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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第208話

退院後......

怪我が全治し、再び学校へと登校してきた僕の目に映ったのは、僕の席に座ってワイワイとはしゃいでいる女子たちの姿だった。


───うぉい。なんだそれ新種のいじめか?


なんて事を思った僕だったが、たまたま近くにいた委員長モードのアンナさんが親切にも教えてくれた。



「こんばにちー、ギンくーん! 席替えしたから席間違えないようにねーっ」



アンナさんはそう言ったっきり「ふんっ♪ふふんっ、突いって、受けて〜♪総受けじゃい!」とかいう腐った鼻歌を歌いながらスキップして去っていった───ほんと、アンナさんって腐ってなければかなりモテると思うんだけどなぁ。

あと【こんばにち】ってなんだ。新種の魔法の詠唱か?



そんなことを思いながらも、僕は教卓の上に置いてあった新しい席名簿を見ると、どうやら僕の席は廊下側の一番後ろの席らしい───なるほど、授業中内職し放題じゃないか。



そんなこんなで、心機一転新たな席で勉学に励もうと思っていた




───その時だった。




「あっ、銀! もー、なんで先に行っちゃうのーっ!」




───教室に、天使が現れた。



まぁ、天使と書いて桃野と読むのだが、まぁそこの所はさして変わらないだろう。ルビの意味が無いとさえ言える。


桃野はぷんすかしながら僕の方へと歩いてきて、わざわざ僕の目の前に来てから再び怒ってるアピールをしだした───何この子可愛いんですけど。ガーネットの数十倍は可愛いわ。


と、そんなことを思いはしたが、僕はこれでも桃野とは同室なのだ。一緒にお風呂に入るミッションは未だクリアしてはいないが、それでもある程度抗体は出来ている。


この程度で理性が蒸発するほどヤワではないのだ。



───という訳で、そろそろ桃野の機嫌を直しておこう。



「おはよう桃野、今日も今日とて最高にカッコイイな」


「えっ? そ、そうかな? えへへっ」



以上、完了である。


説明しよう、桃野は自分で自分が女の子みたいな容姿をしていることに気づいているのだ。そして少なからず気にしている。

その為「カッコイイ」より「かわいい」と言われることが多く、一応男の子な桃野は「カッコイイ」という言葉にめっぽう弱いのだ。


───まぁ、単純にいえばチョロインって訳だ。これで性別が違っていればパーフェクトだったんだがな。



そんなことを考えていると、なにやらご機嫌な様子の桃野が鞄から一枚のプリントを取り出して僕へと見せてきた。



個人的には僕の視界の隅で鼻血を吹き出してるアンナさんや、桃野が浮かべている満面の笑みの方がよほど気になるのだが......、今そちらを優先すれば間違いなくまた機嫌が悪くなるだろう。


そんなことを考えながらも僕はそのプリントへと視線を向け、





「修学旅行の班決め......、僕と、一緒にならない?」




───僕とアンナさんは、鼻血を吹き出した。




☆☆☆




そんなこんなで、昼時。


僕は食堂でいつも通り天丼を頼んでいた




───のだが、



「はぁ? そんなことも知らないんですかぁ? 先輩ってもう少し頭のいい人かと思ってたんですが......、これは減点ですねー」



何故か僕の真向かいに座るガーネットは、懐から取り出したメモ帳に『減点1』と書き込んでいた───なんだよその減点方式。せめて持ち点の開示くらいあってもいいんじゃないですか?


僕はこれ見よがしにそうしてくるガーネットを無視して天丼に箸をつけると、やはり演技だったのか無視されたことにぷんすかと頬を膨らませるガーネット。


やはりというかなんというか、朝一で桃野のデレを見たせいか全く何も感じられない。桃野のデレは麻薬と言っても差し支えないかもな。



「で? 結局教えてくれるのか教えてくれないのかどっちなんだ?」


「せんぱーい、人に頼むならそれなりの態度っても...」


「分かった。それじゃあな」



僕はそう言うと立ち上がってこの場を去ろうとしたのだが、咄嗟に僕の服を掴んできたガーネットにそれは阻止された。



「ち、ちょっと待ってくださいよっ! ちょっとした冗談じゃないですか!」



おっと、それはそれは驚きだ。


月光眼が先ほどの言葉は悪意に満ち溢れてるように視認していたのだが......、まさかコイツは最高峰の魔眼すらも騙せる技量を持っていたのか。本当に驚きすぎて呆れてしまうよ。


