表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ最強へと至る道   作者: 藍澤 建
第一章 始まりの物語
18/671

第16話

かなり長めです。

白夜の過去がチラッと明らかに!?

ぴろりん! レベルが上がった!

ぴろりん! レベルが上がった!

ぴろりん! レベルが.......




一息ついてアイテムボックスから水筒を取り出した僕はレベルアップのインフォメーションをBGMに中身を飲み干す。



「ふぅー、ひとまず上手くいったな」



水筒の中身がなくなるとほぼ同時にレベルアップを告げるインフォが止まったので、顎が外れるんじゃないってくらい唖然としている白夜と、恐らく同じ状況であろう恭香のもとへと向かった。



「おーい! 何とか倒したぞー!」



そう声をかけるが無反応───一体どうしたというのだろうか?



「ん? おい、大丈夫か?」



そうやって白夜のほっぺたをペチペチすると、やっと気がついたのか、



「あ、あ、主殿っ! な、なんじゃあれは!?」


『ま、マスター!? あんなものアイテムボックスにありましたっけ!?』


「ん? あぁ、あれのこと?」



僕はそう言って僕が使っていた超巨大ハンマー(・・・・・・・)に視線を向けた。



「いや! それだけじゃないのじゃ! 妾はあの2人のうちの片方は本物じゃと思っとったぞ!? 妾も思わず手を出すところじゃったのじゃっ!?」



え......。白夜は気づいてると思ってたんだけど...



「うーん、じゃぁ最初の所から振り返ってみるか」



僕はそう言って今の戦闘を振り返った。





☆☆☆




まず、最初の影分身だ。

根本的に、2人はここから勘違いしてるよ?


まず僕が出した分身の数は10体(・・・)だ。


え?全部で9体じゃないのかって?

あぁ、僕自身は10体の影分身を作った直後、靄が晴れる前に隠れたんだよ。


え? どこにって?


あぁ、そういえば白夜には言ってなかったか。


僕がレベル2で覚えた影魔法にもうひとつ新しいものがあってね。



影潜

自分が触れている影の中に入り込むことが出来る。

自分と身体が触れている相手ならば一緒に入り込む事が可能。

また、現在潜んでいる影が他の影と接触した場合、その他の影の中に移動することも出来る。



って言う魔法だよ。まぁ、潜ってる間はずっとMP消費してるから、普通なら(・・・・)かなり条件きついんだけどね。


まぁ、そんなわけで僕は分身の影の中に潜っておいて、その影がキラースコルピオンの影と接触した瞬間に相手の影に移って隠れてたんだよ。


あぁ、あのハンマーのこと?


あれは影に潜んでる間に作ったんだ。


ん? ははっ、うん、本当だって。


まず、MPにものを言わせて1000体の影分身を作るでしょ? そんで、その影分身全員に変身スキルでハンマーの部品に変身してもらう。そして最後に創造スキルで部品を合体させて、出来上がり。


どう? 理論的には可能でしょ? MPさえあれば。


僕の場合、超回復でMPも回復するからね、案外楽に出来たんだよ、まぁ、力技だけどね......。


まぁ、そんなわけでハンマーを作ったらアイテムボックスに入れといて、アイツが油断した隙をついて影からこっそり出た僕はその頭上でアイテムボックスからハンマーを取り出したってわけよ。




☆☆☆




そんなわけで説明をすると2人とも呆れたように、



『マスターって、よくあの短時間でそんな作戦思い付きますよね...。頭脳担当の私、必要ないんじゃないかな......』


「うむぅ、凄かったのじゃ......。(もし出会った直後にあれやられてたら、妾、はたして生き延びれたかのぉ...?)」



と、そんな事を言ってきた。


って言うか2人ともめっちゃ落ち込んでないか......?



「いやいや、たまたまだって! 恭香もそんな落ち込むなよ? お前は僕には必要なんだから、な? それと白夜はなんで落ち込んでるんだ?」


『ま、マスター......ぐすっ』


「い、いや、妾は別に大丈夫なのじゃ。もし相手にこれをやられたら妾ならどうするか考えていたのじゃ...」



こ、これはセーフか? セーフなのか?


