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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第221話

ギンVSメザマです!

『さぁ、序列戦の本番はここから! ニアーズやそれに準ずる者達が決まる戦いだァァァ!! っおーっと! 何やら執行者さんが思いっきりメンチを切っていますがどうしたのでしょうか?』


『あの対戦相手が馬鹿なことにあやつに喧嘩を売りおったのぞよ。ワシでも本気の奴とは戦いとうないというのに......。全く、度胸があるというか、単なる馬鹿というか』


『あはははっ、それ完全に後者ですね! 馬鹿丸出しじゃないですか!』



おーっと、今日も今日とて司会さんの毒舌は活発ですね。満面の笑顔で心に突き刺さるようなことを口にしてくるから、油断してると後ろからざっくりやられそうだ。


そんなことを思っていると、先程僕が言った言葉を聞いてぽかんとしていた天動説野郎は、今頃になって言われた言葉の意味を理解したのか、顔を真っ赤にして憤慨していた。



「やはりお前は悪だ! 俺のことを悪く言う奴など一秒とて生かしておくものかッッ!!」



言った途端、腕輪を剣の形状をした霊器へと変換させ、試合開始の合図も待たずに切りかかってくるメザマ。


───はぁ、なんで僕はこいつのことを『正義感が強い』などと思ってしまったのだろうか。この上なく自己中の天動説野郎じゃねぇか。



「おいおい、そう急くなよ」



僕は位置変換で奴の後方へと回り込むと、呆れ混じりにそう呟いた。


僕のいきなりの消失と出現に目を見開くメザマと、メザマがいきなり切りかかったことに対して目を見開いている生徒達。


───うち数名、絶対零度よりも冷たい視線でメザマを見ている者もいるが、大体は予想の範囲内と言っても差し支えないだろう。



僕は司会席の方へと視線を向けて『早く始めろ』と目で意思を伝えると、何故か少しだけビクッとした司会さんが、震える声で試合開始の幕を切って落とした。




『そ、そそ、それではっ! し、試合開始ですっ!!』




───さぁ、お仕事の時間だ。




☆☆☆




試合が始まって僕が最初にしたことと言えば、『にっこりと微笑む』ということだった。


誰もが試合とは正反対の空気を纏う僕に一瞬注意を引かれ、意識を割き、集中を一瞬だけ絶ち、



───次の瞬間に、メザマの目の前に現れていた僕に、目を見開いた。



「ハァッッ!!」



ダンッッ!! と。


腰、肩、腕、手首とスムーズに力を移した僕の掌底はメザマのがら空きになっていた胴へと吸い込まれ、一寸の狂いもなく鳩尾の、さらにその中心へとクリーンヒットした。


───絶歩からの、鳩尾への掌底。


ひとまずこうしてしまえば大体の相手は呼吸困難になり、すぐに決着がつくのだが。



「テェイャァッ!!」



僕は、まるで何も無かったかのように僕へと剣を振るってきたメザマの側から立ち退くと、少し警戒するためにもさらにその場から数メートル後ろへと飛び退った───掛け声きっも。


僕の視線の先には、鳩尾にヌァザの神腕で攻撃をくらったにも関わらず、まるでかつてのウイラム君のように痛みを感じていない様子のメザマの姿があった。


......否、ウイラム君のように混沌による痛覚麻痺とは違う。別に痛みを感じていない訳では無いのだ。単に、僕の与えていたはずのダメージがまるで半減したような、



───まるで、誰かに痛みのうち殆どを移し替えているような、そんな違和感があった。



「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」


「なっ!?」



瞬間、僕のその考えと同時に聞こえた女子生徒の叫び声に振り返ると、僕の視線の先には叫び声を上げて目を見開いている女生徒と、その横に鳩尾を押さえて失神している一人の男子生徒の姿があった。