僕のジト目を浴びせられたガーネットは、先ほどの言葉を誤魔化すかのように数度咳払いをしてから話し出した。



「えーっと、修学旅行について、ってことでいいんですよね?」



僕はその言葉に首を縦に振って答えてみせた。



───そう、僕が今こいつに聞いているのは修学旅行についてなのだ。


どうやらこちらの修学旅行については僕が休んでいる間に話されていたらしく、桃野に聞くのもなんだかはばかられたので仕方なくこいつに聞いているという次第である。


まぁそれは単なる後付けの口実で、実際には、一人でぼっち飯をしている時にコイツが来たからついでに聞いたって感じなのだが。



「えーっとですね。ここでいう"修学旅行"というのは高等部の一年生から六年生までの全員で行う旅行のことですね。ちなみに中等部の方では宿泊学習とよばれてます」



もう既にそこからして驚愕しているのだが、僕はその感情を表情に出すことなく頷いた。



「日程は四日間。たしか私の記憶では旅行先は雪国ホワイトベルで、詳細についてはまだ発表されてませんねー」



ざっくりしすぎだろおい、とそう言いたくもあったが。




───だがしかし、僕にはもっと気になることがあった。




「ゆ、雪国ホワイトベルか......」



そう、まさかまさか、修学旅行の目的地があの(・・)雪国ホワイトベルだったとは思わなかったのだ。



───忘れもしない、去年のクリスマスの出来事。



サタンサンタさんペアにぶっ殺されかけ、そしてあのポンコツと出会った通称"輝きの森"。


思い出しただけで背筋に怖気が走り、またあの場所へと行くのかと考えるとかなり気が進まない。




そして何より、雪国と言えば年がら年中雪の降っている国のことだ。


そう考えれば、メフィストのあの言葉が嫌でも頭の中に浮かんでくる。




『私の予想ではもう一人、雪の降る日に出会うであろう魔物が従魔として仲間になるのではないか、と思うのですがね』




明確なことは必要最低限だったその言葉。


その魔物とやらが最後の仲間になるのか、それともその魔物が仲間になることを明確にしたかっただけか。


雪の降る日というのは来年の冬のことか、はたまた雪国ホワイトベルでの事か。



───そして何より、なぜメフィストがそんなことを知っているのか。



何一つ知らされることなく、漠然と、雪の降る日に仲間が増えるというイメージだけが頭の中に植え付けられてしまった。




「あぁ......、猛烈に行きたくなくなってきた」




僕は背もたれに体重を乗せて、天井を見上げてそう言った。




───なにせ、僕の超直感がその通りになると言っているのだから。




☆☆☆




「はいっ! 私上がりましたよっ!」


「残念だったなネイル、君はウノって言っていない!」


「おおおっ! 私上がったのですぅ!」


「ぬぁぁぁぁー! 難しすぎてわからないのだー!!」



通路を挟んだ隣の席からそのような楽しそうな悲鳴と笑い声が聞こえてきて、僕は目を覚ました。


中学生かとバカにされるかもしれないが、僕はこれでも結構修学旅行を楽しみにしていたのだ───新しい仲間が出来るとかメフィストは言っていたが、残念ながら仲間にするかしないかは僕の意思が尊重される。ならば仲間にしなければいいだけのことだ。



閑話休題。



という訳で、何だかんだで昨日は睡眠が浅くなってしまい、僕はこれに乗り込んでからずーっと眠りこけていたようだ。


ふと視線を感じて周囲を見渡すと、僕の隣の席には桃野が、二人用の席を回転させて僕らと向かい合っている前の席にはアイギスとマックスがおり、なんで席が変わっているのだろうかと思ったが、やはり通路の向こう側を見れば明らかだった。




あれから時は流れ、今日は修学旅行当日。



僕らは朝の七時に校庭に集められ、そうしてこれに乗り込めと先生方に言われ、そして今に至る。



ふと、僕は窓の外からも視線を感じて窓の外へと視線を移すと、空中を飛んでいたグリフォンの群れの内数体と目が合った。




───そう、空を飛んでいるグリフォンと、だ。




僕はため息をついて、最初にこれを鑑定した時に見えたものを思い出す。




青色のボディに、とても長く細い体躯。


全体的に鋭いイメージで、その姿は僕が日本で何度も見てきたものだった。






魔導新幹線スピーディ 品質error

自立思考を持った世界最高峰の移動用魔導具。

敵意を持つものに対して自動的に砲撃する。

自立思考付与、自動砲撃付与、気配稀薄付与、完全破壊不能属性付与、衝撃緩和、形状変化、万物踏破





僕がそれを見て、思ったことを正直に言おうと思う。







「......アブソリュートって、やっぱりとんでもないんだな」





然して僕のその呟きは、窓から見える遥か彼方まで続く大空に溶けて消えていった。




という訳で、次は修学旅行です!

色々と伏線やら何やら満載なのでお楽しみに!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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