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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第234話

ピンポン!


「多目的室と視聴覚室!」


ピンポン!


「学園長が独り身!」


ピンポン!


「ベスト魔法、アカデミグラス賞!」



もはや問題文の入り込む隙のないくらい(比喩)僕らの回答速度は電光石火。

他の回答者たちが唖然としてボタンを押すことさえ忘れてしまうほど、それ程までに僕らのペアは早く、そして確実にポイントを増やして行った。


そしてとうとう、その時はやってくる。



「こんぶ!」



瞬間、ピンポンピンポンッ! とインフォメーションが鳴り響き、その答えが正解だということを僕らへと知らせてくれる。


───と同時に、僕らの決勝戦進出が決定した。



『ぜ、全員六十問中二十一問正解!! 合計でポイントは210ポイント! ギン&白夜ペアの決勝戦進出が決定だァァァ!!!』



瞬間、大歓声が響き渡り、僕と白夜は笑顔でハイタッチを決めてやった。


そう、所詮は出題数の決まりきったクイズでしかない。難しい問題が出る前に解けるだけ解き、そして後は悠々とほかの面々が上がってくるのを待てばいい。



『さぁさぁ、という訳で一組の決勝進出ペアが出てしまったわけですが、解説のガチな神様ことカネクラさん、この現状、どう思われますか?』


『あー、そうだな。うち数名何でそこにいるって聞き正したくなるようなやつが紛れこんでるが、まぁいい勝負になるんじゃねぇか? 全員が能力さえ使わなければ、だが』


『おおっと、ここで能力での不正の可能性が出始めたぞ!? まさかそこまでして誰かとデートしたいなんて人は居ないでしょうが、正々堂々楽しくクイズですね! さぁ気張って行きましょう!』



コチラとしても何故かそこに死神ちゃんがいるのか聞き正したいところではあるが、残念ながら彼女よりもよほど聞き正したい奴がすぐ隣にいた。



『それでは続いてのも...』


ピンポン!


「サッカー部」



瞬間、正解のファンファーレが鳴り響き、そのチート野郎の正解を僕へと教えてくれた。


問題さえ聞くことなくその答えを導き出す......。正直、この僕でもそんな芸当、月光眼で答えを覗かねば出来ないだろう。


だからこそ、そんな芸当を出来る奴なんて僕は数人しか知らない。



『な、なな、なんということだァァァ!? ナンバー32、謎の仮面全ちゃんと、執行機関が誇る最強メイド暁穂! なんだか私には先ほどのお二人のペアよりも数段早かったように思えますが......、これは面白いことになりそうですね!』


『あぁ、主に天界であの馬鹿がどんな罰食らうのか見物だな』



その『馬鹿』とは誰のことかは知らないが、これだけは言わせてもらいたい。


───おい全ちゃんよ、多くは語らんが、それでも名前と顔を隠すくらいなら、ゴスロリと金髪まで隠してきてもよかったんじゃありませんか?


......何やら耳に『デートできるなら、神様、やめる』とかいう馬鹿げた念話が聞こえた気もしたが、まぁ、きっと気のせいだろう。



───と、そんなことを思っていると、僕らをあざ笑うかの如く僕の逆隣からもピンポン! という機械音が聞こえてきた。



なぁっ!? ま、まだ次の問題にすら入っていないんだぞ!?



僕は馬鹿げた無謀に思わず目を剥き、そちらを向いて更に目を見開いた。


果たしてそこには、自信満々に中二ポーズを決める馬鹿と、赤いボタンに手を添えているピンク色のポンコツの姿があり、



「ふっ、夜の会、だな?」



瞬間、正解のファンファーレが鳴り響く。


『未来予測』


僕の頭にそのチートスキルが過ぎり、そのクイズに対しては無類の強さを誇るそのチートに、僕はこの大会の優勝が遠のく気配を感じてしまった。



『なななんとぉぉぉ!! 今度は浦町&エロースペア! まだ次の問題にすら入っていないというのに正解だ! これは間違いなく不正ですが解説のカネクラさん、どうお考えですか!?』


