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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第193話

活動報告にコメントきた際、どうやって返すんでしょうか、あれ。よく分からないので、いつもご愛読ありがとうございます! とこちらでコメント返しておきますね。


「どうだったかのぅ? 一日学園に通ってみ...」


「普通だな。あと、ぼっちに対する心遣いが何も出来てない」


「......そ、そうかのぅ? ワシとしては結構いい学校なのではないかと思うのだが......。まぁその意見も参考にさせてもらうかのぅ」



僕は放課後、新しい部活動の立ち上げに伴って学園長であるグレイスの元を訪れていた。

そこで開口一番に前置きとして聞かれたなんでもない言葉に僕はそう答えた、と言うだけだ。


───確かにクソも面白くなかったが、残念ながらそれはどこの学校でも同じことだ。逆に、この学校は異世界っていう点では他よりマシだと言わざるを得ない。日本の学校は虐めが跋扈してる地獄みたいなところだからな。


まぁ、こっちでも虐めが無いわけじゃないだろうし、そういう問題や相談を解決したり、解決するまで行かずとも解消するために僕らは部活を立ちあげるのだが。ついでに執行機関(ネメシス)の名を売るためか。



「それで? こちらの予定としては、僕に他の従者二名で執行機関もどきの部活を立ちあげるつもりなんだけど、別に問題は無いよな?」


「ふむ、従者は半分生徒と同じようなもの故な。三名以上居るのならば部活としての設立を認めよう。まぁその実はクラブのようなものだがのぅ」


「クラブでも多少の部費と空き教室くらいは貰えるんだろ? 相談受けるくらいならそれくらいで十分だし、最悪僕が改造するから何の問題もない」


「......なんだかお前に教室を明け渡すのが恐ろしくなってきおったわ」



グレイスはジト目を僕へと向けると、ため息を一つ吐いて机の引き出しから一枚の紙を取り出す。



「これが部活動の設立に必要な書類だ。部員はお前達三人で良いかもしれぬが、その他に部活の顧問の教諭と、その教諭の他にもう一人、教諭から判を貰ってこい。その上でワシのところへもう一度持ってくれば空き教室へと案内してしんぜよう」



なるほど、余計な部活を増やさないために学園長と教諭二人という防護壁があるわけか。確かにいきなり変な部活が承認されても困るだろうしな。



僕は分かったと頷くと、その紙を持って学園長室から退出する。





「さて......、顧問と言ったらあの人だよな」




そう呟いた僕の足は、真っ直ぐ職員室へと向かっていた。




☆☆☆




「んで、俺様か」



職員室のとある一角に設置された教員の机。


死神ちゃんはその机で何故か串肉を食べていた。なぜこんな微妙な時間に串肉を頬張ってるのか、疑問である。



「んなもん腹減ったからに決まってんだろうが。俺様だって人の身体を使って(・・・・・・・・)こっちまで降りてきてんだ、そりゃ消耗が激しいに決まってんだろ」


「ふーん、まぁいいけどとにかく顧問よろしくね」


「......おいテメェ、なんで『疑問である』とか言っといてそんな興味なさげなんだ? さらっと流されて一瞬俺様でもついていけなかったぞ」



いや、どうせ今の死神ちゃんって本物じゃないんでしょ? 神様が下界の様子を詳しく観察するために使う仮初の器的な奴じゃないの?



「......よく分かったな? 全能神からなんか聞いてんのか?」


「いや、今の死神ちゃん()胸があるから偽......ぐふぅ!?」



僕は思いっきり腹にめり込んだその拳に悲鳴をあげ、思わず腹を抱えて涙目になってしまった───多くは語らないが、ほんの少しだけ増しているように思えたからさ。それとも何か、パットなんですか?



