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いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第五章 学園編
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第181話

ギンの見せ場あるんだろって?

いや、すいません。次回になります。

その後もつつがなく魔法の試験は終わり、次は戦闘能力の試験となった。



ふとあたりを見渡せば、殆どが僕の先ほどの魔法を見て興奮しているのか、何だかソワソワしている。この程度でソワソワしてるだなんて......、もしここの学園長の力を見たら一体どうなってしまうのだろうか?


───まぁ、時の歯車の副リーダーで、かつ、学園長ともあろう者がそう簡単に力を見せる機会なんてあるはずもな...





『これより戦闘能力の試験を開始する。今回は特別に学園長自らがご相手なさってくれるそうだ。点数に変わりはないが間違っても気を抜くなよ?』





.........ふぇっ?





瞬間、ステージの中央付近に先程の『白狼召喚』とは比べ物にならないほどの冷気が立ち上り、僕達のいるステージ下にまで冷風が叩きつけられる。


その風に乗って僕らへと伝えられたのは───圧倒的威圧感。


それこそ、かの獣王や死神ちゃん、ムルムルはもちろん、あの時のルシファーだって比肩することが烏滸がましいほどの、馬鹿馬鹿しい存在感。



───ち、ちょっと待て! こ、これ間違いなく本物だよな!?



そんな僕の焦りなどつゆ知らず───否、もしかしたら知っているのかもしれない。



そんなこんなで、あの獣王に『格が違う』とさえ言わしめた学園長グレイスは、見事なまでの初登場をぶっかました。





───のだったが、






「にはははははっ! ワシ、登場っ!!」




いつからそこに居たのかは分からないが、学園長グレイスは変身ヒーローのようなポーズを取ってステージに立っていた。




青色の混ざった白髪に、真っ赤に染まったその瞳。



頭の横からは黒い角が髪の隙間から真上に伸びており、



紺色の甚平を着た......、





───オッサン臭い幼女の姿が、そこにはあった。




☆☆☆




見た目は幼女。



そんな奴に限って滅茶苦茶強いのは、もう既に自明の理となりつつあるだろう。



正確には、強そうに見えない奴に限って滅茶苦茶強いのだ。

ゼウスとかロキとかエロースとか、極めつけは父さん、つまりは神王ウラノスだ。


あの人に関しては雰囲気は一般人と何も変わりがないのだ───まぁ、化物が一般人になんの違和感もなく紛れ込めてること自体が化物と呼ばれる所以なのだろうが......、恐らくはこの化物もそういった類の奴だろう。


ある程度の強さを誇る相手、例えばムルムル程度ならば僕でも「あ、コイツ強いな」とか思えるし、逆に不自然すぎる相手、例えばエルザとかなら「あ、コイツやばいな」なんて思える。