『あー、もういいんじゃねぇか? どーでも』


『OK貰いました! という訳で次の問題です!』




最早これをクイズ大会とは呼べないだろう───そうだな、強いて言うならば早押し大会。

それに加えて両隣の二ペアは早押し大会をやっているのにも関わらず、僕と白夜に関しては純粋なクイズ大会をやっているのだ。


正直言ってクイズを聞く前にボタンを押されるのならば勝ち目は皆無だし、何よりもこの馬鹿どもが『正々堂々』などといった正義に満ち溢れたことをするはずもない。



「くっ、これはもう僕の『眼』を使うしか......」



そんな僕の考えをよそに、両隣の二ペアは次々と問題に答えてゆくのだった。




☆☆☆




決勝戦へと出場できるのは僕らの他にもう一ペアのみ。


という訳で件のチートペアはチートの限りを尽くして醜い争いをし、そうしてその残り一枠を勝ち取った真のチート野郎二人が僕らとともにステージに立っていた。



『という訳でッ! 決勝戦はギン&白夜ペアと、浦町&エロースペアだァァァ!!! 解説のカネクラさん、この決勝戦のメンバーについてどう思われますか?』


『ぷっ......、あ、いや、その......ククッ、全ちゃん仮面とやらが、「私の強さは劣らない」とかいう決め台詞持ってるくせに負け......プックック......』


『おーっと、よく分からないので無視するとしましょうか! という訳で決勝戦はご覧の二組だァァァ!!!』



瞬間、溢れんばかりの大歓声が鳴り響き、決勝戦に出場した僕らとチート野郎共の祝福をしてくれた。


───にしても、前に僕にも同じようなセリフ言ってたもんな、ゼウス。今回ばかりは純粋な『押す早さ』が命運を分けたとは言え、暁穂に任せずに自分でやっていれば可能性もあったものを。


まぁ、そんなことを考えたところで、僕ら───主に白夜があのポンコツ女神に勝てるとも思えないのだが。



「でもまぁ、あの二人に負けたらそれこそ酷いことになりそうだもんな......」



僕はそう言って、視線を真横へとスライドさせる。


そこにはかなりガチで集中してる浦町と、最早残像すら見えない速度でボタンを押す際の素振りをしているエロースが居た。


───最強。


これ程『最強』の二文字が似合うであろうペア、初めて見たぞ僕。もう僕の最終目的はコイツらなんじゃないかってくらいだ。



だがしかし、僕にだって意地がある。



「行くぞ白夜、頭でも速さでも適わないなら、僕らなりのやり方でぶっ潰すぞ」


「カカッ、なんだか最初にあった頃の主様みたいな事を言い出すのじゃな? 何か心境の変化でもかあったのかのぅ?」



僕は白夜の返答を聞いて、昔───それこそまだまだ影魔法すら使いこなせていなかったあの頃を振り返る。

周りは全員格上だらけで、頭をフルに使わなければとてもじゃないが生きていられなかった。生き残ることすらできなかった。


───なんとまぁ、今と似たような状況だよ、おい。


僕はそう考えて少し笑うと、僕も少しだけチートを使わせてもらうことにした。




「さぁ、誰に喧嘩を売ったか、分からせてやろうじゃないか」




───いつからだろう。僕らの頭の中からはクイズ大会の事など、とうに消え失せていた。




☆☆☆




『それではルール説明に入ります! ルールは簡単、全五問のうち先に三問正解したペアの勝ちです! ただし、さすがに不正を野放しにするのもいただけませんので、今回ばかりは問題文を読み始めてから回答可能となります。それと、ボタンを押してから十秒以内に答えられなければ回答権が移りますのでそのおつもりで〜っ! あ、あと決勝戦では”水へのドボン”は様子を見て行われるのでお気をつけくださいね~』



