいことは語らなかったが、どうやら彼女も大丈夫なようだ。『チャージ』の部分でピクリと反応した奴らが大勢いたが、まぁ、やましいことは何も無い。普通にあのあとソファーで寝ただけだ。


僕は彼女の答えに頷くと、その後ろの方へと視線を向けた。



「白夜、輝夜、暁穂、伽月、エロース。僕のいない間、頼んだぞ」



すると自分は話しかけられないだろうと思っていたのか、彼女たちは一瞬目を見開いて固まったが、次の瞬間には満面の笑みで頷いてくれた。


僕はその様子に『次帰ってきた時はどこか出かけるのもいいかもな』と考えたが、まぁ、それについてはおいおい考えれば良い話だろう。



そうして僕は、ふっと頬を緩めてこう言った。




「行ってきます」と。




☆☆☆




そうして僕はレオンカーをぶっ飛ばし、本来ならばかなりかかる道程をほんの数時間で踏破し、そして余裕で始業式へと間に合わせた。


僕やグレイス、死神ちゃんあたりなら余裕であの速度で走れるのだが、流石に他の面々はゲッソリとした青い顔をして口を抑えていた───特にネイル。


その後、僕は別れ際にレオンへと「帰って皆で(・・)食べろよ」と言って牛肉詰め合わせを渡し、僕は久しぶりに霊具レベルリセッターを装備し、そして悠々と学園へと帰ってきたのだった。



まぁ、そうしてラリ○ーマ地獄の始業式をなんとか切り抜け、久しぶりに再会した桃野相手に少しはしゃいだり、未だに何となく巻いている左手の包帯を馬鹿にされたり(主にリリー)、まぁ、そんなこんなで久しぶりの学園生活初日を終えることが出来た。


は、なに、それ全部飛ばすの? とか思われるかもしれないが、もしも描写するとすれば「よぉ! ひさしぶりだな!」っていうリア充共の囀りを延々と描写せねばならなくなる。それと少し日焼けした桃野の可愛らしさ。



という訳でそれらは省略し、夏休み明け二日目。



放課後、僕はホコリが溜まっていた部室をいい感じに銀炎にて燃えつくし、久しぶりにゆったりとお茶を飲んで過ごしていたのだった。



───のだが、



コンコンと、ノックの音が聞こえ僕とアイギス、浦町は思わず顔を見合わせる。


なんせ、今日はあくまでも全員部活動は部室を掃除する、という日として決められている。

そのため今日は全部活動は禁止───とまでは行かずとも、自主練的な活動以外は認められていない。


そのため僕達は部室のドアには『休業中』との看板を吊るし、こうして部活をするでもなくだべっていたのだ。



───にも関わらず......ノックだと?



訝しげに眉間にシワを寄せていると、聞こえていないと思ったのかもう一度訪れるノック音。


まぁ、居留守を使って立ち去るのを待つのも一つの手ではあるが、これがギルバートやディーンといった生徒会のメンバーであれば居留守は面倒なことを起こしかねない。


僕はため息混じりに立ち上がり、鍵を開けてからドアを開け───




「お久しぶりですギン様っ! 今日はお日柄もよ──」




僕はその顔を見た途端、ピシャリとドアを閉じた。




☆☆☆




その後の一瞬の硬直の後、ドアの前で大声でこちらへと続きを話し始めたスメラギさんを僕は部室へと招き入れ、恥ずかしいからやめてくれと釘を指した上で僕は彼女へと話しかけた。



「で、何の用だスメラギさん。何か用事があってきたわけなんだろう?」


「な、何もなければ来てはいけないのですかっ?」


「うん、普通に迷惑だね」


「ぐふぅっ!?」



僕はいきなり胸を抑えて吐血した(比喩)スメラギさんを見て思わずため息を吐いた。

いや、せっかく落ち着いて三人でだべっていたのにも関わらず、いきなり校則無視してまで来て、その答えが『何もなかったら来ちゃいけないのっ?』とか舐めてんのかお前、って感じだろ。常識考えろ、常識を。


僕はアイギスと浦町から慰めてもらっているスメラギさんを傍目に茶受けをバリバリとかじっていると、やっと心の傷が癒えたのか、スメラギが僕へと話しかけてきた。



「じ、冗談はともかく、今回は少し依頼......という形では校則違反となるので、お願い、という名目で頼みたいことがあって参った次第です」


「......お願い?」



僕の言葉に頷いたスメラギさんは、そのお願いに関してポツリポツリと話し始めた。



「覚えて居られるかは分かりませんが、私は風紀委員会の委員長であると同時に、剣術部の部長も兼任しております。そのためか比較的優先度の低い剣術部に関しては私の支は───管理が滞り、うち数名、ギン様のお仲間のマックス殿や小島殿を除いた多数の気が抜けているのです。今回お願いしたいことは、簡潔に言うと『最近気の抜け始めている剣術部について、少しばかりご指導願えませんか』ということですね」



いや、内容は分かったがスメラギさん。いま『支配』って言おうとして『管理』に言い換えなかったか? わざと? もしくはちょっとしたお茶目、ってやつだよね?