だが、先程提示した数名に関しては強いとかヤバイとか、そういう感情が一切湧かないのだ。



───圧倒的な力の隔たり。


───力が測れないこそ、おおよその相手の力が分かる。



つまりはそういう事で、皮肉なことにも僕はあの幼女の力が全く測れなかった。それこそ町中を歩いている幼女とさして変わらないようにしか思えない。


それなのにあれだけの威圧感と存在感を放っているのだから、矛盾という言葉をこれ程上手く表現する術はないだろう。



───だがしかし、僕にとっては化物でしかないが、他のさして強くもない受験生たちにとってはただの幼女にしか見えないのだろう。皆が皆、困惑の表情を浮かべている。


それは何故かまだ近くにいるロブと倉持さんも同じであった。



「ね、ねぇ銀くん? さっきの威圧感って......本当にあの娘なの?」



なぜ僕に聞くのかは知らないが、ロブもまた僕へと同じような視線を向けてくる。



......まぁ、知った仲だし一応忠告だけはしておくとするか。



僕は今正に幼女(グレイス)へと突っかかっていこうとしている貴族のボンボンを傍目に、一応最低限度の忠告した。





「アレには喧嘩を売らないほうがいい。僕が本気を出しても傷一つ付けられなさそうだ」




その言葉に目を見開いた周囲の人達がこちらを振り返るのと、いちゃもんを付け出した貴族のボンボンが一瞬にして凍り付けにされたのは、ほぼ同時刻のことだった。



その凍り付けにされた貴族のボンボンを見て、先程までグレイス相手に嘲笑を浮かべていた受験生たちは皆総じて震え上がり、僕はそれらを見てたった一言、こう呟いた。




「それ見たことか」と。





☆☆☆




「にははっ、相手との力量も測れぬ低脳はこの学園には要らんぞよ? さぁ、受験番号なんてどうでもいいから戦いたい奴からかかってこい!」



それを聞いて僕は思うわけだ。


───なるほど、僕が言伝に聞いて想像していたグレイスそのまんまだったようだ、と。


だがしかし、受験番号関係なしに戦いたい奴からかかってこい、とそう言われても誰ひとり動くことは無いだろう。真面目に受験をしている人であれば、ある程グレイスの戦い方や癖を見抜いてから始めようと思うだろうし、それになにより、先陣切って皆の前を歩くのは辛く厳しいことだ。


まぁ、だからこそここはきっと僕が行くべきなのだろうし、今僕の顔をじーっと見ている倉持さんあたりは「早く行ってくれない?」とか思っているのだろう───ほんと酷いなこの人。


そうして僕はステージ上へと顔を向ける。



───あぁ、嫌だ嫌だ。何だか注目集まってるし、さらに言えばグレイス本人がこっちをガン見している。僕から戦う気満々じゃないですか。



僕はため息をひとつ吐くと、重くなった足を引ずるように、そのステージへと歩き始める。






───その直前で、はたと気がついた。






「クックック、フッハハハ、ハーッハッハッハーッ!!」



その見事なまでの三段笑いに視線を向けると、僕がいる場所から少し離れた壁際に、一人の男子生徒が壁に背中を押し付けて立っていた。


確かアイツは......、教室で余裕ぶってた主人公か?


僕がそう彼の顔を思い出すと同時に彼は誰も望んじゃいないというのに話し始めた。




「悪い悪い、もしかしたら学園とやらには俺より強い奴がいるかもしれないと思って来たが......、なるほど執行者に学園長か! こりゃあ面白くなってきたぜ!」




───うわぁ、この人自分に酔ってるよ、気持ち悪っ。




僕は思わずその言葉を聞いて顔を顰めてしまった。


何なのこいつ『自分より強い奴がいるかも』とか『もしかしたら』とか、自分に自信持ちすぎじゃないか?


いや、自分に酔ってるだけなのだろう───下手に幼少期の頃に成功してたり強かったりすると、まるで自分が主人公のように思えてしまう場合がある。そうしてそのまんま成長してイキってる奴のことを僕は『自分に酔ってる』と言うのだ。まぁ言葉のまんまである。


───それによく考えてみろよ、the主人公気質の久瀬だって自分が主人公だなんて全く思ってないと思うぞ? 今頃ありとあらゆるお約束を完全制覇して、着々とハーレムを広めて言ってるんだろうけど。



そんな僕の心の声などつゆ知らず、僕が顔を顰めたのを見て「俺の強さにやっと気づいたか」 的な表情を顔を浮かべたソイツは、自信満々にステージへと歩き出し......いや、なんかこっち向かってきてるな。気持ち悪いんですけど。


僕のそばを通りかかったそいつは、さも「俺の方が強い」と言わんばかりにニヤリと笑うと、




「転移者だかなんだか知らねぇが、チーレムは俺のもんだ」




そう言って何処ぞのカッコイイ主人公の如く、僕の肩を叩こうとしてきたので、





───なんだか気持ち悪くなって、スッと身を躱した。





「「「「「あれっ?」」」」」




その気持ち悪い奴は空を切った自らの手をまじまじと見つめているし、周囲の奴らからは「え、今のってそういうのじゃないの?」的な視線が突き刺さるが.........いや、仕方ないじゃない。コイツばかりは生理的に無理。


僕は何もなかったというふうを装ってその場に立っていると、どこからか幼女の笑い声が聞こえてきて、飲酒主人公に関してはプルプルと震えだした。



「ま、まぁいい! 貴様とはここで邂逅する運命(さだめ)ではなかった、とそういう事なのだろう」



───何こいつ、"運命"と書いて"さだめ"と読むとか、もしかして転生者とかだったりするのかな? さっきチーレムとか言ってたし。


そんなことをふと考えはしたが、まぁコイツが転生者だろうと転移者だろうと一般人だろうと自分に酔ってる時点で興味はない。強かろうと弱かろうと、僕や仲間に手を出してこない限りは無視で構わないだろう。



