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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
236/671

第202話

やっとひと段落です。

と言っても初っ端から危険な雰囲気満載ですが。

「.........はっ?」




気がつけば僕の視界はグルングルンと回っていた。



僕が、自分の頭部が首から下とおさらばしたという事実に至るまで、そう時間はかからなかった。


───否、おさらばどころで済んでいそうにないが。


僕の頭部はゴロゴロと地面を転がり、そして僕の視界は運良くその現場を目撃した───いや、運がいいなどと言えるような光景ではないが、残念ながら僕は見てしまった。



僕の居た場所へと拳を振り下ろし、そのままの姿で静止している緑色の巨体。


先程のオークキングよりもさらに一回り大きなでっぷりとした身体に、しっかりとした知性を感じさせるその大きな瞳。




───後の僕はこう語る。



『やっぱり、ボスの後に真のラスボスへと連戦するのは辛いものがある』と。



果たしてそれは、ポケ○ンの殿堂入り前の出来事についてか、それとも今の現状に対することかは定かではないが、






種族 メテオリック・オーク (10,690)

Lv. 101

HP 1,800,000

MP 53,000

STR 1,600,000

VIT 1,900,000

DEX 820,000

INT 490,000

MND 910,000

AGI 1,390,000

LUK 41


ユニーク

覇王の咆哮Lv.1

魔導Lv.2

限界突破


アクティブ

身体強化Lv.4


パッシブ

大剣術Lv.5

体術Lv.5

気配遮断Lv.2

気配察知Lv.4

危険察知Lv.4

並列思考Lv.3

魔力操作Lv.1

痛覚耐性Lv.3

状態異常耐性Lv.2


称号

豚の神 予期せぬ災害 魔導の神髄





いずれにせよ、今の僕達にこの化物と戦いたいという気持ちなど───あるはずもない。




☆☆☆




これは僕らがオークキングを倒した直後の話だ。



「「「うぇぇぇぇんっ! じんじゃったかと思っだぁぁあ!

」」」



よく分からないが、『神社った』とかいう新単語を発しながらこちらへと飛び込んできた三名を、僕はサラリと躱した。


───ちなみにその三名としては、オリビア、浦町、桃野の三名のことである。



僕は「ふべっ」と間抜けた声を出して顔から地面にダイブした三人を傍目に、先ほどオリビアに殴られて息絶えたオークキングの死骸へと視線を向ける。


僕がコイツに殴られた時と同じ───いや、それ以上に身体の中がグッチャグチャになっているであろうその死体は、やはり僕の予感は間違ってなんかいなかったという証明にもなった。



「......まさか、な?」



僕はその嫌な予感を忘れず、それでいて極力気にしないように務めながら、その死骸をアイテムボックスへと放り入れる。



その際に再び確認したそのオークキングの顔は、死に絶えるほどの痛みを受けてなお......、




───何故か、笑っていた(・・・・・)




☆☆☆




そうして時は現在へと戻る。



あの後、気が気でないままに『幻想の紅月』を解除した途端、僕の首が転がり、僕の身体が潰されたというわけだ。


メテオリック・オークの拳の下からは今頃になって僕の血液が滴り始め、風圧で僕の首から上だけでも千切れてよかったと今になっては考えている。



───が、そんな安心などしていられない。



メテオリック・オーク。


正真正銘EXランクの魔物で、オークキングとナイトメア・ロードを同列視すると、メテオリック・オークはゴッドオブ・ナイトメア───つまりは今の輝夜と同列だ。


レベルこそ低いがその強さは伊達ではなく、先程のオークキングと比べてもステータスに天と地ほどの差があるのが見て取れる。



そこまで考えたところで、僕はこちら側の陣営へと目を向ける。



オリビアは魔闘気の使いすぎで疲労が溜まっており、マックスは魔剣二振りの同時召喚で、アイギスは聖盾イージスと格上打倒、更には聖槍ロンギヌスの全力使用で消耗している。