なんとな持ち直しそうな恭香と、未だに考え中の白夜。



「う、うーん...」



これは一体どうしたものか...?


僕がそんな事を考えていると、僕が作った影分身のハンマーが靄になって消えていった。


影分身は基本的に、それぞれの個体に貸出した魔力に応じてその分身の存在可能時間が決まるのだ。

恐らくこれはその許容時間を過ぎてしまったためだろう。


と考え、ハンマーが靄となって消えていくのを見ていると...





「『「あ。」』」





その下から潰れたキラースコルピオンの死体が出てきた。




そういや、コイツは死体が残るタイプだったっけ......。





☆☆☆




「うへぇ、きもぢわるっ......うぷっ」


『ま、マスター! あと少しの辛抱ですよ!』


「それにしてもばっちいのう」



僕たちは今、潰れたあの大蠍の素材を回収していた。

とてつもなく気持ちが悪く今にも吐きそうだが、これは自業自得というものであろう。



「はぁ、はぁ...。なんで僕、潰しちゃったんだろう?」



僕はそんな事を思いながらも、しぶしぶ回収作業を続けたのだった。




そんな事から数分後。



「はぁー、やーっと回収終わったーーっ!」


『た、確かにこれはっ、くるものがありますね...うぷっ』


「だ、大丈夫かのぉ? 恭香殿? ほ、本って一体どこをさすれば良いのじゃ...?」



流石に恭香もきつかったらしく──良く考えたら8歳児だもんなぁ......、因みに今は白夜に介抱されている。



「それじゃ、僕はやること先に終わらせるかな」



そう、アイツを倒してからというもの、未だにステータス確認をしていなかったのだ。



「と、言うわけで『ステータス』!」





名前 ギン=クラッシュベル (19)

種族 吸血鬼族(真祖)

Lv. 279

HP 1340

MP 13800

STR 1340

VIT 700

DEX 1260

INT 2440

MND 1540

AGI 1560

LUK 379


ユニーク

真祖

マップ

影魔法Lv.3

アイテムボックスLv.2

影の王Lv.2

経験値3倍

吸血

眷属化

疾風迅雷Lv.1(共有)


アクティブ

創造Lv.2

水魔法Lv.2

風魔法Lv.2

付与魔法Lv.1

鑑定Lv.3

威圧Lv.1

テイムLv.3


パッシブ

小剣術Lv.2

複合魔法Lv.1

並列思考Lv.1

危険察知Lv.2

全属性耐性Lv.1

混乱耐性Lv.3

痛覚耐性Lv.1

毒耐性Lv.1


称号

迷い人 創造神の加護 死神の加護 白銀竜の主 魔導王


従魔

白銀竜プラチナドラゴン




「......」



えーっと...魔法系統の伸び凄くないですか?


いや、原因は何となくわかるんだけども...。



魔導王

魔導を極めた者の証。

MP、INT、MNDを中アップ

複合魔法、並列思考のスキルを会得



ああ、やっぱり...。


きっと入手条件はMPの10000超えかな?


あれ、このまま進んでいったらMPだけとんでもないことになる気がするんだけど......きっと大丈夫だよ...ね?



新しいスキルも一応見てみるかな?


複合魔法

2つ以上の魔法を合成して新たに新しい魔法を作る技術。

威力は絶大だが、その分MPの消費が激しい。

レベルに応じて同時に合成可能な魔法の数が増え、MPの消費が抑えられる。

並列思考のスキルが必要。

Lv.1 2個-5倍



並列思考

2つ以上の魔法を同時に発動することが出来る技術。

レベルに応じて同時発動可能数が増える。

Lv.1 2つ



えっと、これ、結構やばくないですか?

MP増えたのもこれを使えという神のおぼしめしとか?


それは一体創造神と死神のどっちなんだろうか...


