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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第226話

覚えているかは分かりませんが、懐かしい変態が出てきます。

「きりーつ! きおつけー、れいっ!」


「「「「よろしくおねがいします!」」」」



その妙に舌っ足らずなセリフに混じって大人の声が聞こえ、その声が僕のものだと気づくのにやはり時間は必要としなかった。


小さな椅子と机に窮屈な思いをしながらも視線を横へと向けると、そこには見覚えのあるパイナポーヘッドが座っており、その水色のヘタをぴょんぴょんさせながらニマニマと楽しそうに笑っていた。


ぐるりと周囲を見渡せば、チラチラとこちらを窺ってくるロリっ子ショタっ子たちが視界に入り、なるほどここは僕にとっての楽園だなと再確認した。まぁ、ショタっ子は要らんが。



───のはいいのだが、その教卓に立っているその実年齢BBAの見た目お姉さんを見て、僕はこうも思うわけだ。




「......何故こうなった」と。




☆☆☆




───詳しく語るため、少し時を遡るしよう。



これは、僕が退院してから数日経ったある日のことである。


思いっきり霊器に頭蓋を貫かれたとはいっても、それでも僕は不死身の吸血鬼。

そのため脳に傷を受けて気絶してしまったものの傷自体は時間をかけることなく快復し、後はけっこうダメージを受けていたスメラギさんの退院を待つばかりだ。



だがしかし、悶々と暇な入院生活を送っているであろうスメラギさんには悪いが、今現在学校はかなりの盛り上がりを見せていた。



「なぁ! 出し物何にするか考えたか?」


「いんや? お前はなんか決めてんのか?」


「メイド喫茶だぜ!!」


「「......アストランド」」



クラス内カーストトップのディーングループを見ていると、男子三人がそんな感じの会話をしており、隣でそれを見ているエリザベスとネイルが呆れたような顔を、アンナさんは何故かぐ腐腐腐っと笑っている───ほんっとあの人一貫してるよな、ある意味尊敬するわ。ついでに白髪褐色も。



───時期は六月の中旬。


そして七月に待つのは学校の最大行事と言っても差し支えない、かの『学園祭』である。


正直言ってボッチにとっては『あれ、僕ってなんか仕事ある?』という一言さえ聞けず、結局は何も準備を手伝えずに、然して当日すらボッチで過ごすことになる最悪の行事だが、生憎とこのクラスには僕の味方だって居ることには居るのだ。



「あるじー? あれ何やってるのだー?」



僕の前の空席───誰が座ってたかは記憶にない。きっといつの間にか消えた貴族だろう───の席に座ってこちらに話しかけてきた藍月は、今日も今日とてガヤガヤとうるさい廊下の方を指さしてそう言った。



「ん? 何かあるのか?」



僕はそう言おうとして廊下へと視線を向け───本来ならばここに居るはずのないその女性を見て、固まった。



───その人は、かつて僕が『苦手』と評したある魔導師で。




「ギンくぅーーんっ!! もういつまで経っても私の魔導工房に来てくれないから会いに来ちゃったわよーーんっ!!」




エルメス王国、筆頭宮廷魔導師。マグナ・スプリット。



───やはり僕は、彼女のことがこの上なく苦手である。




☆☆☆




放課後、学園長室にて。



「おいグレイス、何故こんなにも理性の蒸発したキチガイを寄越した? お陰で僕の変な噂がまたひとつ増えちゃったぞ」



学園長室のソファーに腰を下ろしている僕は、グレイプニルによって天井から吊り下げられているマグナさんを見て固まっているグレイスへと、そう話しかけた。



「はぁ、はぁ、いやん、もうっ、ギン君ったらお姉さんの身体にそんなに意地悪して......んもぅっ、い・け...ぶふっ!?」



瞬間、期せずして僕はエアハンマーを全力で発射し、マグナさんの腹部に思いっきりぶち込んだ。


───おーっと、悪い悪い。思いっきり手が滑った。


と、そんなことを考えてはいた僕ではあったが、残念ながら変態(クレイジー)不滅(イモータル)