───それに加えて、神器の連続使用で消耗しきった上に、頭部以外の血液(不死力)をすべて失ったこの僕ときた。


他にも浦町や桃野、鳳凰院にサインさん。クラウドにディーン達も居るが、残念ながら浦町たちはサポーターだ。クラウドはアタッカーだが、やはり力不足は否めない。それはディーンとて同じことだ。



そして何より、今の僕らが全快状態だったとしても、この文字通り桁外れなバケモノ相手に勝てるはずもない。



───クソッ、せめてもう少し消耗を抑えていれば位置変換やら何やらで何とか逃げられたものを......。



僕は首から下の身体が装備していた服や装備───常闇のローブや制服、それに霊具レベルリセッターなどを月光眼でアイテムボックスへと放り入れる。



そうして、ふぅ、と息を一つ吐いてから、僕はこの現状をどうにかする方法を思考し始めた。




現状、ここにいる者でこのコイツ戦うという案はまず除外する。例えオークキング討伐によってレベルが上がっていたとしても、それだけで倒せるほどこの化物はヤワじゃない。


僕も霊器から本体(頭部)が分離したことによって力が戻ってはいるが、恐らく今攻撃すればここ一帯が吹き飛んでしまう気がする。



───ならば助けを求める? それも不可能だ。


コイツをどうにか出来るとすればグレイスや死神ちゃん、獣王やエルザ、それにクランホームに置いてきたあいつらだが、念話は取れても居場所を伝える方法がない。


最速で考えると白夜が転移してこれるかもしれないが、それでも王都へとテレポートした白夜がここを探し当てる前に僕らが殺されてしまう気がする。



───ならば話し合いで解決する? それも無いだろう。


このメテオリック・オークは賢すぎる。だからこそ、戦闘能力ではなく"危険度"という面から僕を一番最初に攻撃したし、何よりも話すことで油断や隙を作らないように先程から口を閉ざしたまま戦闘態勢なのだ。

そんな相手に「僕達敵じゃないよ?」とか言っても『ならば何をしていた』と返されて終わりだ。話し合いにすらならないだろう。



以上のことから、逃げることは不可、僕らで勝つことも不可、その上ここにいない誰かに助けを求めることも不可ときた。


───何だよこの無茶すぎるクリア条件は。物語の主人公達が覚醒したとしてもコイツの壁は高すぎる。万が一覚醒しても倒せる気がしない。



そこまで僕は考えを至らせると、僕はとるべき選択肢が一つしかないことに気がつき、やはりため息を吐いた。




「なぁ、メテオリック・オーク。今引いて後々誰にも被害を加えないというのであればコチラとしてもお前を殺さずに済む。賢いお前に頼みたい。どうかこの場を引いてくれ」




僕は誇張でも冗談でもなく、純然たる事実として彼へとそう告げた。


───けれど、僕らのことをよく知らないものがそんなことを言われても信じられないだろう。


僕の真摯な願いをあろう事か無視したメテオリック・オークは、拳を緩慢な動きで構え直すと、今度は僕の頭部の方へと狙いをつけた。




「はぁ......、交渉決裂か」



僕がそう言うと同時に奴の拳が動き出すのを月光眼が捉え、





───ねぇあるじ、こいつ殺っちゃっていいよね?