まぁ、いいんだけどさ、強くなるのは。

実際、今の状態でも白夜には太刀打ち出来ないだろう。



「はぁ、何時になったら追いつけるのやら...」



そんな感じでぼーっとステータスを見ていると、ひとつ、気づいたことがあった。



「なぁ、恭香?」


『な、なんでしょ......うっぷ』


「うぬっ! 恭香殿!? 恭香殿ーーーっ!!」




あ、僕の後ろに蠍の死体があるの忘れてた。




☆☆☆




それから白夜に蠍の死体を焼却してもらい、恭香が目を覚ました。


しばらくは挙動不審で、

『さ、蠍っ!? さそり? うぷっ、な、何かを忘れているような気がするんだけど、何だったかな...、あれ? ほんとになんだっけ?』


と、いつもの口調から完全に幼女のものと戻った恭香が見れたので役得だったけれど、


「恭香、君は何も見なかった。うん、ここでは何も無かった。いいね?」


『ま、マスター? ほんとに何もなかったの?』


「うん、何にもなかったよ。なんにも」


と、暗示を掛けておいた。


すると白夜が


「うーむ...。やはり恭香殿はいつものかたっくるしい口調じゃなくてそっちの方がいいと思うのじゃ」


と、そんなことを言い出した。


『はっ!? も、申し訳ありません! つ、つい......』

恭香もやっと気づいたのかいつもの口調に戻ってしまう。



が、



「それなのじゃ! その話し方じゃ! 妾たちは仲間なのじゃろう? 仲間にその話し方は他人行儀過ぎると思うのじゃ!」



と白夜は叫んだ。


妾とか殿とか言ってる奴が何言ってんだ?


とか思ったけど流石に空気を読んで言わなかった。


確かに恭香は、白夜と出会う前はけっこう先ほどの言葉遣いが表に出ていたしな。白夜が仲間になってからは、自分より子供(精神面)な奴が現れたせいで、無意識のうちにまた事務的な言葉遣いに戻ってしまっていたのだろう。



『で、ですがっ』



それでも引かない恭香。


うーん、僕はさっきの喋り方も好きなんだけどなぁ......。

まぁ、それでも、



「恭香? 僕は正直、君がしたい方で話せばいいと思うよ? さっきのが地なら、そっちで喋ればいいし、今まで見たいな事務的な話し方がいいって言うなら、別に無理して変えろとは言わないよ?」



と、語りかけた。


恭香は考え込むように押し黙った。


白夜も珍しく空気を詠んでいるのか口を挟んでこない。


僕は畳み掛けることにした。



「だけどね、僕たちは仲間なんだよ? だったら...「ぬがーーっ!!!! グチグチうるさいのじゃっ」......」



こっ、この野郎っ......!!


珍しく空気読んでるかって思ってたらっ......!



「な、なあ? 白夜? あの...「主殿も少し黙っておるのじゃっ!」......はい。」



あまりの迫力に、思わず押し黙る。


それにしても何故コイツはこんなに怒ってるんだ?


それに答えるかのように白夜はひとり、語りはじめた。



「妾はずっと1人だったのじゃ! 友達も居なく、家族も居ない。群れに居る同年代はいくつかのグループを作って遊んでおったが、妾1人だけがその中には混ぜてもらえなかったのじゃ...。今考えると、親の居ない見た事のないような色の仔竜など、不気味だったのじゃろう...。その頃じゃ、妾の被虐癖が生まれたのも。そうでなければ心がもたんかった。」



珍しく真面目な口調の白夜。

それに思わず僕と恭香も素直に聞き入っていた。



「ある日、妾は群れを抜けた。流石の妾でも彼処に居るのは辛かったからのぉ。群れを抜けてから、妾は世界中を旅をした。人間でいうと5歳くらいの話じゃ、そりゃあ騙されもするし、弱さに負けそうになる事もあった。何度も心が折れそうにもなったのじゃ。何故妾はこんなにも頑張っているのに仲間の1人も出来ないのか、何故人は妾を見れば攻撃してくるのか、妾の話を聞いてくれないのか、とな。」



いつも僕たちのパーティのムードメーカーであり、最も頼りになる白夜。


そんな白夜の悲しい独白。


どこかから鼻を啜る音が聞こえるが、それは一体誰のものだったのだろうか。



「そんな日々が500年ほど続いて、妾に転機が訪れたのじゃ。とある日、妾が寝床としていた山の山頂に1人の人間が訪れた。そ奴はかなり強くてのぅ。妾が本気を出して相手をするだけの価値がある奴じゃった。じゃが、その時の妾のぅ、思ってしまったんじゃ。「こ奴ならば妾を殺すことが出来る。さすればこの地獄からも解放されるのではないか?」と、のう。それが酷く魅力的に思えて、妾はつい、手を抜いてしまってのう。気づけばこちらは瀕死、奴はこちらにとどめを刺すべく、剣を振りかぶっているところじゃった。」



