表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第一章 始まりの物語
25/671

第23話

今回はネタ枠。


オートマタ。


魔石を核とした自動人形であり、使う魔石や、その構造によっては、人間をも遥かに上回る器用さ、戦闘力を誇る、と言われている。


「おいてめぇ! 何無視ってんだ!」


1度起動すると休む必要も無く、何かを補給する必要も一切無い───強いていうならば定期メンテナンスだろうか。

人間よりもはるかに優秀なオートマタは既に世界中に浸透しており、街を見渡せば数体くらいは見当たるだろう。


「おい! 俺っちをみろ! このボディ! 特にこのサラサラヘアーッ! 最高だろぉう!?」


それでも数体だ、というのはこのオートマタがとても高価だから、ということが挙げられ、今現在は値段を下げるための改良が行われているらしい。


「はぁ、はぁ、この髪この体っ! 見てるいるだけで興奮するぜぇ...」


だが、数年前。

この自動人形の中に、人の心を持つものが生まれてしまった。

その自動人形は当時の生活に不満を感じ、自分の主を殺害し、その場から消えたのだという。


「だけどなッ! この身体は俺っちのなんだぜっ!? 自分の身体がこんなに素晴らしいだなんてッ! うひゃぁぁぁっ!!」


そのオートマタはその後もちょくちょく現れて、その度に村をいくつも破壊していったらしい。その時逃げおおせた村人はによると、『おいてめぇら!俺っちの美しい髪を穢すんじゃねぇ! もういいっ! この村潰すっ!』とかいきなり騒ぎ出して、数分後には村が潰れたという。


「って、てめぇ! 俺っちの話聞いてねぇな!?」


それは数年間続き、およそ1年前にピッタリと止まったそうだ。不審に思ったギルドはそのオートマタの捜索に乗り出したが、結局そのオートマタは見つかることもなく。


「いや、ちょっと? そろそろ話聞いてくれてもいいんじゃねぇか? 俺っちも寂しくなってきたんだけど...」


噂によると、魔素を大量に受けて魔物化したオートマタが、自身の核に異常をきたし、そのまま壊れて風化したのではないか、という説が有力だったが、それでも実際のところは謎に包まれたまま......、




───だった。誠に残念なことに過去形である。




僕たちはあの後、残り2つのうち、小さい方の大部屋へと向かうことになった。


今回は白夜に竜化してもらい、僕と恭香はその上に載せてもらった。珍しい事になんのトラブルも無く、僕たちも気分良く大部屋に突入したのだった。



───が、僕の眼前数メートルのところにいるのは、上から下まで真っ白な服の上から更に純白のコートを羽織り、何故か赤い色のマフラーをした人間......のようなオートマタだった。



何だかとってもイタイ奴なんだなぁ、と見た目で分かる上に、何故か男の癖して超ロングヘアーなのだ。もう、見ているだけでこっちがイタくなって来そうな見た目だ。あ、ちなみに髪はピンク色だった。



「よぉ、よぉ! お前らよぉ! 俺っちが話しかけてやってんのに無視とはいい度胸じゃねぇか! ちったあ脳みそ働かせてそのチンケな頭脳で何が重要か考えてみろよぉ?」



───うん、お前を今すぐにでも抹殺することかな?



「うん、うん、わかる! 分かるぞぉっ! やっとお前たちも俺っちの神の髪の素晴らしさがわかったのだろぅっ!?」



何が神の髪だよ、ただの痛々しいピンク色のロングヘアーじゃないか。


勝手に話を進めていくアイツはひとまず置いておくとして、



「なぁ、恭香。アイツのランクって何なんだ?」


『......AAAだよ』



もし恭香の顔が見れたのなら、それはきっと酷い嫌悪感で歪んでいるだろう。


まぁ、それは僕も白夜も同じなのだが。



「強いの?」


『くっ......。うん...さっきの邪竜よりかは』



はっ? めちゃくちゃ強いじゃないか。


僕はびっくりして奴のステータスを鑑定してみた。




種族 オートマタ(魔物化)

Lv. 402

HP 6820

MP 1

STR 5080

VIT 10800

DEX 2400

INT 2

MND 5600

AGI 2800

LUK 1


ユニーク

神の髪Lv.4


アクティブ

闘気Lv.4


パッシブ

体術Lv.4

並列思考Lv.2

自動回復Lv.2


称号

拳聖 ナルシスト 村の天敵




.....コイツはステータス極振りでもしたのかな?



「って、コイツマジでやばいやつなんじゃないか!? 近接戦闘だけならほぼ無敵だろこれ!」


「ふははははっ! やっと俺っちの髪の素晴らしさに......って何の話だ?」



───あぁ、コイツ、まださっきの話してたんだ。


いや、それよりVIT10800とかどうなってんだよ、ドラゴンの時の白夜以上じゃねぇか...攻撃力も人型の白夜以上だし...

もしかしてコイツって今の白夜より強いんじゃ......



「なぁ、白夜。人型のままでこいつに勝てるか?」


「うーむ......。誠に遺憾じゃが、難しいと思うのじゃ」



...白夜でも勝てないって、どうすりゃいいの?

もしかしたらドラゴンの白夜の攻撃も聞かないんじゃないか......?


って、あれ? 待てよ...?

