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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第238話

余談ですが、ヒロイン候補と非ヒロイン候補(ネタキャラも有)の境界線が分かりません。

女性の登場人物は結構いるわけですが、果たしてどこからどこまでがヒロイン候補と呼べるんでしょうかね。

キーン、コーン、と鐘が鳴り、授業の終わりを僕らへと伝えてくる。


それと同時に聞こえ出す、生徒達の安堵の吐息。


本日最後の授業を受け持っていた死神ちゃんはそれらを見て少しため息を吐く。けれども彼女は微笑ましいものを見る様な表情を浮かべており。



「まぁ、俺様からいうことは怪我すんなってことくらいだから、節度よく恋人を作らず、清く正しい生活を送ってくれ」



学園祭から数週間経ち、そして今日───




「それじゃ、夏休み、開始だ」




今日からやっと───夏休みである。




☆☆☆




街の外。


今日は午前授業で終わりだったため、昼過ぎには僕らはこの街を後にし、久々に我が家へと出発することが出来る



───のだが、



「......何でここにいるんだ? 二人とも」



呆れ混じりに振り返ると、そこにはさも当然とばかりに仁王立ちしている白髪幼女と白髪超祖母の二人───俗に言うグレイスと死神ちゃんである。

まぁ、死を司る神に対して『ちゃん』付けしておいて『俗に言う』なんて言えないだろうが。


僕の視線を浴びた二人は何故かいい笑顔を浮かべ、僕へとなぜ付いてきているのかを力説した。



「にははははっ! お前のクランホームには絶対に壊れない訓練場があるのであろう! ならばそこを使わずして何が修行ぞよ? 丁度そろそろ霊器無しでの訓練もしたかったところなのでのう!」


「俺様はお前に対して影魔法───特に悪鬼羅刹について教えるためについてきたってところだな!」



二人はそう言い終わると視線を交差させ、小さな声で「せーの」と言った後に本音をぶちまけた。




「「なにより! クラン入団希望者の中にいい男がいるかもしれないしな!!」」




───あぁ、そうですか、と。

僕は二人の力強い力説を聞いて頷くと、おおよその未来が読めてしまって少し涙がちょちょぎれた。



と、そんなことを考えていると、遠くの方の砂埃が舞い始めたのが視界に映った───そしてそれと同時に感じられる、嫌な予感。


その嫌な予感は徐々にこちらへと距離を詰めてきて、数秒後には月光眼に黒塗りの車と、それを運転しているポニーテール幼女の姿が映った。



───ってあれ? ポニーテール幼女?



