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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第184話

少しずつ物語が進行してゆきます。

翌日、学園の門の前には朝八時から合格者の発表が行われているらしい。


らしい、というのも、僕がその発表へと向かっておらず、近くの森で魔物たちへと新たなスキルを試しているためである。


───流石に影神へと変身はしていないが、それでもなお使える影の支配と、月光眼、そして原始魔法と近接戦闘の極意とやらを試して回っていた。学園に入って一ヶ月はまず地獄になるだろう。体作りは出来なくともスキルに関しては一日でも多く慣れておいた方がいい。


それに、神王化6倍に正義執行2倍に雷神風神1.7倍、合わせて20倍近く強化できていたのが、影神へと混ぜられたことでそれの二分の一───10倍へとダウンしてしまったのだ。今まで通り正義執行が使えない、と考えればなんともないが、それでも損してる感や弱くなったは否めない。



というわけで、僕は少しでもスキルに慣れるために色々と使っているのだが......、まぁ色々と驚愕の新事実が明らかになりつつあるのだった。




まず影の支配、これは今までの影魔法はもちろんの事、それ以外の影すらも操ることが可能なのだ。

しかも影魔法に関しては魔力の消費が完全に無くなった。悪鬼羅刹だけは試せていないが、魔力の消費は前に比べてもかなり少なくなっているだろう。


───だが、ここで少し驚いたのが、正義執行を混ぜたために起こったのであろう副次効果だ。


正義執行は自身の魔力の固有色を大幅に引き出すという効果もあったのだが、なんとこの能力、僕が操る影が全てを赤色へと変化したのだ。


今までの影刺やら影纏やら、ヘルプリズン、悪鬼羅刹に至るまで、その全てが影の色───つまりは黒色だったのだが、先程から僕が使っている影はすべて赤色なのだ。喜んでいいのか悲しんでいいのか分からないな。まぁ、自分の影までは変色しなかったため良かっただけ良かったとしよう。




次に月光眼。恐らくはこれが今使えている中ではトップクラスにやばいスキルと言ってもいいだろう。


まず発動時に左目の赤い部分が銀色へと変化し、その銀色の瞳の中に紋様が浮かび上がる。なんかかっこいい感じだ。


そしてなぜ僕が自分の目の状態が自分でわかっているのか、と聞かれれば、見えている(・・・・・)からに他ならない。



───この瞳の能力のうち一つが『見通す』という能力。



例えば、鑑定。


例えば、遠く離れた場所。


例えば、合格発表の結果───もちろん合格だ。


例えば、ゼウスが水晶越しにこちらを見ている姿。


例えば、今のクランの現状。


例えば、大まかな相手の行動予測。


例えば.........、いや、しないけども、あんな所やこんな所まで覗き放題だ。いや、真面目にしないからね? ゼウスにバレてるし。



とまぁ、この他にも通常通りに空間支配の能力も使え、アイテムボックスも、更には妖魔眼の能力も自由自在だ。




───しかも、さらに凄いところがまだ他にもある。




僕は、たまたま僕の横の茂みから現れたリザードマンへと瞳を向け、妖魔眼と同じように幻術へとかける───ちなみに今の幻術は、今ので十回目(・・・)である。


そう、この月光眼には妖魔眼のような幻術の使用制限が無いのだ───と言ってもその代わりに精度も少し下がり、体への負担も大きくなったのだが......、まぁ、それでもスキルレベルを上げればいい話であろう。



まぁ、残念な点としては、僕は常に空間把握を使用しているため、これからはオッドアイ状況で過ごさなければならないということだ。なんだかまた僕の噂が増えそうな予感がする。




その他にも原始魔法や近接戦闘も試したのだが......、まぁパットしないというのが現状だ。



原始魔法は、確かに剣を即座に創造して敵を切りつけることも出来るのだが、やはりブラッドナイフや銀滅氷魔で武器を作った方が早いし強い。


近接戦闘の極意は、確かに体のキレが鋭くなったような気もするが、本当に『ほんの少し』なのである。オールウェポンと総合格闘術のスキルレベルとこのスキルのレベルを考えれば確かに凄いのだが、残念ながら今実感するのは不可能なようだ。



最後の二つに関しては、恐らくは大器晩成型のスキルなのだろう。熟練すればするほどに出来ることが増え、次第に戦闘中の選択肢も増えてゆく───まぁ、パッとしないからといって蔑ろにしていいいわけもない。