もしかして......。




思いついた事に、思わず悪い笑みを浮かべる僕であった。





☆☆☆




「ん? お前らもしかして、俺っちの敵なのか?」



───やっと気づいたのか? この馬鹿は。


あぁ、何だか会話するのも面倒だな......。



「白夜。僕が合図したらドラゴンに戻って僕を掴んで飛んでくれ。サイズはそんなに大きくなくていいから」


「う、うむっ! 分かったのじゃ!」



何だか嬉しそうな白夜を放置して僕はありったけの魔力を片手に込める。もうそろそろ込めた魔力が15000くらいにはなるかな?



「なっ!? なんだよそりゃァ! 魔力込めすぎじゃぁないのか!? 俺っちを殺す気かよッ!?」



───もちろん殺す気だよ。



「だけど、まぁ、安心してくれ。これは攻撃用魔法じゃないからさ」



そう。これは攻撃用魔法ではない。

まぁ、普通の相手ならば、って言う条件は着くけどね。

さぁ、15000の超魔力を使った魔法の正体とは何でしょう?




───正解は......





「『ウォーター』ッッッ!!」



瞬間、僕の掌から大量の水が生み出され、一瞬で相手を飲み込み、それでもなお水の放出を続ける。



「今だっ! 頼むぞ白夜っ!」


「分かったのじゃっ!」



体長2メートル程のドラゴンに変身した白夜は打ち合わせ通り、僕の方をつかんで空中へと飛び立った。

上から見る大部屋の様子は、『酷い』の一言で尽きるだろう。その様はまるで荒れた大海原の様で、水量が多すぎたのか、大部屋の下半分以上が水で埋まっている。


───あ、ちなみにまだ放出中です。



「うへぇ、ちょっと魔力込めすぎたかなぁ?」


「あれは妾の全魔力を遥かに超えておったぞ? 水を生み出す魔法に一体何故このような魔力を......」


『あ、もしかしてマスターって、あの変態の弱点分かってた?』


「お? 恭香は気づいてたのか? あいつの弱点」


「ぬぅ? 弱点じゃと?」



あのナルシストは一見、弱点など見当たらないように想えるだろうし、もしそれが弱点だと気づいたとしても、それを狙うのは一苦労だろう。何せ相手は近接戦闘のスペシャリストだ。



「まぁ、こんな感じで魔法を使えば関係ないけどねぇ...」


「うむぅ...、主様よ? あ奴の弱点とは一体なんなのじゃ?」



うーん白夜には難しかったかな?



「なぁ、白夜。あいつが最も大切にしている物って何か分かるか?」


「うーむ、自分の身体。特に髪、じゃったかのう? 男が髪を触って息を荒らげておったから、さすがの妾でも引いたのじゃ。」



───ド変態に引かれるとは、アイツもなかなかやるじゃないか。



「そう、その髪があいつの弱点なんだよ」


「うむぅ? それは分かったのじゃが、それがどうして水に繋がるのじゃ?」


「うーん、見てたらわかると思うよ?」



やはりドラゴンには自らの体を洗ったりする習慣が無い、と言うか髪がそもそも無いから、そういう事には疎いのだろう。


あいつは自らのロングヘアーを大層大切にしていたのだろう。

髪に関する変なユニークスキルを持っていたことからもその事がよく分かる。だからこそ、あいつはよく知っているはずだ。



───髪は水洗いすると良く痛む...ってな。



僕の掌からの放水がやっと終わり、この部屋にある2つの出入口から水が大量に放出されていく。数分して、やっとこの部屋の地面が見え始めてきただろうか。そこにはもちろん奴の姿も。



「おや? どうしたのだ? 神の髪を持つオートマタ君よ。何故、髪を抑えて蹲っている? どうした、早くその美しい神の髪とやらを見せてくれよ?」



もう、僕ほど相手の傷口を抉るのが上手い人は居ないのではないかと思えてくる。我ながら嫌な特技だ。


オートマタは死んだ魚のような目をしながら、

「髪が...俺っちの髪が、...神の髪? 神? 髪? ......髪がぁ......」と、うわ言のように呟いている。

何だか酷いことをしちゃった気がする。


まぁ、これで終わりじゃないだけとねっ!



「ふはははははっ! 水魔法がLv.3になった事で開放された僕の氷魔法を受けるがいいっ! 『ブリザード』ッ!」



なんということでしょう!先程まで水がとめどなく滴り落ちていたその髪が、一瞬で凍りついてしまったではありませんか!



「よし、白夜。僕をあいつまで投げてくれ」


「う、うむ、分かったのじゃ」



白夜にお願いして凍らされた髪を見つめたまま動かないアイツめがけて投げ飛ばしてもらう。

あいつの髪は充分に痛めた。後はもう少し手を加えてやるだけで......


僕は空中で腰のナイフに片手を添え、相手の凍った髪に狙いを定める。


僕の身体はそのまま髪めがけて飛んでゆき......



「『居合・短剣Ver.』ッ!!」



ナイフが当たると同時に粉々に粉々に砕け散ったのだった。



「ぬがぁぁぁぁぁッッッ!!!」




───奴がショック死したのもほぼ同時だった。

火属性はLv.3で炎属性を。

水魔法は氷属性を。

風属性は雷属性を。

土属性は木属性を、それぞれ使用可能に。

一応、派生ってだけなのでステータスには元の属性しか書かれません。


ここで少しだけ詳しく書いときました。



ちなみに、ユニークスキルは、


神の髪

神すら匹敵する程の美しい髪。

自在に操ることが可能。


という微妙なスキルです。

邪竜の狂化スキルを持っていたら、と考えるとかなり恐ろしいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
[一言] 死に方が残念すぎる!!かわいそう?!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