「......ほう? 二発目を喰らいたいらしいな」


「いや! ちょ、ちょっと待ってよカネクラ先生(・・・・・・)! 生徒に暴力振るう先生がどこにいるって言うんだ!?」



僕の呼び方に今の立場を思い出したのか、こほんと咳をして構えていた拳を下ろす死神ちゃん───ふぅ、もうこの件には触れないでおこう。



「んで? 執行機関(ネメシス)とやらをこの学園にも部活動として取り入れて、風紀委員や教諭にはできねぇ様な悩みや相談を聞いたり、暴れてる生徒を問答無用でとっちめる、って訳か。お前、グレイスのいいように使われてんのわかってんのか?」



そう言いながらもきちんとカネクラとのサインと判子を押してくれる死神ちゃん───そう言えば本名なんて言うんだろう?



「まぁ、あのロリババアの魂胆はわかってるよ。単純に面倒くさいから押し付けようとしてるだけでしょ? 虐めでも相談事でも諍いでも。まぁ、それらを解消してやりたいって気持ちはあるんだろうけどさ」



けれど、僕は執行機関部を今以上に拡大するつもりは無い。それは部員をこれ以上増やすつもりがないということ。

つまりは僕達がこの学園から去ると同時に、それまであった執行機関は完全に機能を失うということだ。


グレイスも今はまだ気づいてはいないかもしれないが、執行機関及び執行者である僕と繋がりを持っておきたい下心丸出しの奴らが殺到して、僕がそれらをすべて断ったなんて日には、流石にグレイスも気がつくのではないかと思う───執行機関だけに全てを任せておいては失敗する、ということに。



「まぁ、僕の知ったこっちゃないけどね」


「......お前は悪魔よりも悪魔みたいなやつだな」



死神ちゃんは引き攣らせた笑みを浮かべてそう言うと、判の押し終わった承認書を僕へと返してくれた。


───残るはだれか一人の教諭の判と、他のメンバー二人を招集すれば完了だな。


と、そんなことを考えていると、僕の背後からのっしのっしという足音が聞こえてきた。ついでに圧力と熱気も伝わってきた。



「おお、カネクラ先生とギンではないか。一体どうしたのだ?」



なんとそこに居たのは、熱血マッチョのドラム先生。


───もちろん僕がそんなチャンスを逃すはずもない。



「あっ、ドラム先生、ちょっといいですか?」


「ん? その紙はたしか部活の設立承認書だったか?」



僕はドラム先生の言葉にコクリと頷くと、真剣な表情を浮かべて彼へと訴えかけた。



「ドラム先生、この度グレイス学園長より『この学園を良くするために協力してくれないか』とお願いされまして、僕は考えに考えた末、教諭や生徒たちの相談室及び、学園内で起こる諍いの仲裁を主に行う部活を立ち上げたいと思います。先生もより良い学園を目指すため、ご助力お願いできないでしょうか?」



その僕の言葉に目を剥いたドラム先生は、ガシッと僕の手を掴んで、



「もちろん協力させてもらおうと思う!」



そう、感極まったかのように僕へと告げた。




───ふっ、計画通りッ!!




