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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第220話

序列戦です。

すこし懐かしい人が出てきます。

『はい! 数ヶ月ぶりにやってまいりました序列戦です!』



瞬間、大歓声が訓練場に響き渡った。


だが......、何でしょうか、このデジャヴ。


ものすごく件の武闘会を思い出すのだが......、まぁ、違うところといえばステージの広さが小さめなことだろう。まぁ、それでも十分に大きいのだが。



───だが、僕はそれよりも気になることがあった。



『五、六年生にとっては久しぶりの序列戦! 四年生にとっては初めての序列戦です! 解説はお馴染み、グランズ帝国での武闘会の司会をも務めた私こと、俗に言う"司会さん"と......』


『にははははっ! これまた司会でお馴染みワシこと学園長グレイスぞよっ!!』



───そう、グレイスはどうでもいいけど司会さん、お久しぶりですね。


僕の視線の先には、かつて帝国の地で見た司会のお姉さんがスクリーンに映し出されており、あの時と同じような感じで実況席に座っている。


あの人、なんでこんな所にいるんだろうか。

それに何より、帝国の王族と顔見知りで、さらに王国の王様とも顔見知りで。はたまたグレイスとも顔見知りって、とりあえず誰かを紹介して欲しい時は、あの人に仲介してもらえば解決するのではないだろうか?



と、そんなことを思っていたのもつかの間。



「そーれではっ! これより今年度第一回の序列戦を開始します!!」



その言葉と共に上空で弾けた花火が、僕らのデビュー戦の幕を切って落とした。




☆☆☆




「ぶべはぁっ!?」



ヌァザの神腕に殴られて、僕の対戦相手が一メートルほど吹き飛んでゆく。


───まぁ、ヌァザの神腕で殴ったとはいえ今の身体能力じゃこんなものかな。



『一発、ケーッ、オーッッ!!! 私も件のスマホ掲示板に挙げられている動画は見させてもらいましたが、何やらキレというかなんというか、全体的に強くなってる感じがしますね!』


『そうさのぅ。当初は本当に雑魚かったのだが、入学してから数ヶ月、毎日毎日キッツーい修行をこなしておるから今では見間違える程になったのぅ』


『なるほど! 身体能力が低いからと言って執行者を見下して胡座かいている人達ほどすぐ抜かされてゆくという事ですね!』



今の攻防───と言っても殴りかかってきたところをカウンターで合わせただけなのだが───を見て何が分かったのか逆に聞いてみたいが、それよりも僕の試合だけじゃなくほかの試合もきちんと解説してやれよ。



とまぁ、そんなこんなで今現在、僕は序列戦に参加していた。



元来、序列戦は一対一の戦闘を個別個別にステージを分けて行っており、まぁ、剣道や柔道の大会予選のような感じだと思ってくれればいい。


参加可能な人数は総勢360名。


うち一回戦で敗退する180名はCランクとして、二回戦敗退の90名はBランク、三回戦で敗退する45名がAランクとして認定され、そこまで残った総勢45名が順位を争って鎬を削るというわけだ。


───まぁ、全員にわざわざ序列なんてつけてたらかなり面倒くさいことになるだろうし、まぁ妥当な形式ではないかと思う。


ちなみに今僕が倒したのは二回戦の相手である。一回戦の相手との戦いは言わずもがな、今のとおなじく一発ケーオーだ───女子だったため顔面は狙わなかったが。



そんなこんなで僕はステージを後にし、出場生徒専用の座席の方へと足を向けた。



───だがしかし、前へ前へと進む足とは裏腹に、僕の視線は今現在進行形で戦っている、とある男子生徒の方へと向かっていた。



その生徒は僕のよく知る王族で、水色の髪をたなびかせて顔には薄らとした笑みを浮かべており、僕が普段話したりしている第一王子とは比べ物にならないほどの威圧感を感じられた。




「エルメス王国第一王子......ギルバート」




彼が右手をかざせば、たちまち目前の魔法は消え去り、剣はその威力を失う。


逆に左手をかざせば、先程消えたはずの魔法や斬撃が相手へと次々と振り返る。



───あの野郎、ぼくの前ではわざと弱いふりしてやがったな?



然して、僕はかなりテンションの上がった司会さんの声を聞いて、やはりこう思わずにはいられない。




『圧勝ッッ!! 魔法学園都市───いや、この大陸が誇る最強の能力、"強奪と贈物(ギブアンドテイク)"の持ち主! 序列一位(・・・・)、ギルバート・フォン・エルメス様だァァァァ!!!』



───王族が馬鹿げてるほどに強いのに、護衛の意味、あったのだろうか、と。




☆☆☆




今現在、ステージ上へと上がらされている僕達、総勢45名。


まぁ、僕やオリビア、マックスが敗れることは無く、かと言ってギルバートが負けることも無く、何だかんだで黒髪の時代達も残り、数十分後には序列付けされる者達が揃うこととなった。



───のだが。



「ねぇ、あのうんこ野郎がめちゃくちゃこっちみてくるんですけど。何アイツ、あっち系なの?」


「あっち系!? あっち系ってどっち系かなギン君!?」



あぁ、うるさいうるさい。なんでアンナさんが生き延びてんだ。とっとと腐り果てて落ちちまえ。


僕の周囲には、呆れた様子のオリビアとマックス、そして何気なく僕の後ろにのそっと現れたアンナさん。そして僕の方をじいっと見つめてくるうんこ野郎───メザマの姿があった。うち二名はとっとと落ちてくれてもよかったのだけれど。