「はぁ、はぁっ、い、イイッ! 今のよくわからない攻撃、最っっ高にイイわッ! まるで大きなハンマーに思いっきり腹部を殴りつけられたような衝撃、そしてこの痛みッッ!! んもぅ! 貴方は何でそう魅力的なのかしら!? はぁ、はぁ......、そ、そうだわっ! ねぇギン君! 私の身体を隅々まで研究させてあげるから、その代わりに貴方のか...」




僕は聞くに耐えないその雑音の原因を影の膜で覆い隠すと、完全に音声を遮断した上でグレイスへと再びこう告げた。




「おい、なんでこんな変態を連れてきた?」




瞬間、僕の言葉にとても悲しそうな顔をしたグレイスは、顔を伏せてぽつりぽつりと話し始めた。



「じ、実はのぅ......、お前が最近魔力操作スキルに伸び悩んでると聞いたエルグリットの奴が『んじゃあ、俺の国で一番魔力操作が上手いヤツを紹介してやるよ』と言って送ってきおってな......。奴のことだからまともな奴を送ってくるとは思っておったのだが......」


「わかった、つまりは悪いのはこの変態ってわけだな?」


「ふむ、その通りぞよ」



そうして全責任を彼女───きっと今、あの中で影の膜に興奮しまくっているあの変態へと押し付けた僕らは、期せずして同時にため息をついた。



いや、確かに僕は今魔力操作のスキルの伸びに関して悩んでいた。


───まぁ、論より証拠。


とりあえず、今の僕のステータスを見てもらおう。



「『ステータス』」




名前 ギン=クラッシュベル (20)

種族 吸血鬼族(始祖純血種)

Lv. 999

HP 23,280,000

MP 67,300,000

STR 20,120,000

VIT 19,210,000

DEX 27,800,000

INT 61,800,000

MND 45,800,000

AGI 30,630,000

LUK 999


ユニーク

影神Lv.1

開闢Lv.1

月光眼Lv.1

原始魔法Lv.2 ↑+1

スキル統合

純血始祖

絶歩Lv.1 (new)

近接戦闘の極意Lv.3 ↑+1


アクティブ

ブレスLv.4 (共有) ↑+1

テイムLv.8

念話Lv.6 ↑+2


パッシブ

暗殺術Lv.5 ↑+2

料理Lv.7 ↑+1

並列思考Lv.8

魔力操作Lv.6

超直感Lv.7 ↑+1

存在耐性Lv.7 ↑+1


称号

迷い人 理外の異端児 SSランク冒険者『執行者』『冥王』神王の加護 全能神の寵愛 狡知神の加護 創造神の加護 死神の加護 魔導神の加護 世界竜の友 名も無き才能 トリックスター 救世主 ロリコン 竜殺し 原初の理 月の眼


従魔

白金神竜プラチナムドラゴン

ゴッドオブ・ナイトメア

ブラッドギア・ライオネル

フェンリル

バハムート

ペガサス


眷属

オリビア・フォン・エルメス

マックス

アイギス




やはりこうしてみて見ると、原始魔法のスキルレベルが上がったことや、絶歩スキルの入手、そして称号欄に未だ健在する不名誉な称号なんかも目に付くとは思う。


───だが、今回見て欲しいのは魔力操作のスキルである。



「ふむ......、やはりスキルレベルは上がらぬままかのぅ」



いつの間にかソファーの後ろへと回り込んでいたグレイスを傍目に、僕はため息一つでウィンドウを消すと、未だ影の膜に閉じ込められているあの変態を思い浮かべて、やはりもう一度ため息を吐いた。



