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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第227話

その日の放課後、マグナさんからは、その状態は全く理解不明だ、ということを伝えられ、僕はたらい回しを食らうように学園長室へと訪れていた。



───のだが、



「なんでゼウスがここに居るんだ?」



学園長室へと足を踏み入れた僕の目の前には、今日も今日とてお茶を飲んでいるゼウスがソファーに腰掛けており、その隣に座っているグレイス、死神ちゃんからは呆れたような視線が送られてきた。



「馬鹿者が、お前が毎度毎度馬鹿みたいな事をするから神界で『ギンの世話係』的な立ち位置に収まったんぞよ、全能神は。もう少し自重というものを覚えんか」


「へぇー、なら会いやすくなってよかったんじゃないか?」



何気なく呟いた一言ではあったが、すまし顔でお茶を飲んでいたゼウスは僕の言葉を聞いて吹き出した───何故に?



「ま、まぁ......、それはいいとして、今は...ギンくんの状態を調べる、のが、先」



そう言って立ち上がったゼウスは、彼女にしては珍しくその顔に微笑をたたえて、手をワキワキとさせてにじり寄ってきた。


───あれっ、おかしいな。ゼウスがただのエロ親父にしか見えなくなってきたぞ?



「最近、ギンくん、モテすぎ。そろそろ唾、つけとく」


「いやちょっと待てゼウスちゃん? 唾つけるってどういうこと? 物理的な意味か比喩的な意味か......、どっちにしても嫌な予感しかしないんですけど」


「大丈夫、脱がせる......だけ」



彼女はそう言うと、「問答無用」と言って僕の方へと襲いかかってきた。



───何故だろう、昔と比べて動体視力は上がっているはずなのに、それでもその時の彼女の動きは前に見た時よりもはるかに早く、少なくともいつものグレイスよりかは早かったように思える。



まぁ、そんな残像がうっすらと見えたところで、所詮弱体化した僕にどうすることも出来ず、




アァァァァァァ────ッッ!?



───そんな叫び声が、学園中に木霊した。




☆☆☆




「酷い......、もうお婿に行けない」


「大丈夫、その時は、私がもらう」



学園長室。


そこには床に崩れ去る半裸の男と、それを両手で目を覆い隠しているように見せかけてチラチラと窺ってくる白髪二人、そして何やら空中にあらわれたキーボードをカチカチとやっているパツキン幼女が居座っていた───というか、僕らだった。



あの後、下はなんとか死守したが上を脱がされた僕は、色々と身体中をまさぐら───否、調査され、そして今ゼウスがそれについて詳しく調査しているという経緯を辿った。



───のだが、



「冗談はさておき、ゼウスって確か全知全能なんだろ? 僕の今の状態......が良いのか悪いのかは分からないけど、それくらいぱぱっと分かっちゃったりしないのか?」



僕がワイシャツを着ながらそう口にすると、ゼウスはやはりその質問が来ることを前々から知っていたのか、考える素振りもなく答えを教えてくれた。



「私が知ってるのは、実際にこの世界で起こりうる、未来の可能性と......、その事象だけ。ギンくんが死ぬ可能性、何%。それがいつ、どんな方法で死ぬか、誰に殺されるか、とか。ギンくんの貞操、いつ誰に奪われるか、とか。詳しく調べるのは、手間、必要」


「ようし、もう僕の死期とか今の状態とかどうでもいいから、とりあえずその未来について詳しく調べてくれ!」



───ついでに後ろで目を光り輝かせている独身二匹の婚期も教えていただけやしませんか?



と、そんなことを考えたのがいけなかったのだろう。




「死神とグレイス、結婚確率、5%(・・)




───それは、死刑勧告にも似た残酷な現実。


その言葉を境に僕らの間には痛いほどの静寂が横たわり、ゼウスのキーボードを打つカタカタという音だけが響いていた。



だが、その静寂が長く続くことは無かった。



「おいグレイス、聞いたかよ!? 婚期なんて一生現れねぇと思ってた俺様たちにも可能性が残ってたみたいだぜ!」


「そうだのぅ! ワシも最早結婚するということは心の片隅では諦めておったのだが、どうやらワシらにもまだツキは残っていたようだの!」



───何故だろう、二人の言葉を聞いて泣きそうになった。



5%。たったの5%だ。


それを『たったの5%』と考えるか『5%も』と考えるか。


ガチャの排出率ならばマシな方だが、婚期と考えると普通人は前者を選ぶだろう───だが。残念ながらこの二人の根性と執念は普通ではなかったのだ。



と、そんなことを考えていると、二人は僕の方へと視線を向けて、サムズアップしてこう言ってきた。



「「可能性があるってことは、根性次第で何とかなるってことだ(ぞよ)!!」」



───とてもいい名言なのだが、せめてもうちょっと別な機会まで取っておいて欲しかったなぁ。



と、そんなことを話し合っていると、ゼウスが僕の身体についての可能性をすべて洗い出したらしく、その中で最も現実にあった最適解を見つけ出してきたそうだ。


まだ二人がニマニマと気味の悪い笑みを浮かべているわけだが、無視を決め込んでその診断を聞くためにソファーに腰を下ろした僕は、ゼウスから開口一番でこんなことを言われてしまった。



「ギンくん、それ(・・)、一歩間違えたら死んでたよ」



その言葉に僕は思わず冷や汗を流し、思わず左手を首筋へと回してしまった。


右頬から右の首筋にかけて───正確にはその下の胸の部分にまで侵食した、赤い回路の跡(・・・・・・)


今はもう既に輝きを失い、よく見なければわからない程度の火傷跡のようになっているが、それでもやはり身体の違和感は否めない。



───そして、恐らくゼウスが言っているのはこの回路に関係することなのだろう。



そう思って僕は彼女にその続きを促すが、ゼウスと来たら何やら呆れたような視線を僕に送ってくるばかり。



「何となく、そうじゃないかって思ってた......。けど、流石にそうだったら、間抜けすぎて笑えない。そう思って調べてみた、けど、実際には笑えなかった」



───おやおや、何やらものすごく嫌な予感がしてきたのですが......、これは僕の気のせいでしょうか?



