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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第236話

次で学園祭は終了です。

『さぁやって参りました学園祭二日目! 二日目といえば《この難あり大会》、そしてこの《ミスコンテスト決定戦》だァァ!!』



なんだか聞き慣れてきた司会さんの声が鳴り響き、辺りから男共の大歓声が響き渡る。

ミスコンテスト決定戦という名前にちょっと違和感を感じた僕ではあったが、まぁ、そんな些細なことはどうでもいいだろう。


というわけで、司会さんはルールやその他の様々なことについて話し始めた。



『それではルール説明に入ります! ルールは簡単、参加者さんたちには一人ずつステージへと上がってもらいまして、私が色々とぶっちゃけたことを聞いていきます。それを聞いた上で審査員五名による点数を合計し、その合計得点が最も高かった方が優勝です! 優勝者には特に報酬は考えておりませんが、そも、女性が他の女性に《魅力》の点数で負けるのは屈辱的! しかも審査員には男性も居ます! これだけで十分やる気が出るのではないでしょうか!?』



───いや知らんがな。



正直言って男の僕に言われても「はっ? 別に負けてもいいんじゃないのか?」とは思う───が、ふと横を見ると水色の髪をしたクソイケメンが座っており、なるほど負けるのが嫌ってこういうことかと納得してしまった。よし、みんな頑張れよ。



『それでは続きまして審査員達の発表です!』



その言葉と同時に隣の面々が立ち上がったので、僕も空気を読んで立ち上がる。



『審査員は計五名! 順に、学園長であるグレイスさん、魔国のお姫様のマイア・ロードさん、生徒会長のギルバート・フォン・エルメスさん、急遽参加が決定したギン=クラッシュベルさん、そして執行機関からレオンさんです! まさかの執行者さん以外が全員美男美女! これは肩身が狭いッッ!!』



───よし、あのアマ後でぶっ殺してやる。



『うわぁっ!? な、なんだか突如執行者さんの方から猛烈な殺気を感じましたがきっと気の所為でしょう! そうに違いありませんね! という訳で、審査員の方々は各々五点満点で得点を決め、それらの合計である計二十五点満点での勝負となります! それでは開始までのお時間を有意義にお過ごしくださいませー!』



そう言って司会さんは一度礼をし、僕から発せられる殺気にブルりながらステージ奥へと去っていった。

まぁ、この中じゃ僕がかなりモブっぽいのは隻腕とオッドアイを抜かせば一目瞭然だし、仕方の無い事でもあろう───許すか許さないかは別として。


と、そこまで考えたところで、僕は隣の席に我が物顔で座っているショタっ子へと視線を向けた。



「おいレオン、お前、こんなの出て何してんだ? 個人的にはお前は伽月にしか興味の無い一途な野郎だと思ってたんだが」



そう、レオンは本来伽月と食べ物にしか興味の無い真の暴食主義者だ。だからこそ僕はこの席に座っているレオンに対して疑問を抱いた。


するとレオンと来たら、何やら呆れたようなジト目を僕へと送り付け、当たり前のことを言うような口調でこう返してきた。



───のだが、



「主殿が何を言っているかはよく分からぬのであるが、まぁ、自分は伽月のことが好きである。だが然し、自分が一番敬愛しているのは主殿であるし、何よりも主殿のことが大切である。伽月とどちらを取るかと聞かれれば......、数ヶ月ほど悩みに悩んだ末に主殿を選ぶくらいである。なればこそ主様が出るこの場に護衛役として来るのは当然である」


「レオン、嬉しいけど、それちょっと重い」


「お、重いであるか!?」



───僕はちょっとだけ、レオンのマスターコンプレックスにゾッとした。



もちろんアンナさんが喜ぶ方面のことは一切ないし、純粋な仲間としてそう言われて嬉しくないわけじゃない───が、ただ単純に重いのだ。



「まだソフトたが、その考えはいずれストーカーみたいなねちっこい奴になる前兆みたいなもんだぞ。男なら黙って自分の女だけ守ってろ。それでも僕を守りたいならそれ相応に強くなれ。以上だ」



まぁ、レオンに限ってストーカーになるようなことは無いだろうし、何よりもコイツには伽月が付いている。全く信用ならんが、それでもそれで不良になることはないと確信できる。