僕の秘密兵器(・・・・)が、動き出した。



僕はその返事をする代わりにテイムの能力の一つ───モンスターハウスを開くと、待ってましたとばかりにその歪んだ空間から白い塊が飛び出してきた。


彼女は僕の前へと降り立つと、眼前まで迫ったメテオリック・オークの拳を、




───あろう事か、指一本で(・・・・)受け止めた。




首の後ろでまとめた腰まで伸びる白い髪と、ぱっちりとした黒い瞳。


白いワンピースを着たその背中からは天使顔負けの純白の翼が生えていた。




やはり、僕が彼女へと言うべき言葉はたった一つで。






「......あれっ、お前誰だ?」




───そう、目の前の美幼女は、結構真面目に知らない人だった。




☆☆☆




唖然。


今の僕の状態はきっと、そんな言葉が良く似合うだろう。



ほとんどの人は忘れ去っていたであろう藍月。

僕はギルドマスターのガルムの話を聞いた時に嫌な予感を覚え、あらかじめ彼女をモンスターハウスへと入れておき、万が一の時のための切り札としておいた。


───が、いざ使ってみるとご覧の通り。


出てきたのはあのポンコツ白馬ではなく、天使の翼が生えた美幼女だったのだ。



そうして今現在、その美幼女はいとも簡単にメテオリック・オークを殴り殺し、僕の元へとかけてきたところだ───流星(メテオリック)さん、何気に一度も喋りませんでしたね。



───いや、わかってはいるさ。流石に僕もここまで落ち着けばなんとなく想像も予想もできる。



「もしかしなくても藍月......だよな?」


「そーだよー? それよりあるじー、なんかお腹減ったからあの豚食べていー?」



あら、これはどっからどう考えても藍月だな。危うく見た目に騙されるところだったがどう考えても今の言葉と声は藍月だ。

───それに何より、この言葉の端々から溢れ出るポンコツさは間違いなく藍月だろう。うん藍月だな。



僕はため息をひとつ吐くと、アイテムボックスから僕の血液が入ったフラスコを取り出し、空間支配を使って何とかその血液を飲み干す。


───普通に考えれば不味いと思うかもしれないが、残念ながら僕は吸血鬼。魔力量がとてつもなく多い僕の血はとんでもないご馳走なのだ。



口に入れた血液は喉まで至らずに口内で体に吸い込まれ、僕の不死力がある程度のところまで回復する。


するともちろん今の今まで首だけだった僕の下半身も復活するわけで、何とか数秒かけて体を元に戻すことが出来た───まぁ、そのせいでとんでもなく貧血気味だが。



僕は立ち上がると、すぐ近くにあったメテオリック・オークの死骸をアイテムボックスへと入れた。



「ふぅ、とりあえず今回の件はこれで終わりだなっ!」



僕はそう言うと、太陽の光を浴びてグググっと背を伸ばす。


色々とハプニングもあったが、なんだかんだで結局は被害を最小限に抑えられたのではないかと思う。


被害と言えば捕えられていた女性達だが、傍目で見ればあまり暴行を受けたような様子はなかった。まぁ、そこの所はネイルとフランにまかせるとしよう。



───そう考えると、僕は少しだけ気分が晴れやかになった気がした。



未だ少し冷たさを残す風が肌をなで、夕焼け色に染まった空が僕らを照らす。


吸血鬼が日光の光を浴びて気分が良くなるというのも変な感じだが、吸血鬼と言えども常日頃から暗いところにいるのは良くないだろう───たまには日光浴も大切なのだ。


僕はそう考えると、まるで何もかも取り払ったような清々しい気持ちで夕焼けの光に身を晒した。




───のはいいのだが、何故か先程から音という音がすべて消えているのだ。




不思議に思って僕はそちらへと目を向けると、何故か赤くなって目を隠しているようで隠していない女性陣と、ビックリしたような呆れたような顔でこちらを見ている男性陣の姿があった───ちなみに桃野は前者だ。



───一体、どうしたのだろうか?