「気のせいじゃない」



......ですよねぇ。分かってました。


ゼウスは僕の心の中での弁解すら破壊し尽くし、その単純にしてこの上なく奇跡に近い僕の今の状態を教えてくれた。




「魔力回路、って言うのは、本来は存在しないもの。人間が想像しやすいように、作ったもの。それをギンくんは、想像するんじゃなく......」



───本当に身体の中に、創造(・・)しちゃったの。




それを聞いて僕は思う。


どうやら僕は、真性の間抜けのようだ───と。




☆☆☆




ゼウス曰く、これは技能でもなくスキルでもなく、称号や種族、はたまたそれ以外のなにものでもなく、単純に『所有物』として考えていいとのことだった。


───そしてもう一つ。


僕が今回間違って創造したこの回路というのは、普通は埋め込もうと思っても生物としての器が完全に壊れ、めちゃくちゃになった後に死に至るだけなのだとか。

それこそ世界神や最高神、上級神まで、上位に位置する神々が全員集まってやっと一つの体に完全に馴染ませることが出来るほど難易度が高いらしい。


───まぁ、それを一発で、それも一人で、しかも無意識に行っちゃった今日の僕はかなりどころか、化物レベルで運が良かったのだろうし、僕の身体を検査した結果、ゼウスがあんな呆れ顔をするのも頷けた。



なにせ、この通りである。



僕はグレイスと死神ちゃんが見守る中、純水が並々と入っている水桶の中へと手を入れ、



───その直後、全く秒数を開けずにその水が真っ赤に染まった。



「「.........はっ?」」



それには最高神と同クラスの力を持つ二人も完全に目を見開いて固まっており、目の前にある魔力飽和水をじぃっと見つめている。



だが、それだけではないのがこのチートな肉体である。



僕は原始魔法によってかなり鋭さを良くした長剣を創り出すと、右手───ヌァザの神腕でその柄を握り込み、全力で僕の左腕へと振り下ろした




───のだが、




ガキィンッ!!



そんなことが聞こえて、その刃物が触れた僕の肌に少し赤い跡がついているのが見えた。


そして、半ばから折れたその長剣と、床に転がるその先端部。



「「.........はっ?」」



その光景に、再び固まるグレイスと死神ちゃん。



僕のこの身体中に本物の魔力回路が行き渡っている状態は、それは細胞の一つ一つが僕の膨大で純度の高い魔力によって強化されているということでもある。筋力も、耐久力も、それ以外の肉体に関する全てのステータスも、だ。


そのため魔力回路さえ発動すれば、魔力の扱いも体の強化もこの程度は余裕だし、それにまだまだ慣れていないためこの先まだまだスペックは向上すると考えていいだろう。



───まぁ、まだオンとオフの使い分けは難しいが、最終的には月光眼のように常にある程度の水準は保ったまま生活するのが目標だ。



と、そう考えてすこし苦笑いすると、僕は固まって二人に向けた訳では無いが、一言こう、呟いた。



「馬鹿げてるほどの鋼の肉体に、しかも不老不死。それでいて魔力操作のスキルは完璧ときた。......なにこれ、もしかしてチートですか?」



然して二人は虚ろな瞳をしたまま、期せずして同じ言葉で答えてくれた。



「「......まぁ、チートだな」」と。



とまぁ、そんなこんなで。


その日を境に僕のステータスは少し変わってしまい、グレイスとの修行方法も変わってしまうこととなった。




───まぁ、きっとこういう時こそ『論より証拠』だろう。



というわけで、これが今の、最新のステータスである。





名前 ギン=クラッシュベル (20)

種族 吸血鬼族(始祖純血種)

Lv. 999

HP 25,280,000

MP 67,300,000

STR 30,120,000

VIT 29,210,000

DEX 35,800,000

INT 61,800,000

MND 45,800,000

AGI 38,630,000

LUK 999


ユニーク

影神Lv.1

開闢Lv.1

月光眼Lv.2 ↑+1

原始魔法Lv.3 ↑+1

スキル統合

純血始祖

絶歩Lv.1

近接戦闘の極意Lv.3


アクティブ

ブレスLv.4 (共有) ↑+1

テイムLv.8

念話Lv.6 ↑+2


パッシブ

暗殺術Lv.5

料理Lv.7

並列思考Lv.8

魔力操作Lv.9 ↑+3

超直感Lv.7

存在耐性Lv.8 ↑+1


称号

迷い人 常識の忘れ者 (new) SSランク冒険者『執行者』『冥王』神王の加護 全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 世界竜の友 トリックスター 救世主 ロリコン 竜殺し 原初の理 月の眼


従魔

白金神竜プラチナムドラゴン

ゴッドオブ・ナイトメア

ブラッドギア・ライオネル

フェンリル

バハムート

ペガサス


眷属

オリビア・フォン・エルメス

マックス

アイギス





どうやら僕は───常識に忘れていかれたようである。



常識さんもギンのことはお手上げらしいですね。

個人的には炎十字の第三形態と第四形態、ブラッディウェポンの新形態と魂の覚醒、常闇の習熟等々。それに加えて幾つかの新スキルと神祖への進化を含めて『ギン=クラッシュベル』の最終形態とする予定ですね。何このチート、って感じです。

まぁ、詳しく言えば少し違うのですが、それはクライマックスまでのお楽しみ、ということで。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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