それはきっと僕たちと出会う直前の話だろう。


聞いてた話と話とのあまりの違いに思わず顔を顰める。



「その時のぅ、今まで1人を貫き通したのじゃから、死ぬ時まで1人を貫いてやろう、と思い立ってのう。その剣が妾に届く前に咄嗟にワープしたのじゃ、目的地はランダムにしてのぅ。するとどうじゃ? 妾がちょうど収まる程度の薄暗い洞窟に出たではないか。出入口は、通るには小さすぎるものだったし、魔力も尽きた。まさに1人で死ぬ、条件は全て揃っておったのじゃ。」



そう言い切ると白夜はこちらをチラッと見てから、



「じゃがのう、やっと死ねると思っとったのに、不躾にも妾の墓に侵入者が現れたのじゃ。妾はついカッとなって、残る全ての力を使ってそいつをぶっ殺してやったのじゃ。ついついやり過ぎてしまったが、これでもう邪魔するものは居ないと、思っとった....。じゃがのう! そいつはなんと、あの重傷から自力で復活しおったのじゃ! それには流石の妾も驚いたもんじゃ! その上妾に向ってテイムまでかけおる! 妾も久しぶりに笑ってしまったわ! 死ぬ間際に、まさかこんなに面白い奴と出会えるとは、とな。そのせいか、ついつい気を許してしまい、気づけばこのザマじゃ」



言葉とは裏腹に彼女は実に楽しげに笑っていた。



「だからのう! お主らは妾の初めての仲間なんじゃ! お主らならば信頼出来る、そう確信して妾は仲間になったんじゃ! これが我が儘で、自分勝手なのも分かっておる! だけどのぅ! 妾は仲間とは対等でいたいんじゃっ!」



そう、彼女は自分の想いを恭香へと告げた。



(ふふっ、まさかここまで言われて何もしないわけじゃないよな? 恭香さん?)



僕は思わずニヤニヤしながら、恭香に念話をすると、



(えぇ、残念ですがこの口調も最後ですねっ! ふふっ)



と、かなり嬉しそうな恭香の念話が返ってきた。


黙っている恭香に不安を覚えたのか、



「なっ、あ、あのっ。や、やっぱりだめかのぅ?」



いつになく不安げな白夜だった。


さっきの勢いはどうしたんだよ?と、問いたい僕だった。


が、ここは彼女に譲ってあげよう。



『ぷっ、ふふっ、さっきまでの勢いはどうしたの? 嘘つきド変態の白夜ちゃん? 流石の私でも、仲間(・・)にそこまで言われちゃったら、仕方ないかなって思っちゃうよ』



───嘘つきド変態などと酷い言い草だった。



けれど、それを言われた白夜はそんなことは気にした様子もなく、



「き、恭香殿っ!? ほ、本当に良いのかのぅ!?」



と、驚愕と歓喜の入り混じったような顔で、そう聞いていた。



『うん、丁度いい機会だしね、せっかくだから口調を地に戻すことにするよ! マスターもそれでいい......ですか?』



いや、この空気だと返事はもう決まってるじゃないか。




僕は彼女たちに向かって笑ってこう言った。






「あぁ、もちろんいいけど、白夜、お前はお仕置きね?」





その後30分間、その大部屋には白夜の嬉しそうな悲鳴が響き渡ったという。

雨降って、地固まる。って言いますもんね。


ですが主人公は嘘と暴言について忘れた訳ではありません。


彼は面倒臭い人なのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新連載】 史上最弱。 されどその男、最凶につき。 無尽の魔力、大量の召喚獣を従え、とにかく働きたくない主人公が往く。 それは異端極まる異世界英雄譚。 規格外の召喚術士~異世界行っても引きこもりたい~
― 新着の感想 ―
[気になる点] お主らならば信頼出来る、そう確信して妾は仲間になったんじゃ! 信用はまだしも、信頼は出会ってすぐに出来るものではない。薄っぺらく感じてしまう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