僕はもう一度その見覚えのないポニーテールへと視線を向けようとしたが、そのポニーテールもこちらの姿を捉えたのか、尚一層アクセルを踏み込んでこちらへと爆走してくる。



───そして数秒後、僕らの目に危なっかしく止まったその黒塗りの車。



その運転席からはドヤ顔の紫色の髪をしたポニーテール幼女がこちらをのぞき込んでおり───




「やぁやぁ貴殿は私が敬愛する主殿ではありませぬか! といってもそのぱっとしない顔を遠目で見た感じ一発でわかってしまいましたがな! ハッハッハー!!」




その明らかに馬鹿にしているような口調と声を聞いて、僕はその正体に一発で行き着いたのだった。


その幼女は僕の背後で目を点にしている白髪二人に今頃になって気がついたのか、はっと気がついたような顔をして車から降りてきた。


そうして彼女は、開口一番にこう言った。




「初めまして、いかにもモテなさそうなお二人方! 私は世界竜バハムートが娘、主殿から伽月という名をもらったものでありまする!」




───その後、独身二匹を落ち着かせるのに数十分かかった。




☆☆☆




元々この車───っていうか分かっている人も居るだろうしバラしてしまうと車形態のレオンには、座席は八席しか取り付けられていないのだ。


それに比べて僕らは、僕、オリビア、マックス、アイギス、ネイル、藍月、伽月、浦町、それに死神ちゃんとグレイスの十名だ。

別に従魔二人をモンスターハウスにでも収納して乗ればいいのだが、二人が駄々をこねたため急ごしらえで新しく座席を二つ取り付け、やっと出発まで漕ぎ着けたわけである。



と、僕がそんなことを回想していると、何故か僕の背中にいくつもの視線が突き刺さってきた。


僕は気になって『どういうこと』と言わんばかりの視線を隣へと向けると、助手席に座っていた浦町がなんとも言えない様子でこう言ってきた。



「......いや、私も初めて知ったのだが、君は案外運転が上手いのだな、と思ってな」


「は? ......あぁ、そういう事か」



そう言って僕はハンドルを回し、前を走っていた馬車を追い越して走り去る。



この世界には『自動車』というものは無い。


もしかしたらどこかの国が秘密裏に作っているかもしれないが、少なくともそこらで見かけるようなことはまず無い。


たまたま伽月が運転した結果あんな無茶な走り方になってしまったが、その運転を見たコイツらは、『この乗り物はああいう危ないものだ』という偏見を持ってしまった。だからこそ、別にさして上手くもない僕の運転技術に驚いていたというわけである。


───ちなみに浦町が『上手い』と思ってしまったのは、空間支配の能力を持ったレオンが、車輪の通るであろう道を押しつぶして凹凸を無くしているからである。

まぁ、つまりは勘違いだ。天才様が恥ずかしいことこの上ないですね、浦町さん。



僕は隣で顔を真っ赤にして僕の肩をぽかぽかと殴ってくる浦町と、背後の方で「「「けっ、このリア充が」」」という三つの声の主を傍目にアクセルを尚一層踏み込んでゆく。




───のだが、




『グオォォォァァァァァァァッッ!!!』



瞬間、僕らの耳をつんざくような大きな雄叫びが響き渡り、僕もそのあまりの大きさに思わずブレーキをかけて止まってしまう。



───が、それはいい判断だったのだろうと後に僕は理解した。



レオンが完全に止まった次の瞬間、止まらなければ本来レオンが走っていた場所に超高熱の真っ赤な炎が放出され、そこら一帯の地面が溶け、ガラスとなってゆくのが視認できた。



そして僕らへと───大きな影が差した。



───あぁ、なんだか懐かしいなこの感じ。最近遭ってなかったから、もう彼ら(・・)は報復を忘れてくれたんじゃないかと思ってたんだがなぁ。



僕はとても嫌々ながら窓から顔を出し、空を見上げる。



そこにはかつて、僕へと何度も何度も襲いかかってきた種族の群れが居り、恐らくは群れの中で一番偉いであろう巨大なその魔物を鑑定した結果───






種族 灼赤竜マグマドラゴン(1084)

Lv. 869

HP 82,600

MP 50,200

STR 89,880

VIT 30,000

DEX 31,160

INT 60,600

MND 45,890

AGI 59,000

LUK 45


ユニーク

王の咆哮Lv.3

限界突破Lv.1

魔導Lv.1

人化Lv.1


アクティブ

ドラゴンブレスLv.2

威圧Lv.3


パッシブ

爪術Lv.2

体術Lv.3

並列思考Lv.2

痛覚耐性Lv.2


称号

赤竜の王




それは、白夜と同じ年齢の(・・・・・・・・)、真っ赤なドラゴンであった。




☆☆☆




そのステータスを見た感じで言うと、初期の白夜よりかははるかに強いが、それでも今の僕達からすれば雑魚。と言った感じであろうか?