僕はそう心の中で一人呟くと、何やら不思議なものを見るような目でこちらを見てくるレオンを無視して前へと視線を向けた。




───のだが、




「主殿? 言っていることは至極まともで感動したのであるが、自分にはあの捻くれた主殿がこんな事言うとは思えないのである。って言うかこんなこと言う程カッコよくないのである。何か変なものでも食ったのであるか?」




とりあえず、僕は一発拳骨を入れておいた。




☆☆☆




しばらくしてミスコンテスト決定戦は開幕した。


だが然し、流石にこの大勢の前で『私可愛い』アピールをして、その上で点数を出されるというのはかなりきついものがあるらしく、やはりというかなんというか参加者数は少なかった。



───そのため、数人目あたりから僕の知ってる奴らしか出てこなくなっていた。




『エントリーナンバー三番! 腐の伝導師こと四年一組アンナさん! 趣味はなんですか?』


『人間関係ゥゥ!! ただし男に限るッッ!!』



僕は性格を鑑みて、三点としておくことにした。




『エントリーナンバー四番、同じく四年一組から、エリザベス・ラドラストさん! 特技はなんですか?』


『うふふっ、そう...』



考えるまでもなく二点と書いておいた。




『エントリーナンバー五番、最近執行者さんとの仲を疑われ始めた女の子、リリー・ガーネットさん! えー、実際執行者さんとはどうなんですか?』


『実はー、なんだか最近先輩から誘ってく...』



うん───一点だな。




『エントリーナンバー六番、風紀委員会の委員長にして剣術部の部長、序列四位のスメラギ・オウカさん! 趣味はな......ってちょっと!? ま、マイク返し...』


『ギン様ァァァ!! 私と結婚し...』



同じく一点。考えるまでもない。




『エントリーナンバー七番、小等部からのエントリー、我らがアイドル、アメリア・フォン・エルメスちゃん! えーっと、好きなものはなんですか?』


『しっこうしゃのあにじゃーっ!』



───うん、五点をくれてやろう!




『エントリーナンバー八番! 教師陣からの出場です! 伝説の時の歯車の一員にして現神様! ちょっと神様がここにいることに驚きを隠せませんでしたがもう慣れました! カネクラさんです! 最近は何をなさりましたか?』


『紹介された男に振られた......ぐすっ』



───持ってけ、五点だ!



とまぁ、こんな感じで審査は続いた。


正直、前半が聞くに耐えないほどひどかった。一人ほど公開告白して振られた馬鹿もいるしな。ちなみに後半というか一番最後のやつもひどかったが。

あと、最後から二人目は最高だ! 文句の欠片もない!



と、そんなことを考えて次の出場者を待っていると、何やら慌てた様子の司会さんがマイクを握りしめた。



『えー、今登録名簿を見たところ、残るは四名なのですが、なんと見事に全員が執行機関からの出場です! 先ほど裏で確認したところかなりハイレベルな方々が勢ぞろいしてましたので私も楽しみです!』



───聞き間違えかな? 何か不穏な言葉が聞こえた気がしたんだが。それに四名ってちょうどここに来てる問題児たち+αと同じ人数だよな?


そんな不穏な考えが頭をよぎると同時に、僕の背後から見知った気配がしたため振り返る。


そこには呆れ顔の浦町を初めとして、オリビア、アイギス、ネイル、桃野の姿があり『あれ? マックスどこ言ったんだ?』とは聞いてはいけなさそうな空気を発していた。ついでになんで桃野があっち側にいないのかも聞けなさそうだ



「ふむ、マックスならば『学園祭で彼女作ってやんよ』と息づいていたぞ。まぁ、あの男の顔面偏差値ならば余裕だろうがな。後者に関しては論外だな」



───おーっと、浦町さん? 何フラグ立ててるんですか、それ絶対成功しないフラグですよね?



と、脳内でマックスを不憫に思っていると、ステージ上の司会さんは僕の考えなど知ったことかと司会進行をしてゆく───のだが、やはり僕の嫌な予感は正しかったようである。



『エントリーナンバー九番! 気がつけば頭の中から存在が消えている天使っ子! あまりにも影が薄すぎて描写すら省かれかけるその儚さはまさに天使! その正体は伝説のペガサス、藍月ちゃんです!』



瞬間、まるで天使か降臨したかのようなスポットライトの演出が為され、本人も形無しのフリー○ポーズを決めてきた藍月が空から下りてきた。


───それよりも、儚さとか言っちゃってるけどあの影の薄さは真性だと思うぞ? だってオークキングとの戦いの最中『藍月使えよ』なんて思ったやつ一人もいないと思うもん。居たらそいつは天才だ。