そんなことを思い、僕は彼女たちのほうへと一歩踏み出そうとして......、





「あるじー、なんで服着てないのだー?」


「...............あっ、忘れてた」




この後、藍月を除いた女性陣と桃野は、しばらく口を聞いてくれなかった。




☆☆☆




「久しぶりに帰ってきたと思いきやお前は毎度毎度めんどくせぇ問題を持ってくんな......。少しは自重してもいいんだぞ?」


「うるせ、今回は王都で起こってた問題を被害が出る前に解決してやったんだから、感謝されることはあってもそんなこと言われる筋合いはないぞ」



場所はギルド王都支部の訓練場。


今現在、そこは関係者以外立入禁止となっており、中にはそこの中へと興味本位で立ち入ろうとする者もいたが、その奥から感じられる濃厚な『死』の匂いを嗅いで、その誰もが尻尾をまいて引き返した。


そんなオークの()骸がところ狭しと置かれている訓練場に居るのは、僕にギルドマスター・ガルム、そしてエルグリットにマックスの親父さん───マキシマム宰相の四人である。



そして、僕ら四人が見つめる先にあるものは、オークの死骸やオークキングの死骸ではなく、訓練場の中央にどっしりと置かれた豚の神(メテオリック・オーク)の撲殺死体であった。



その死体を見て、僕は再び彼らへと問いかける。



「なぁ、こんな大陸全土を敵に回しても生き延びれるような化物が、なんの前兆もなく、自然に(・・・)この街の付近に現れると思うか?」



───否、これは問いかけではなく確認だろう。


先程質問した時は言葉を詰まらせていた三人ではあったが、やはり二度目ともなると頭の整理もできているだろう。


だからこそ僕は、誤魔化すことなくその予測を告げた。




「自然に現れるなんて有り得ない。まず間違いなく意図的なものだろう───それも、恐らくは魔物の上位に立つ何者かの仕業で、間違いなくソイツはメテオリック・オークさえ従える程の化物だ」




魔物の上位に立つ存在。


国を滅ぼすことでメリットのある存在。


魔物を従え、操ることが出来る。


EXランクさえ従える。



そこまでヒントを与えられれば、僕はそのバックにいるであろう存在に行き着いてしまった。



かつて、恭香に聞いたことのあった、大悪魔(・・・)の序列とそれぞれの主な能力。


───その大悪魔の中の『七つの大罪』を背負う一角にこれらを引き起こせる奴がいた。





「大悪魔序列八位、大悪魔アスモデウス。......背負う罪は、『色欲』」




色欲の罪。



その能力は全てを魅了し、従順な虜としてしまう能力。


一度それにかかってしまえばアスモデウス本人が解除するか、アスモデウスか本人が死ぬまで解除されない上に、その能力は人だろうと魔物だろうと、悪魔だろうと神だろうと等しく効果を成すのだ。



───これだけ聞いたらとんでもないチート能力にも思えるけど他の大悪魔はもっとトンデモチートだから笑えない。七つの大罪を背負うものはそれ以外のスキルが消滅するってことだけが唯一の救いだ。



僕はそこまでを三人へと話し終えると、あくまでも予想だが、と付け加えてこう言った。




「もしも裏にアスモデウスが居るとして、ここにいる誰かひとりでも操られれば間違いなく王都が滅びる。注意のしようがないが、まぁ、くれぐれも注意して行こう」




───超直感は、良い予感も悪い予感も、何一つとして僕へと伝えてはくれなかった。



大悪魔の序列、何だかんだで乗せてませんでしたね。隠すことでもないのでのせておきます。ちなみに混沌が『強欲』です。

○第一位、サタン

『憤怒の罪』

○第二位、メフィストフェレス

○第三位、ベルゼブブ

『暴食の罪』

○第四位、レヴィアタン

『嫉妬の罪』

○第五位、ルシファー

『傲慢の罪』

○第六位、ベルフェゴール

『怠惰の罪』

○第七位、バアル

○第八位、アスモデウス

『色欲の罪』

○第九位、アスタロト

※序列=強さではありません。


次回予告としては、新ヒロイン候補登場です。

スメラギさんも一応候補なのですが、まぁ、学園編からは誰もクランには入れさせないか、それともみんな入れて混迷を極めるか。究極の二択です。

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
[一言] 下の追記です。 「強欲は混沌です」って明記してたのこの話、202話でした。修正とか、した方が良いんじゃないかな……と、ちょっとだけ思います
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