まぁ、兎にも角にも、藍月に伽月、レオン、それに後部座席の白髪二人がいる時点で脅威に値する相手では無い。



───だがしかし、




「ふむ、丁度いい相手が来てくれたのぅ。この際ぞよ、おいお前、霊器解除して皆殺しにでもしてくるのぞよ。じゃからワシとカネクラは手を出さんからの」


「.........はっ?」




───いきなりの白髪二人の裏切り。




「なんと! 修行しはるかに強くなったのであろう主殿の勇姿が見られるのでありますか!? ならば私たちも手を出さないのが定石でありましょうな!」


「伽月ー、定石ってなんなのだー?」


「ハッハッハー、なんとなく使っただけなのでよく分かりません!」




───最早やる気の欠片も見せない馬鹿二人。



そして───




『主殿、ぐっとらっく、である』




最後の希望が、今砕かれた。



だがしかし、希望が砕かれたからと言って諦める僕ではない。絶望の中でこそ、人は生を求めなければならないのだ。



「いや、ちょっと待てお前ら、そもそも霊器解除したらここら周辺が更地と化すんじゃないのか? そもそも...」



その後もタラタラと言葉を並べて誰かひとりでも納得させようとしたのだが、僕の隣からそれらを一蹴する言葉が襲いかかってきた。



「前ならばともかく、今の君には魔力回路があるだろう? オークキングとの戦いの際はたしかに暴走する恐れがあったが、今の君ならば暴走する可能性はかなり低いし、もしも、暴走したとしても被害は最低限のはずだ」



僕は「裏切ったな!?」と言わんばかりの視線を隣の浦町へと向けたが、今の浦町の瞳の中には『興味』と『探究心』の炎が燃えていた。



───賛成多数、反対一人。


もうここまできたら、覚悟を決めるしかないだろう。



「はぁ......、もしも話し合いで解決しそうなら戦わないからな?」



僕はそう言って車から降りると、左手首の霊器をアイテムボックスへと収納する───と同時に溢れ出す、膨大な魔力の奔流。


魔力回路のおかけでなんとか表に出すようなことは無かったが、それはあいつらが言っていた『暴走する可能性の低さ』を実証しているようなものだ。



───まぁ、これで僕が死ぬ可能性が減ったからいいんだけど。



僕はひとまず心の中で安堵すると、まずは争いを避けるため、こちらを睨みまくっているドラゴンさんへと話しかけることにした。



「やぁ、いい天気だねドラゴンさん。それにしても出会い頭にドラゴンブレスとは、もしかしてそれが竜種における挨拶の仕方なのかな?」



───もちろん挨拶なわけがないだろう。もしそうだったとすれば僕は竜種とは友達になりたくないな。



すると僕のその予想は当たっていたようで、その赤いドラゴンと背後の無数のドラゴンたちはゲラゲラと笑い始めた───あぁ、どこかの教会の裏でもこんな光景見たっけな。


まぁ、そういう奴らの末路はだいたい決まっているわけで。




『ハッハッハ! どうせ貴様はここで殺すのだ、ならばそんな挨拶があると間違った風習を知ったまま死ぬが良い!』




そう言って魔力を放出し出したドラゴンを傍目に、僕は一人「そりゃ良かった」と心の中で呟いて、久々に僕の超魔力を放出した。




「なら僕も、挨拶して返さないといけないな?」




大気がガタガタと震え、あまりの高密度な魔力に周囲の小石が浮かび上がる。


視線を前へと向ければ流石は竜種。彼我の実力差に気がついたのか身体中からダラダラと大粒の汗を流している。



───まぁ、それでやめるわけも無いのだが。




「悪いけど今はレベルカンストしてるからさ、僕が進化してからもっかい殺されに来い、トカゲ共」




その日、空に向かって放たれた巨大な赤い影を目撃した者がいるそうだが、それに関しては僕は黙秘権を行使するつもりである。


ドラゴンは出会い頭にドラゴンブレスを放つという、かなり脳筋な挨拶法を持っているようです(棒)。

ギンもそれに従い全力ブレスを放ったわけですが、果たしてどこかに間違っていたのでしょうか?


次回! 仲間達再び! ちょっとした急展開有り!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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