───とまぁ、新しく増えたスキルの検証としてはこんなものだ。他にも純血始祖というスキルがあるのだが......、これは夜にならなければどうしようもあるまい。




そうこうしているとどうやらそろそろ昼時であるらしい。

腹も減ってきた上に、何しに来たのかは知らないが、あの街にいる王族を全員引き連れたあいつらが空間把握の圏内に映った。



「まぁ......、一旦休憩でいっか」



僕は、周囲十数メートルに乱雑に倒れ伏している魔物たちを傍目にそう言うと、腰を下ろしていた岩から立ち上がった。





「次からは、相手の力量くらい把握してから襲えよ?」





その日を境にその森は少しだけ平和になったそうだが、その時僕が体の自由を奪っていた魔物達のせいなのかは、僕の知るところではない。




☆☆☆




「おおおー! 兄じゃー、目ん玉かっちょいー!」


「おう、この左目は月光眼ライト・オブ・ディザレクションっていう僕しか持ってない最強の目ん玉なんだぜ?」


「目ん玉つえー!」



僕は、みんなの持ってきたバスケットに入っていたサンドイッチを口にしながら、アメリアにそんな馬鹿げたことを吹き込んでいた───なんだよディザレクションって。聞いたことありそうだけど、よく考えたら聞いたことねぇよ。


僕は何故か興味深そうにこちらを見ているルネアとオリビアを無視しながら、仲良く話しているマックスとギルバートへと話しかけた。



「それで? 結局は主席とか次席って誰だったんだ?」



そう、僕は合格発表者の受験番号が載っている掲示板は見たのだが、その後に行われたであろう主席と次席の発表までは見ていないのだ。月光眼ライト・オブ・ディザレクションでも過去まで見通せるわけじゃないし。ちなみに当時はリザードマンの群れとガチバトルしてた所である。


そんなことを考えながら二人に聞くと、マックスが少し悔しそうにし始めた。ははーん、貴様、主席と次席に入れなかったな?



そうして僕の予想は外れることはなく、ギルバートは主席と次席の名前を発表したのだが......、






「主席は598点のギン、君だったよ。そして次席が、578点のディーン・カリバー。カリバー公爵の一人息子だね」



「.........誰それ?」




僕は予想だにしなかったその名前に、思わずそう呟いた。





☆☆☆




はたまた翌日。


回答と合格者発表が一日足らずで終了し、そして新学期が始まるのが明日なのだ。

さすがは異世界、地球の科学技術ではできなかったことを易々としてくるし、さらにはスケジュールも色々と詰めすぎている。

そのため受験生は、受かる受からないは別として、とにかく学園の寮にいつでも入れるように荷物だけはこの街へと持ってくるのだ。


───まぁ、それで落ちた人たちのことは考えないでおこう。考え出したらこちらも鬱な気分になるし、何よりも同情なんてその人にとっては屈辱でしかない。せいぜいその人たちの分まで強くなってやるしかないだろ。



というわけで、僕らは寮へと足を踏み入れた。



目の前に広がったのは大きなロビー。

学園の敷地も、さらには寮自体もかなり大きいためか、そのロビーの大きさは機動要塞アブソリュートのそれと比肩しても大差なく、数多くの新入生と編入生たちがワタワタとしていた。



だが、ここで一つ言っておきたいのが、この寮についてである。



流石は異世界の学園と言うべきか、完全防音の上にある程度までの衝撃も吸収し、さらには本人以外は部屋の主が認めなければ部屋に入れない障壁も張っているらしい。もちろんこの寮の中では、非常時や学園長が認めた場合以外は霊器も発動しない。


つまりは、プライバシーは完全に守られているのだ。ということは男女が同じ寮になっていても問題はなく、実際にその通りになっている───まぁ、どこぞの学園ファンタジーのように、男女が同室というのはありえないんだけれども。


ちなみに自分にあてがわれる部屋はランダム制で、二人部屋か、三人部屋、運が良ければ一人部屋というのもあるらしい───因みに藍月は小型化させた上でネイルの護衛役として抜擢し、月光丸は僕のアイテムボックスへとしまってある。


と、そこで少し目立っている事に気付いた僕は、後ろでボケーっと豪華なロビーを見渡している五人へと話しかけた。




「それじゃ、皆部屋に着いて確認したら、もう一度このロビーに集合な」



もちろん僕のその意見は反対されることなく通り、僕らはロビーの一角の掲示板に貼ってある自分の部屋を確認した後、僕らはそれぞれに別れて、それぞれが各自の部屋へと向かった