───その映像と、僕が先ほど考え至ったとある考え。


それらを総合して考えれば僕が考え到れる答えなど一つしかない。



「ま、まさか......、痛みを他人に移し替える能力かッ!」



スキル───もしくは魔導具の類かもしれない。

けれど、この馬鹿が何かをやらかしていることには変わりないだろう。


然して僕の怒りに満ちた声を聞いたメザマは、顔に嘲笑を浮かべて僕へと向かってペラペラと喋り出した。



「ハッ! 俺の能力は『痛覚転置』! 周囲のものにランダムで痛みを転置する能力だ! つまりは俺は、どれだけ攻撃を受けたところで傷一つできるこたァねぇんだよ!」



痛覚転置。


なるほど今コイツがダメージを受けていない理由も付くし、コイツがここまで自信満々で、尚且つスメラギさんが『勝つのは難しい』と言ったわけだ。



───僕はそれらを含めた上で、頭上へと左手を挙げた。



『な、なんだぁぁッ!? 執行者さんが頭上に手を挙げたぞ!? も、もしや降参かぁぁッ!?』



司会さんからは驚きに満ち溢れた声、降参と聞いて会場中からはブーイングが、そして目の前の馬鹿からは、勝利を確信した嘲笑が。



───はぁ、僕がこんな雑魚相手に降参なんかするわけないだろうが。




「『不逃の牢獄(デスゲーム)』」



瞬間、僕らの周囲をぐるりと囲うように黒色透明な壁が展開され、最後に天井が閉ざされ、完全な密室が出来上がった。


外から届く音も光も薄くなり、完全に外界からは遮断された。



「な、なんだこれはッ!? クソッ、クソがっ!!」



薄暗い牢獄の中、その壁に向かって必死に霊器を使って攻撃しているメザマではあったが、パチモンの霊器如きで傷がつけられるはずもない。




「残念ながら、僕の仲間(・・・・)はお前に負けるほどやわじゃない」




───僕はそのセリフとともに思い出す。



アイギスから昔の話を聞いた際、誰よりも怒りに震え、正義を燃やしていた男がいることを。


かつて正義の体現者として君臨していた神のそばに居続け、全てを守る盾として仕えていたにも関わらず、結局主の心を守れなかった、正真正銘、正義の味方がいることを。


いつも影から僕を支え、けれども、僕をいつもしっかりと守り───ここまで導いてくれた、仲間がいることを。



『ハッ、コイツがここまで怒ってるなんざ、珍しいこともあったもんだな、おい』



頭の中にクロエの声が響き渡り、僕もその言葉に同意して少しだけ顔に笑みを浮かべた。




「悪いな常闇。今の僕じゃ完全体(・・・)は無理そうだ」




然して僕は、無機質な右腕で左手首をがっしりと掴み、左腕をまっすぐ前へと向けて───こう唱えた。




「『具現化』黒蛇召喚」




瞬間、僕の周囲から膨大な魔力と威圧感が吹き出し、本来形が無いはずのそれらが、一様にとある形を形成してゆく。




『此度は、私の我儘を聞いて下さり、誠にありがとうございます。しばしの間守りは手薄になってしまいますが、どうか御容赦を』




いつか聞いた懐かしい声が響いて、やはり僕は笑みを浮かべてしまう。


───ったく、どんだけ頼もしいんだよこの真っ黒クロスケちゃんは。




黒蛇。


僕の周囲にはとぐろを巻く大きな黒蛇が召喚されており、その赤い瞳はしかと標的の方へと向かっていた。



だからこそ、僕はこいつの意見を尊重して、こう命令しようかと思う。





「常闇。殺さない程度に───咬み殺せ」





───最早、その後の展開は僕が手を加えるまでもなかった、とだけ言っておこうかと思う。




☆☆☆




『な、なな、何が起こったかはわかりませんが、と、とりあえず担架ァーーッ!! 対戦相手が顔色悪くして痙攣してるんですけどッ!?』



虚ろな目をして担架によって運ばれてゆくメザマを傍目に、僕は悠々と客席へと戻って来た。



あの後、痛みが無い=傷つかない=無敵、と勘違いしていた馬鹿なメザマは常闇によって締め付けられ、頭から噛みつかれ、毒を回され、そして恐怖によって完全に心を壊されて、そしてあのザマに至った───まぁ、他の奴らも勘違いしてたからこそ、あんな雑魚を『強い』と勘違いしていたのだろうが。


───ちなみにメザマが常闇にやられている間は、僕がヌァザの神腕を使って常に奴の足を掴んでいた。


そのため、『能力封印』と『不逃の牢獄』の同時使用によって万が一にも外に奴の能力が影響を及ぼすことは無かった。もちろん僕らにも、だが。



くるりと周囲を見渡せば、普通は力に怯え怖がるところが、何故か僕の能力を解明しようとメモしてる狂人(ファン)どもと、何故かキラキラとした視線を向けてくるオリビア───やめてっ、今の試合僕なんにもしてないんだからっ!