僕は内心冷や汗をかきながらも、マックスや小島が入ってる剣術部の気が抜けている、という話を聞いて、それは夏休み明けだから気が抜けているのか、それとも単にやる気がないのかどちらなんだろうと考えた。


普通に考えれば前者なのだが、もしも後者だとして、僕がその依頼を受けたところで「余所者が何生意気言ってんだよ」とはならないだろうか?

かと言ってスメラギさん、マックス、小島の三人の為だと思うと受けてやりたい気もする。



.....っておい、待てよ? 剣術部だと?



僕はふと『剣術部』という部活動に何か違和感というか、何かを見落としているような感覚に襲われ、しばし考え込む。



───が、案外その見落としはすぐに頭に浮かんできた。



「白髪褐色にクラウド......そして、メザマ。確かアイツらも剣術部だったはずだよな?」



それらの名前にピクリと反応するスメラギさんと、アイギス。


白髪褐色のおちゃらけムードは言うまでもなく目立つし、アレから気まずいクラウドはスメラギさんの知り合いで、メザマはあれだ。序列戦で僕がボコった天動説野郎だ。


そしてそれらの名前を含めて考えた僕は───




「悪い、アイツら居るならちょっと遠慮させてもら──」


「まっ、待ってください! 確かにあの三名はかなり面倒くさいというか、私に生殺与奪権があればまず間違いなく最初に殺すメンバーですが! それでもどうかっ! どうか依頼を!」


「いや、白髪褐色とか面倒だし、クラウドとは気まずいし、メザマとか論外でまず間違いなくぶん殴っちゃうし。やめた方がいいと思うよ? あ、浦町でも貸そうか?」


「おい、私をものみたいに言うな。私はそういうので興奮する白夜ではないのだぞ」



僕は最早完全にやる気を失っている。


にも関わらずスメラギさんは何故か僕への懇願をやめる気配はなく、やる気のない僕としては土下座してる女子相手にこれ以上何か言うのもはばかられ、結局はまた思考を再開させるのだった。



僕はあの三人と会いたくない。


そのため僕と同レベルの剣術の腕を持つ浦町に頼みたいところだが、彼女もどうやら乗り気ではないようだ。


ならばどうする? ある程度剣術のできる奴でも連れていかせるか? 候補としては死神ちゃんやグレイス、あと国語のドラム先生もマッチョだしいけるか?

そう考えてみても『剣術』という部門でいえばこの学園のランキングだと、


一位、スメラギさん

二位、マックス

三位、僕と浦町

五位、クラウド


と言った感じだろうか。死神ちゃんは鎌術特化だし、グレイスは肉弾戦特化だしな。



と、そう考えたところで、僕はとある人物に行き当たった。



僕と同じくらい(・・・・・)剣術が上手く、僕と同じような(・・・・・)能力を持っており、僕と同じくらい(・・・・・)強い、あの冥府の王様を。



そうして気がつけば僕は肩を震わせて笑っていた。

浦町は楽しげな笑みを浮かべており、アイギスとスメラギさんは首をかしげてこちらへと視線を向けている。



そんな中、僕はスメラギさんへと問いかける。




「なぁ、『冥王』って二つ名、知ってるか?」と。




☆☆☆




目の前には剣道着のような衣服を着た生徒達。


隣には少し緊張した様子のスメラギが居り、前へと視線を向ければ呆れたような顔のマックスと視線が合った。


場所は剣術部の訓練場。


僕は今日、この剣術部の特別講師としてこの場を訪れた訳なのだが───



「こ、今回は特別講師として、去年のグランズ帝国の武闘会にてとてつもない記録を残し、『冥王』の二つ名を手に入れたこの方が来てくれた! 皆、それでは拍手を」



瞬間、コイツらやる気あるんじゃないか、と言いたいような大音量の拍手が響き渡り、よくよく見ればみんなの瞳はキラキラと輝いていた。


まぁ、あれだ。あんなに活躍しておいて出身も正体も全くの不明、そしてどのタイミングでいなくなったのかも不明とくれば、それはそれで十分な話題となりうるし、執行者程ではなくともある程度有名人だと言うのも頷ける。


僕は右手(・・)を軽く挙げて拍手を止めさせると、軽い威圧の魔力を発しながらも礼をした。




「初めまして、我輩の名はシル=ブラッド(・・・・・・・)。だいたいなんでも知っている一般人である」




これはなかなかどうして、面白い暇つぶしになりそうだ。


シル=ブラッド再登場!

いやはや、あれだけ色々考えてキャラ作ったのに武闘会───しかも中途半端な状態で終わったまま燻らせておくのは如何かものかと思ったので、何となく再登場です。

次回! まさかここに来てのスメラギ回! リリーファンの方々はしばしお待ちを。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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