───のだが、






「おい、これは何ていう奇遇だ?」



僕はそう言って周囲と視線を向ける。


ここはコの字になっているこの寮の四階、その通路の一番奥の角部屋───ここが僕が誰かさんと同居することになる二人部屋のはずなのだが......、




僕の真後ろには、一人部屋に入ろうとしているマックス。


僕の左隣には、二人部屋に入ろうとしているオリビアとアイギス。


僕の斜め後には、二人部屋に入ろうとしているネイルと浦町、それに小型化した藍月。




つまりは、でんでんでんでんっ、と四階の角部屋付近の四部屋を僕らが見事に占領したという事に他ならない。しかも僕以外は一人部屋か、同居者が顔見知りである───なんてこったい。



「ま、まぁ、アレだな。俺たち運いいから」


「もしくは君が昨日会ったとかいう学園長の差金だろう。そういうことをする幼女なのだろう?」



なぜだか前者のマックスの言葉よりも後者の浦町の言葉の方が圧倒的に説得力が強いのはなぜなのだろうか?



「......まぁいいや。こっちの方が僕らとしてもラッキーだし。そんじゃ色々と終わったらマックスの部屋な。こっちは同居人も来るだろうし」



僕の言葉に各々「了解」という意味合いの言葉を告げると、皆が皆、自らの部屋へと入っていった。




───どうか同居人さんが怖い人じゃありませんように。




僕はそう考えてから、少しだけ覚悟を決めてその部屋のノブを回した。





☆☆☆





結果、その部屋に同居人はまだ来ていなかった。


四面の壁のうち二面に窓が取り付けられており、片方は大きなベランダ付きの窓、片方は机が二つ並び、それらを照らすように付けられた少し小さめの窓だ。


その部屋に入ってスリッパへと履き替えようとしたところで、ここは日本じゃなかったよなと思い出し、ロキの靴をブーツからサンダルへと変型させて使うことにした。


少し部屋の中へと足を踏み入れると、どうやら少し拡張の魔法が付与されているらしく、簡易キッチンにトイレ件お風呂、そして二段ベットまで完備されていた。



「なるほど......、流石は大陸で最高峰の学園だな」



そう呟くと同時に、二つそれぞれの机の上に、何やら折り畳まれた服が置いてあることに気がついた。

服というだけで「あぁ、制服か」と考え至った僕だったが、どちらがどちらの制服で、さらに言えばどっちがどっちの机なのかもわかりやしない。


そう思って悩んでいたのは数秒だった。



「......うわぁ、何このサイズ」



僕は片方の、ベットから遠い方の机の上の制服を手に取ってそう言った。



黒いズボンに白いワイシャツ。

少しだけ白のラインが入ったの黒色のブレザーに、赤いネクタイ。



その机の上に置いてあったそんな男物の制服のセットではあったが、オリビアあたりが着てもサイズ的には丁度いいのではないか、とそう思えるような小さめな制服だったのだ。


一体どんな女々しいやつが来るのか知らないが、先ず間違いなくこちらではないのは確かであろう。



───ということで、その制服をきちんとたたんで机の上へと戻し、僕はもう片方の制服をアイテムボックス経由で換装した。



何故かは知らないがサイズはぴったりで、着心地も神の布に勝るとも劣らないほど優れていた───それにしてもなんでサイズバレてんだよ......、服の上からスリーサイズを測れる能力者でもいるのか?





そんなことを思って常闇のローブを羽織り直した───その時だった。






ガチャリ、とそんなことを立てて、僕からは死角になっているドアが開かれる音がした。




僕はその同居人の来訪を告げる音に、咄嗟に空間把握を広げようと思ったところで、ふと倉持さんの言葉を思い出した。




───僕の、親友?




なぜ今その言葉が頭を過って、何故今更ながら、その親友とやらの正体が浮かび上がったのかは分からないが、僕の本能は今後ろにいる者とその親友が同一人物だと告げていた。





空間把握をそのままにくるりと振り返ったそこに居たのは、こちらを見てフリーズしている茶髪の男の子───いや、正確には僕と同年齢か。




僕は彼の顔を見て、再び思うわけだ。





───やっぱり僕は、運がいい、と。






「.........あれっ? ぎ、銀......であってるよね?」


「おう.....、久しぶりだな、桃野」





僕の同居人は───僕の友達の桃野和彦であった。



※魔眼には単純に『目が良くなる』という効果もあります。暗闇の中で目がききやすくなったり、動体視力などが上がったり、ですね。

次回! 恐らくは霊器入手です!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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