そんなことを考えている間にも、司会さんはポーズを解除した藍月へとマイクを向けて話しかける。



『えーっと、藍月ちゃんはペガサスみたいですけれど、実際のところどれくらい強いんですか?』


『うーむ......、今の弱っちぃあるじが五十人くらいでかかってきても負ける気がしないのだー!』


『お、おうっふ......、そ、そうですか。流石は執行機関ですね......』



───色々と言いたいことはあるが、とりあえずお前ら二人、後でお仕置きな。


そう考えると並行して僕は藍月の点数を考え出し、お手元のフリップボードに点数を書き込む。



『そ、それでは審査員の皆さんの点数の発表です!』



その声と同時に公にされるそれぞれの点数。


グレイスから順に、四点、五点、四点、三点、三点。

合計で十九点。かなりの高得点ではあるが二十点の大台には乗ることが出来無かったようである。


───まぁ、藍月本人は何故か僕の方を見てニコニコしているので、兎にも角にも楽しそうで何よりだ。




だが然し、僕は次の司会さんの言葉を聞いて、ついに堪忍袋の緒が切れることとなる。




『続いてはこちらァ! エントリーナンバー十番、その美貌にあの執行者さんも思わず一目惚れ! あの執行者さんも彼女の前では見惚れてフリーズしてしまうこともしばしばあるのだそうだ! あの執行者さんがですよ? 皆さん聞きましたか? あの執行し...』


「うるせぇ! 馬鹿にしてんのかこの野郎!!」


『......ふっ、あの執行者の怒声、頂きましたっ♡』



───くぅぅぅっ!! 初めて女の人に殺意を抱いたぞ僕! 本気でぶっ殺してやろうかあの女!


僕はした唇を噛み締めて何とか怒りをこらえると、思わず立ち上がってしまった席へと腰を下ろす。何故かその際に『ご愁傷さま』と言った感じの視線が向けられたことは忘れよう。



『とまぁ冗談はさておき、エントリーナンバー十番! 執行機関の厨房を任されているシェフにしてその実力は未知数! 最強のメイドさん暁穂さんだァァァ!!』



そうして静かに現れた暁穂は、まるで見本のようなカーテシーを披露し、そのあまりの美しさに、僕を含めた誰もが息を飲んだ。


というのも、先程はブチっときてしまったがあれは事実だったがための事である。


美人揃いのクランの女性陣の中でも一際目立つその美しさ、たまに見せる笑顔と弱さ。そして、さり気ない優しさ。

これであのクソッタレな性癖さえなければ最早そこに欠点は見当たらず、嫁に欲しいランキングでもあるならば間違いなく暁穂が一位の座を手に入れるだろう。



『き、綺麗ですね......、暁穂さんのご趣味は、なんですか?』



先程とは打って変わって、まるで貴族へと話しかけているかのような司会さんの姿を見て、僕は再びこう思うのだ。




───ほんと、あの性癖さえなければ、な。




『趣味ですか。露出、ですね』




瞬間、先ほどとは違った意味で、誰もが息を飲んだ。



そして僕らの間を占める───微妙に息苦しい静寂。



そしてしばらくたった後、最初に口を開いた司会さんは何故かこちらへと話しかけてきた。



『えーっと、執行者さん? なんだか白夜さんのドM疑惑やレオンさんの際限のない暴食ときて、私は執行機関の触れてはいけないメンバーに触れているような気がするのですが、これってあからさまにしちゃっていい性癖(こと)でしょうか?』



───いや、ダメに決まってるでしょ。


咄嗟にそう言おうとしてしまった僕ではあったが、正直言って今の今までコイツらの異常性癖が公になっていなかったことの方が驚きだし、なによりも別段隠さなくても僕が別段被害を被ることでもない。



ならば───もういっその事バラしてしまおう。



僕はそう考え至ると、イケメンボイスでこう言った。





「うちのクランに、マトモさを求めない方がいい」





その日から、何故か入団希望者が少しだけ増加した。



という訳で変態性が露見しても尚絶大な人気を誇る白夜たちでした! あと司会さんは"怖いもの知らず"を体現してますね。ギン相手にあそこまでおちょくれるのは一周まわって尊敬しちゃいます。

次回! タダでは終わらない学園祭! ミスコンテスト、最後のひとりで何かが起こる!?

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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