僕の背後では、呆れたような表情を浮かべた死神ちゃんが、僕の背中をジトっと睨んでいた。




☆☆☆




「それで......ここですか」


「ここのようだな......」



僕ら三人の目の前にある空き教室は、教室と言っていいのか迷うほどには小さなものだった。


例えるなら学校にある保健室。あれよりも小さい。


本当に相談室といった程度の大きさしかなく、さらに言えば、長年使われていなかったのか埃をかぶっていそうだ。



「けどまぁ、部活の申請では相談室みたいなもんだしな......」



僕は仕方ないとばかりに、グレイスから受け取ってきたその部屋の鍵を差し込み、ガチャリと扉を開ける。


するとやはり僕の予想通り、その部屋の中はさして何かが置かれているような様子はなかったが、それでもかなり埃が溜まっているようだった。



「うわぁ、すっごい部屋ですね......。私達だけで掃除をすると考えたら気が滅入りそうです......」


「ふむ......、この部屋が小さいということだけが救いだな」



アイギスも浦町も眉間にシワを寄せてその部屋をのぞきこんでいる。僕としてもこの埃だらけの部屋を普通に掃除するのはできれば避けたい。



───だから、僕は少しズルをしようと思う。




「クロエ。この部屋の中の埃とゴミ、そして要らないと判断したものだけを灰も残さず燃やしつくせ」



瞬間、僕の目の前に広がっていた部屋が一瞬で銀炎に包まれ、しばらくして銀炎が止んだ先にはピッカピカな部屋があるばかりである。


ちなみにアイギスと浦町に関しては唖然としてるし、クロエに至っては、



『私たち聖獣をこんな用事で起こす馬鹿はお前が初めてだぞ、このクソ蝙蝠』



とか言ってくれちゃってる。だって仕方ないじゃない、掃除するの面倒だし。



「それじゃあ二人共少し部屋の前で待っててくれ。数分でこの部屋改造するから」


「「......へっ?」」



二人は何を言われたか理解出来ずにフリーズしていたが、僕は部屋に入ってピシャリとドアを閉めると、軽く腕まくりをしてから月光眼の空間支配と原始魔法を発動した。




「さぁ、学園長室よりもよほどゴージャスにしてやるよ」




───僕はとりあえず、この部屋を防音にするところから始めた。




☆☆☆




「ん? もう終わったのか? 何も物音がしな.......は?」


「どうしました了、何か変なもの.........あれ?」



僕は部屋を改造し終わった為、外で待機していた二人をその部屋の中へと呼んだのだが、何故かまた言葉を失ってフリーズしている───今ならスカートめくってもバレない自信あるね。



そんな僕らの目の前には和風な一室があった。



原始魔法で空間拡張を付与し、先ほどの相談室を一教室より小さめの縦長の部屋にし、色は茶色と白、所々黒も使用した完全な和風仕様で、窓ガラスは見た目だけ和風にしている。きちんと触って調べなければ分からないだろう。


その部屋は入口のところに一段段差があり、その少し大きめな玄関もどきで上靴を脱ぎ、隣の靴棚へと上靴を入れて中へと上がるのだ。


押入れや棚なんかも設置してあり、シャワーやトイレ、簡易キッチンに冷蔵庫はもちろん、部屋の雰囲気を壊さない程度のL字ソファーや、相談用の長机なんかも完全完備しており、まず間違いなく学園長室よりも豪華であろう。ちなみにトイレやシャワーは近くの給排水管に無理やり繋いだ。まぁ、正常に作動してくれるだろう。


僕が靴を脱いで部屋へと上がり、普通にソファーへとだらけ込んでいる姿を見て正気に戻ったのか、浦町は呆れ混じりに、アイギスは何が何だかわからないような様子で部屋へと上がってくる。



「君は本当に規格外だな。まさか数分でこんな部屋を作ってしまうとは思わなかったぞ」


「こ、この部屋ってもしかして噂の和風、って奴ですよね? 月光丸と同じような雰囲気ですし......」


「うん、まぁ和風って奴だよ」



───それにしても、まさか自分でもここまでリフォーム業ができるとは思ってもいなかった。一度グランズ帝国の帝城の一室を弁償代わりにリフォームしたことがあるが、正直それ以上の出来栄えだ。


もしも普通にこの部屋に相談しに来る人がいたとしても、きっと相談する前にフリーズしてしまうことだろう。会心の出来すぎてやばい。



「それじゃあ部屋も完成したことだし、色々と決めちゃおうか」


「私としてはまだこの部屋について聞きたいことがありすぎるのだが......まぁいいだろう」


「私はもう頭がついていけてないです......」




とまぁ、そんなこんなでこの学園に新たな部活が誕生した。





───その名も『執行部』




もう、その名前だけで色々推測できちゃうようなネーミングセンスだが、何よりも信用性という面ではきっとこれが一番なのではないかと思う。


執行部発足!

次回! 初依頼......何でしょうが、まぁ、まともな人がこの作品に登場するのは極稀なこととだけ言っておきます。

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