その説明を聞いた途端───僕らは、全員戦闘態勢へと突入した。



僕は白夜の体の要所要所に銀炎を纏わせる。


白夜は無表情を顔に貼り付けて集中を。


浦町は瞳を閉じて未来予測を。


エロースは余裕を窺わせながらボタンに手を添える。



ピリッとした緊張感漂う空気が肌を撫で、ゴクリとどこからか喉が鳴る音がした。



───そして、ついにその時はやって来た。




『それでは第一問! こ...』



瞬間、僕の視界の端に躊躇うこともなくボタンを押しにかかるエロースの姿が映り、



───ニヤリと、僕はほくそ笑んだ。



エロースがドヤ顔でそのボタンを押し、次の瞬間にそのボタンが膨れ上がり、



「えっ...」



膨大な熱量を孕んだ───大爆発が起こった。



「よし今だ! 作戦のプランAで行くぞ白夜!」


「ハイなのじゃっ!」



僕は事前にバレないようすり替えておいたボタン式爆弾の爆発に巻き込まれたエロースを無視し、一直線に浦町の方へと駆け出す。


───もちろんこんな状況ももしかしたら読めていたのかもしれないが、十中八九クイズの答えを導き出すのに集中した浦町はこちらの未来にまでは気が回っていないだろう。


煙の中に飛び込み、空間把握で浦町の姿を捉える。

するとやはりまだ状況を把握できていないのか、呆然と立ち尽くす浦町。


───ふっ、それが演技でないことくらい丸わかりだぞ、浦町よ。


瞬間、僕はコッソリと浦町の背後まで忍び寄り、事前に作っておいた秘密兵器を浦町のその首へと取り付けた。



───封印の首輪



品質errorの僕の最高傑作だ。


森の神ケリュネイアの角と僕の持つブラッドメタルを使用して作った、ありとあらゆる能力と過剰なステータスを完全に封印する最強の首輪。


もしかしたらこれさえあればゼウスにだって勝てるんじゃないかってくらい馬鹿げた首輪だが。


───それが今、浦町の首に、嵌められた。




「なぁっ!? の、能力が使えない.....だと!?」



僕の脳波を読んだのと未来がいきなり読めなくなったことで焦った浦町。



もうこうなってしまえば、第一問の勝敗は決した。




『この学園の風紀委員会の腕し...』


ピンポン!


「緑色!!」




僕の念話の合図と共に白夜がボタンを押し、僕は容赦なく正解を叩き込んだ。



正解のファンファーレが鳴り響く中、僕の目の前には跪き、信じられないようなものを見る目をした二人の姿があり、





「はっ、相手チームを邪魔しちゃいけないなんてルール、どこにも無かっただろうがよ?」




僕は自信満々に、ゲスい考えを暴露した。



───さあ、容赦なく潰してやろう!




☆☆☆




第二問、そして続く第三問。


能力を奪われたとはいえ浦町は僕以上の頭脳を誇る天才。

間一髪でエロースの方が早くボタンを押し、見事浦町たちが勝利した。



───が、第四問。



『それでは第四問です! この学園で一番のデートスポットとい...』


ピンポン!


「庭園!」



間髪入れず繰り出された隣からの機械音と、僕と全く同じ回答にに思わず冷や汗を書いた僕ではあったが───、



ブッブーッ! と僕らの耳には、ちょっと馬鹿にしてるんじゃないかっていう様な機械音が聞こえ、同じく馬鹿にしたような司会さんの声が聞こえてきた。



『でぇーすぅーがぁー、学園長グレイスさんの髪の色といえば?』



───うはぁ、超イラつくわぁ。


傍観者でしかない僕でさえそう思うのだから、言われた本人である浦町にとってはかなりのものだろう。イラつき具合が。


だがしかし、これで超簡単な問題の回答権がこちらへと移った。



僕は自らの手でピンポン! とボタンを押すと、人まずはその問題に終止符を打った。



「青みがかった白髪」



僕は、ピンポンピンポン!という正解の音を聞きながら、最終決戦へと意識を向け始める。


今までの戦績は二対二。先に三勝した方が勝ちなので、実質勝っても負けても次の問題が最後となる───そしてお忘れかもしれないが、決勝戦で負ければ即冷水へとどっぽんである。夏場とはいえそんな事はなるだけ避けたい。


それは双方同じなのか、二人へと視線を向けると同じように覚悟を決めたような顔をしていた。



そして、最後の問題が読み上げられた





───のだが、





『最終問題! この学園の正式名称は一体なんでしょうか?』


「「.........はい?」」




僕も浦町も───その答は頭に浮かんでこなかった。


全能神敗北! そしてギンくん鬼畜ゥ!

ちなみにですが、ゼウスは無茶を通して下界に降りてきているとはいえ、未だに下界には物理的な介入は禁止です。そのためボタンを押せず、結局エロースの無駄に高いステータスに敗北したようですね。

次回! クイズ大会決着!

正直何故こんなにもクイズ大会如きに力を入れてしまったのか、未だに疑問です!

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