「これ、ため息つくと幸せが逃げるんぞよ?」


「知ってたかババア、最近じゃため息ついた方が精神的にはいいらしいぞ?」



そんな軽口を叩き合いながらも───僕はその変態に、僅かな希望を託してみることにした。




☆☆☆




そうして時系列は現在へと戻る。



あの後解放したマグナさん曰く、


「貴方には魔法や魔力といった基本的な知識が欠如してるわ! だから明日行う予定の小等部の特別授業に参加してご覧なさい!」


と、涎を垂らしながら言ってきたため、僕は一発ぶん殴ってからこうして大人しく従っているわけだ。


───いやはや、女性を殴るのに容赦も躊躇いもなくなってきた僕は男と名乗っていいのでしょうか? まぁ、あの変態共を『女性』の称していいのはか甚だ疑問だが。



というわけで、今現在僕はその授業を受けているのだが。



「まずは初歩の初歩からね! まず、魔法というのは自らの身体の中に溢れている『魔力』を使って世界に介入し、特定の現象を引き起こす技術のことよ。場所によっては『神様に願いを捧げて奇跡を起こす』何ていう考え方もあるらしいけれどね」



それを、結構真面目に聞く小学生たち&僕。



「身体の中の魔力は人によって個人差はあるけれど、それでも使えばなくなる、って言うことだけは変わらない。だからこそ人は体の外───つまりは空気中に漂う魔力を自分の身体の中に取り入れ、そして自分が自在に使えるように質を変形させねばならないわけよ。効率よく魔力回復を図りたい場合は『休息』や『睡眠』などという手段を用いているわね」



ふむふむ、なるほど───と、そこまで真面目に授業を受けて、僕はひとつの疑問に行き当たった。



───この人.....一体どこの誰だ?


という疑問に、な。


僕らの前に立っているのは紛うことなきマグナ・スプリットさんなのだけれど、僕の知っている彼女は常に涎を垂らしながら生きている変態だ。間違ってもこんなに真面目に授業をしてくれるお姉さんではない。


まさかとは思うけど......、いつもはこんな感じで猫かぶっていて、普通の人はコイツの本性を知らない、って訳じゃあないよな......?



と、そんなことを考えながらも真面目に授業を受けていると、マグナさんが口にした言葉に、聞きなれない単語があることに気がついた。



「それじゃあ実際に試してみましょうか! 今回試すのは簡単な魔力循環の再確認ね? それでは皆、身体中の魔力回路のどこをどんな風に魔力が流れているか、探ってみてちょうだい」



───魔力回路? 魔力循環?



僕はその言葉に頭にはてなマークを浮かべてしまったが、隣のアメリアやその他の生徒達を見ると、みんな揃って目を瞑り、何か意識を集中させているようだ。


前提として、僕の魔法に関する技術や使い方なんかは、幼少期に混沌にやられた時になくした記憶と一緒に消え去っている。そのため、恐らくは本来の僕は知っていたのであろうその知識や単語に聞き覚えはなく、正直魔力回路と言われてもパッと来ないのだ。



───まぁ、それでも小学生の集中を途切れさせてまで今聞こうとは思わないけど。



僕はそう考えると、自分なりに魔力回路というのを想像してみる。


まず、指の先から頭の先まで、細かく───それこそ普段は想像しないような、神経レベルで細かい回路を想像する。


けれども細すぎると魔力が送れないだろうから、体の所要部分に大きな回路を数本、そしてその各場所から分かれるように、視認すら難しいレベルの魔力回路を考えた。



───そしてその回路に流し込むは、真っ赤な魔力。



ドクンッ!


瞬間、僕の体中を熱くて真っ赤な魔力が走り抜ける感覚がして、僕はその初めての感覚に驚愕し、思わず目を見開いた。




「はぁ、はぁ......、な、なんだ、今の......」




僕は、先ほどの感覚を思い出す。


身体強化のスキルにも少し似ていたような気もしたが、それでも僕の知るそれとは明らかに違う、あの状態。


今は少し怖くなって解除しているが、それでもまだ先ほどの感覚は体が覚えている。



───もう一度、試してみるか......?



僕はそう考え、もう一度今作った回路に魔力を流そうとして......、





「あ、貴方......、一体何をやったの?」





全員の視線が、僕に集中していることに気がついた。



あー、今度は何やらかしたんですかね、ギンくん。

というわけで次回! ギンの新たなるチート化です!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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