───否、他にも数名落ちてくれていた方が良かった者もいるか。



「はっ、どうやらお前らも生き残れたみ...」


「覚悟しろ執行者! あの時の裏切りの代償、この序列戦で付けさせてやるぜ!」


「は、ははは、アストランド、まだそんなこと引きずってたんだな......」



上から順に、クラウド、白髪褐色、そして我らがディーン君である───おいディーン、アストランドって一体誰だ。


けれども、その中に若干一名ほど、いつも生意気にも僕のことを睨んでいるくせに敗北した雑魚がいることを、僕は決して忘れていなかった。



視線を移すは、客席の一番前の席。



そこにいる、ディーンに恋する金髪ツインテールことエリザベス嬢は、悔しげにハンカチを噛み締めてこちらを睨みまくっている───よし、この距離でもわかるくらい大げさに鼻で笑っておこう。


「ムキィィィィッッ!! なんなのよっ! なんなのよアイツ!! 絶対いつかぶっ殺してやるッッ!!」という殺害予告が聞こえた気もしたが、残念ながらまだ僕に死ぬ予定はないものでね。殺したいならその気持ちは来世にでも持ち越しにしてくれ。



と、そんなことを考えていると、僕の後方から足音が聞こえてきて、クラウドの「うげぇ」という嫌そうな声も聞こえてきた。


───まぁ、クラウドが苦手にしてる奴なんて僕は二人しか知らないわけだが。



「おお、ギン様ではありませぬか! やはりここまで残っておいでで、私、大変嬉しく存じております!!」



何だかソワソワした感じの嬉しそーな声を聞いて『あぁ、この人話しかけるタイミング窺ってたんだなぁ』と思いながらも振り返る。


そこには予想通りスメラギさんがソワソワしながら立っていて、これまで三人と戦ったはずなのにも関わらず、傷一つどころか埃一つ服には付いていなかった。


まぁ、流石は序列第四位様と言ったところで、正直序列一位目指すとか言っちゃったけど、今の僕じゃこの人には勝てそうにない。まぁ、それだけ強いということだ。



「こんちは、スメラギさん。見た感じ余裕そうだけど調子はどうだ?」


「先程まで普通でしたが、今ギン様とお話して絶好調になりましたッ! 今なら優勝できそうな気がしますッ!」



───おいおい、優勝とは大きくでたなスメラギさん。



けどまぁ、僕としても今の言葉には少し反論させてもらうとしよう。




「残念だけど、優勝は僕がもらう予定なんでね。お前はせいぜいが二位止まりだよ、オウカ(・・・)



瞬間、先程まで微笑んでいた彼女の表情が、固まった。


僕がスメラギ・オウカのことをスメラギさんと呼ぶ時は普通に話す時───そして、オウカと呼ぶ時は、絶対に譲れない時。


彼女はきっとそれを分かっているのだろうし、今の僕の実力じゃそれが不可能だってことも分かっているはずだ。



───けれども、だからこそ僕は、そう宣言しよう。




「男なら譲れない時がある。勝てないとわかっていても意地でも勝ちたいと思う時がある」




だからこそ、僕は口に出して宣言するのだ。


───決して、自分が折れないように、と。




「だから、僕はお前には負けないよ、オウカ」




然して、僕のその宣言を受けたオウカと言えば。




「か、かか、かっこいい......ッッ!!」



何故か赤くなって、どこかへと逃げていった。



───おい、この微妙な空気、一体どうすりゃいいんだよ。




☆☆☆




僕は今現在、四つに分けられたステージの内一つに、立っていた。



都合上、ここからの試合は『本戦』と呼ばせてもらうことにするが、この本戦からは本格的に順位付けをしてゆくらしい。


順位を明確に決めるためだけに決勝戦も三位決定戦も、最下位決定戦だって行わせるし、ここまで残ってしまえば残りは連戦に続く連戦の地獄が待っているのみ。教諭たちが回復魔法や装備の破損については魔法や魔導具で直してくれるらしいが、残念ながら精神的な疲労まではそうはいかない。


───つまりは、ここから先はどれだけ消耗を抑えながら戦えい、勝ち抜けるか、という心理戦でもあるのだ。



「けどまぁ、僕としては標的と当たりやすくて結構な限りなのだが......」



僕はそう呟いて、一度言葉を切った。



───視線を前方へと向ける。



そこには一人の男子生徒が立っており、その顔に浮かぶのは少しの恐怖と多大な憎悪。そして一欠片の正義感のみ。


最早『正義の味方』や、僕のいうところの『正義マン』なんて呼び方は相応しくないだろう。


傲慢で、全てが思い通りになると思いこみ、邪魔なものは排除し、そして自分の幸せは他人の幸せだと、そう心から確信している。



「一応聞くが、お前はなんでここに来...」


「うるさいぞ、この悪めが。俺の邪魔をする悪は俺がこの手で葬り去ってやる」



はぁ......。どうやら、僕の忠告は聞き入れてはくれなかったようだな。



僕は呆れ混じりにため息をつくと、顔を歪めてこう言った。




───嫌悪に顔を歪め、軽蔑の眼差しでこう言った。





「地獄へ落ちろ、この天動説野郎」




やはり僕はこういう人種との相性が、最悪のようだ。


以上、司会さんの再登場と早速のメザマでした。

ちなみに司会さんは種族不明、名前不明、ステータスも不明という謎の女性です。本編に絡めるつもりはあまりありませんが。

次回! ギンVSメザマ!

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