そうこう考えているうちに飲酒主人公はステージまでたどり着き、見事なまでの自信満々っぷりでグレイスの目の前まで歩いて行った。




「俺の名はクラウド、まぁ一応教えておいてやるよ、学園長」




───うわぁ、主人公っぽい名前してるなー、あの人。


これで金髪で大剣持ってバイク乗ってたらパーフェクトだったんだが......、主人公っぽいのは自信満々な態度と名前だけ、ってことか。



僕はちらりとグレイスを見ると、彼女自身は僕と戦う気満々だったのか恨めしそうにこっちを見ている。いや、そんなジト目で見られてもどうしようもないっすよ、だってそいつ、言っても聞かなそうだし。


その考えが伝わった訳では無いのだろうが、グレイス学園長は近くにいた先生をステージ外へと避難させると、クラウドへと話しかけた。




「学園は優秀なものは取りたいしのう......、まぁ良い、名前は覚えておらんがお前、どこからでもかかってこい」



───それはさらっと行われた試験開始の合図。



僕でも一瞬「......えっ?」となったのだから、僕よりも遥かに弱い(・・・・・)クラウドに至っては完全に固まってしまっている。


そして、僕と早く戦いたくてウズウズとしている学園長が、そんな大きな隙を見逃すはずもなく、






「大口叩くなら、せめてそれ相応に強くなってからにするのだな」






そう呟いた学園長に結構強めに殴られたクラウドは、何をするでもなく会場の内壁まで飛んでゆき、もちろんそのまま意識を手放したのだった。




───もちろん、スクリーンに映し出された点数は、それはそれは酷いものであった。





☆☆☆





僕は今、先程彼が殴り飛ばされた場所に立っていた。


───言い方は非常に不吉だが、まぁ単純に言えば次の試験は僕だったという話である。

僕もさっきのアレを見せつけられてはその直後に相手をするのは少しはばかられたが、残念ながらグレイス学園長は僕のことを名指しで呼びやがった。どんだけ戦闘狂なんだよこの人。


僕がはぁとため息をついていると、グレイス学園長から話しかけてきた。



「にははっ、そうため息ばかり零すものではないぞよ? 経験値が手に入るいい機会とでも思っておれば良い」


「今回は経験値よりも戦い方を教えてもらいに来たのですが......、そこの所は分かってますよね?」


「分かっておる、分かっておるともさ! だからこそそうしてお前の戦い方や癖、才能を間近で見るためにここまでお膳立てしてやったのだ。......まぁ、想定外はあったのだがな」



───いや、あれまで予想してたら逆にびっくりだよ。



僕はそう考えると同時に少し後ろに下がり、距離を取る。



「グレイス学園長、今回はどれ位本気で行けば?」


「お前は別にタメ口で良いぞ? どうせワシの弟子になるのだ、ワシは弟子とは対等な関係を築いてゆくつもりであるからな」



グレイスはそう言って柔和に笑った後に、




───一転して冷たい瞳で僕を見つめてこう言った。





「どうせお前程度ではワシに攻撃など当てられんぞよ? 何を今更手加減しようなどと思っておる?」




瞬間、グレイスの身体からは最初に登場した時よりも更に深く大きな威圧感が溢れ出し、近距離にいた僕は思わず一歩、後退ってしまう。





───けれど、混沌を初めて見た時に感じた威圧感に比べれば、こんなものは屁でもない。




僕は拳をぎゅっと握ると、左手の甲に眠る力を呼び覚まし、ニヤリと笑ってこう言ってやった。







「あまり僕を舐めるなよ? この白髪ロリババア」




酔いどれ主人公クラウドと、学園長グレイス登場!

今の所予定がないので、グレイスの詳細だけは少しだけ明らかにしておきます。


名前 グレイス (年齢不詳)

種族 鬼人族 (特異種:白鬼)

※白鬼

世界にただ一人しかいない超突然変異。

並の鬼人族を遥かに凌駕する身体能力と、氷系統の魔法を得意とするが、その他の魔法はほとんど使えない。


次回! ギンVSグレイス!

ギンの新能力が続々登場です!

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【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
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