「至極その通りだな。お前、恋人......って言っていいのかは知らねぇが、アイギスとやらの為に戦ってたんだろうが。他人に勝負つけさせてよかったのか?」



たまたま近くに座っていた死神ちゃんが僕の心を読んでそんなことを聞いてくるが、それについては僕の中で既に答えの出た問であった。


僕はため息を吐くと、死神ちゃんの方へとジトっとした目を向けて、こう言った。



「恋人のために必死になって戦うのは主人公のすることだ。僕は主人公じゃないし、ましてやそんな世間一般での正しさなんて欲しくもない。だから僕はアイギスと一緒に居れる最善の方法を選んだ」



───それになにより、僕とあいつの勝負は、あいつが彼女のためにステージに上がらなかった時点で決していたのだ。資格のない奴と戦ってやる義理もない。



僕は返答をそれだけに留めたが、十分に僕の性格を知ってる死神ちゃんにとっては納得できる答えだろう。アイギスからしたら『私のために戦ってくれなかったギンかっこ悪い』となってるかもしれないが......、うん、その時は大人しく首を吊ろう。セーブしたところまで巻き戻るんだ。



「馬鹿野郎、お前の人生はオートセーブ制だから死んだところでその場で蘇んのがオチだ」



───うわぉ、噂の死に戻りとかいうやつは体験できないということですね。


ってことはなんだ、アイギスに嫌われてたら引きこもるか記憶を失うまで頭を打ち付ける以外の選択肢は無いってことか。なんてこったい。



そんなことを考えて頭を抱えていると、隣にちょこんと座っていたオリビアと、そのさらに隣に座ってたマックスがお互いに顔を見合わせてクスクスと笑っていた。



「なに、お前らデキてんの? 僕に内緒で略奪愛ですかマックス君、そんなに殺されたいのか?」


「俺、こんな幼女体型に興味ねぇんだけど」


「よ、幼女っ、体型ですっっ!?」



そんな冗談にしては思わず殺気が漏れてしまう軽口を叩きあって、暗に『どういう事だ』と問いかけると、マックスは妙に様になった様子で僕の懐を指さしてきた。



「お前がどんな奴かは俺らはもうとっくに知ってんだ。面倒なことを嫌い、優しくもなく、かと言って残虐でも冷酷でもなく、それでいて殺しを躊躇う甘ちゃんだ。そういうの全部含めて俺らはお前についてきてんだ。もしもそれでも不安なら確認しとけよ」



マックスはそれだけ言うと「あ、次俺の試合じゃねぇか」とわざとらしく呟いて席を立ち、オリビアも同じようにわざとらしく席を立った───なんだよ、珍しくカッコいいじゃないか。


......にしても、コイツらとは半年以上一緒にいるんだもんな。


不思議とそう考えると、僕の心の中からは不安が少しずつ霧散してゆき、マックスが指さした先───僕のスマホに届いていた一通のメールを読んで、僕は嬉しくなって頬を緩めてしまった。






《アイギス》


Sub ありがとうございます。


試合、お疲れ様でした。

もしかしたら気に病んでるかも知れませんが、最高にかっこよかったですよ? とっても嬉しいです。


追伸、私とお付き合いしてもらえませんか?





「一体どこに、追伸で告ってくる女がいるんだよ」



まぁ、アイギスが聞けば『ここに居るじゃないですか』とでも返してきそうだが、今は僕が返事を返す方が先であろう。


僕は片手でポチポチっと五文字打ち込んで、念入りに確認してから送り返してやった。




「こちらこそ、よろしく頼むよアイギス」




そんなこんなで奇妙なことに、序列戦の真っ最中に彼女が出来ました。



やっとアイギスとの交際です。

ギンって付き合ってもなんの変化もないんですよねぇ......、もう少しデレればいいのに。

※不逃の牢獄は、外と内を完全に隔離する常闇のスキルですね。普通にヌァザの神腕を使えばメザマのスキルは封印できたでしょうが、万が一ということもあり、使ったのでしょう。


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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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